パトカー内にいた保安官補らが、突然銃撃される。搬送先の病院では反警察のデモ

    事件は米カリフォルニア州コンプトンで起きた。病院の外では反警察のデモが起き、負傷した保安官補らに対して「死ねばいい」と叫ぶ人々もいたという。デモでは2人が逮捕されたが、銃撃事件の犯人は逃走中だ。

    米カリフォルニア州コンプトンで現地時間9月12日夜、ロサンゼルス郡保安局の保安官補2人が複数回銃撃される事件が起きた。保安官補2人は重体だったが、うち一人は現地時間9月16日に退院したと当局が発表した。

    事件の一部始終は、監視カメラで撮影されていた。

    事件後、2人の保安官補が治療を受けている病院の外で、反警察のデモが行われ、デモ参加者1人と女性ジャーナリスト1人が逮捕された。

    当局によると、事件の実行犯は身元が分かっておらず、逃走中だ。実行犯は28~30歳の黒人男性で「暗い色の服を着ていた」と発表した。

    当局は容疑者の逮捕につながる有益な情報に対し、10万ドル(約1050万円)の懸賞金を提供するとしている。

    Jason Armond / Los Angeles Times via Getty Imag

    9月12日、ロサンゼルス郡保安局の保安官補2人が銃撃を受けた。現場となった、カリフォルニア州コンプトンのバス停周辺は封鎖された。

    保安官補2人は、現地時間12日の午後6時58分にコンプトンのMLKトランジットセンターの前で、パトカーの車内にいたという。すると「銃を持った男に卑劣な方法で攻撃された」と、記者会見でアレックス・ビリャヌエバ保安官が語った。

    当局は監視カメラが捉えた事件の映像をツイッターに投稿した。男は発砲した後、逃走しているのが確認できる。

    Update: The gunman walked up on the deputies and opened fire without warning or provocation.

    「更新:銃を持った男が保安官補らに近づき、警告や挑発も無しに発砲した」

    今回の事件は、アメリカ中で警察の過剰な暴力に対する抗議デモが続く中で起きた。

    デモ参加者の大多数は、武装していない黒人の殺害をやめること、蔓延している組織的な人種差別をなくすこと、予算を社会貢献に使うよう警察に求めている。しかしデモ参加者の中には、司法・警察機関に対して、より敵対的な意識を持っている人もいるようだ。

    この銃撃事件は、SNSで大きな反響を呼んだ。ドナルド・トランプ米大統領は、もしも保安官補らが死亡したら、容疑者を「迅速な裁判を行って死刑にすべき」とツイートした。

    民主党の大統領候補、ジョー・バイデン氏もこの銃撃事件に反応し「この冷酷な銃撃事件は全くもって不当なもので、犯人は裁判にかけられなければならない」とツイートした。

    当局によると、2人の保安官補は複数の銃弾を浴びた後、リンウッドのセント・フランシス・メディカル・センターで手術を受けた。その間、病院に複数の抗議者が集まった。

    当局はツイッターで、緊急治療室の出入り口を「封鎖」し、銃撃された保安官補らに対し「死ねばいい」と叫んだ人々がいたと抗議者を非難した。

    SNSでシェアされた動画には、病院の外で警察に抗議する数人の男性たちに対し、少なくとも1人の保安官が銃を向ける様子が映っている。

    A tense situation developing in Lynwood as a handful of protesters on sidewalk shout at deputies outside St. Francis medical center where 2 deputies are recovering from surgery after being shot tonight in Compton

    「リンウッドでは、数人の抗議者が歩道で保安官らに向かって叫んでおり、緊迫した状態が続いている。セント・フランシス・メディカル・センターでは、コンプトンで銃撃された2人の保安官(補)らが手術を受け治療中だ」

    保守的人物メディアの一部は、病院の外で抗議していた男性らを、証拠もなく「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)運動」に結びつけた。しかし、Black Lives Matter運動のロサンゼルス支部は、「病院の外では抗議活動を組織していない」とBuzzFeed Newsに述べている。

    保安当局は、病院外で抗議を行った男性抗議者の1人を、不法な集会の解散命令に応じることを拒否したために12日夜に逮捕したと発表した。

    また、抗議者を逮捕するための衝突の中で「再三にわたる退去命令を無視した」として、女性ジャーナリストも逮捕したと発表した。

    このジャーナリストは、ロサンゼルスが拠点のニュースサイトLAistとカリフォルニア州のラジオ局KPCCで受賞歴がある、ジョシー・ファン記者だと判明した。

    地元テレビ局ABC7の映像から、複数の保安官らがファン記者を地面に押さえつけ、手錠をかけている様子が確認できる。ファン記者は「正当な逮捕を妨害した」ことで「公務を妨げた」として逮捕されたとLAistは伝えた。

    ファン記者は13日朝(現地時間)、郡拘置所から釈放された。

    ABC7 showing video of radio reporter being taken down to the pavement by officers, handcuffed and led to a patrol car outside of hospital where two #LA County deputies shot in ambush are being treated @LASDHQ #crime #SoCal

    「ABC7の映像によると、ラジオのリポーターが保安官らに道路で押さえつけられ、手錠をかけられてパトカーに連行されている。ロサンゼルス郡保安局の保安官補2人が撃たれた後、治療を受けている病院の外での出来事」

    ファン記者は12日の夜、病院の外にいた数名の男性を撮影していた。一部の男性は旗を掲げており、また他の数名は保安官らを携帯電話で撮影して「挑発」していたとファン記者は説明している。

    13日、ファン記者はツイッターで、今回の警察との衝突と逮捕時の動画をシェアした。

    ファン記者によると、男性1人を逮捕している保安官に近づいた時に「激しく小突かれた」という。ファン記者の携帯電話は地面に落ち、ファン記者が自分はKPCCの記者だと叫び、助けを求める声が録音されていた。

    Somehow I was able to start a new video right away. You see my phone clatter to the ground and I start shouting “I’m a reporter...I’m with KPCC.” I scream for help from the TV reporters I know are around the corner doing their 11 p.m. live hits

    「私の携帯電話が地面に落ちた後、『私はリポーターです。KPCCの者です』と叫んでいる。角にいる知り合いのテレビリポーターたちが11時の生中継をしていて、彼らに助けを求めた」

    同僚らは、ファン記者を「極めて有能で、責任感の強いジャーナリスト」として擁護している。LAistとKPCCの編集長、ミーガン・グレイビー氏は、ファン記者が逮捕中に受けた傷をツイッターで公開した。

    So @josie_huang is out. A bit bruised but heading home

    「ジョシ―・ファンが釈放された。少しあざが残っているけど、家路についている」

    米公共ラジオ局NPRは13日、次の声明を発表した。

    「アメリカ国民に事実を伝えるために情報を集めるという自身の仕事を行っていた、公共ラジオ局KPCCの記者ジョシー・ファン氏が逮捕されたことに、我々は愕然としている」

    「ジャーナリストの権利はアメリカ合衆国憲法修正第1条によって保護されており、この権利はアメリカ国民と民主主義が正しい情報を知るために不可欠だ」

    KPCCとLAistは、ファン記者の逮捕を謝罪するようロサンゼルス郡保安局に求めている。当局のマックス・ハンツマン監察官は、ファン記者の逮捕についての調査を開始したと明かした

    この記事は英語から翻訳・編集しました。