大相撲「女性は土俵から下りて」 相撲協会、救命女性を「必要があれば探す」

    土俵は古くから「女人禁制」とされている。

    4月4日午後2時過ぎ、京都府舞鶴市の舞鶴文化公園体育館であった大相撲の春巡業。土俵上で挨拶をしていた多々見良三舞鶴市長(67)が突然倒れるということがあった。

    そのとき、会場に流れたアナウンスに対して、批判の声が集中している。

    なにが起こったのか。経緯をまとめる

    舞鶴市長さんの動画、これしか撮っていません。放送は入っていません。 この後、スカートをはかれた方が何人か近寄られたので、放送が入りました。どちらの気持ちもわかる展開でした。市長さんのご回復をお祈りします。

    会場にいた観客が動画を投稿している

    BuzzFeed Newsが行った複数の観客への取材と、ネット上に投稿された会場のようすを撮影した動画をもとに、なにが起こったのかを時系列にまとめる。

    1. 多々見市長が土俵に上がり、挨拶を始める
    2. 挨拶を始めるも「呂律が回っていないような感じがした」と観客
    3. 途中でふらつき、突然倒れる
    4. 関係者らしき男性たちが多々見市長に駆け寄る。
    5. 2人の女性が土俵に上がり、うち1人が心臓マッサージを始める。続いて別の女性2人も土俵に上がり、多々見市長の駆け寄る
    6. 「女性の方は土俵から降りてください」とのアナウンスが流れる
    7. 警察官、救急隊員らしき男性たちが土俵に到着。女性たちは土俵から降り、ようすを見る
    8. 多々見市長が担架で運ばれる
    9. まもなくして、再開される


    市の発表によれば、多々見市長はくも膜下出血で手術が行われたとのこと。手術後の容体は安定しているが、約1カ月の入院が必要だという。6日からは堤茂副市長が職務代理者を務める。

    市の担当者は、心臓マッサージをした女性について「救助していただいた方には大変感謝している」と話した。

    「女性の方は土俵から降りてください」 アナウンスへの批判

    心臓マッサージをする女性がいるにも関わらず、会場に流れた「女性の方は土俵から降りてください」とのアナウンスに批判が集中した。

    大相撲の土俵は「女人禁制」とされており、日本相撲協会も女性が土俵に入ることを認めていない。

    2000年、太田房江大阪府元知事が「自ら土俵に上がり、優勝力士に知事杯を手渡したい」という意向を示したが、協会側は女性であることを理由に断った例もある。

    騒動後、相撲協会や実行委員会、関係者に対し、「人の命より伝統か」「女性差別」などの批判が高まっている。

    「行司が動転して」八角理事長が謝罪

    相撲協会の八角理事長は4日談話を出し、「行司が動転して呼び掛けたものだったが、人命に関わる状況には不適切な対応でした。深くおわび申し上げます」と謝罪。

    その上で「とっさの応急処置をしてくださった女性の方々に深く感謝申し上げます」とコメントしている。

    救命女性は「必要があれば探す」

    倒れてしばらくは、誰も市長さんに近づかす。たった一人土俵上で横たわったままでした。 なので、かけつけられたと思います。 上からみていて、指先だけが動いている状態。 写真は、担架に乗っているところです。

    観客への取材から「女性の方は土俵から降りてください」というアナウンスは少なくとも3回は流れている。また、「男性がお上がりください」とも流れたことが確認できる。

    土俵に上がった女性について、舞鶴市役所担当者は「市の者ではない」と回答した。

    一方、相撲協会の広報担当者は「観客の可能性はあるが、すでに巡業は終了している。(女性は)必要があれば探す」と答えた。


    BuzzFeed Newsでは、「女子、相撲一筋まっしぐら 彼女たちの土俵での闘い」という記事も配信しています。

    BuzzFeed JapanNews