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Jun Tsuboike / BuzzFeed

満島ひかりに未練はない。映画「愛のむきだし」を園子温が語る

衝撃作から8年が経った。

カルト教団、父子の関係、盗撮、性と罪。そして掟破りの上映時間4時間。

2009年に公開され、「第59回ベルリン国際映画祭」で国際批評家連盟賞とカリガリ賞を受賞した園子温監督の代表作ともいえる映画「愛のむきだし」。

1時間以上の未使用シーンを追加した全10話構成、4K技術により高精細・高解像に映像が進化したテレビシリーズ版が今年2月から放送され、話題を呼んでいた。

そのドラマ版が8月23日より、TSUTAYAで先行DVDレンタル開始。9月27日に特典映像付きセル版Blu-rayの発売が決定した。

問題の衝撃作「愛のむきだし」。撮影から10年経ったいま、あらためて同作について、園子温監督がBuzzFeed Newsに語った。

4時間もの上映時間でも「カットしすぎた」

テレビシリーズ版は、編集初期段階での6時間のバージョンをベースに、全編脚本通りに再構成している。未使用シーンを1時間以上復元。また、音楽や音響も再構築し、映像も今までとは違う、より鮮やかな高解像度で迫ってくる。

「もともと映画版はシナリオから少し構成を変えていて。そこで今回はもとのシナリオ通りに編集してもらいました。『HAZARD』の頃から僕の映画を編集してもらっている伊藤(潤一)さんに任せているので、私はなにも口出ししていません。僕が口を出すとより削って、短くしちゃいそうなので。いわゆる『さいとう・たかをプロ』みたいな感じで、園子温風にやってくれます」

「映画版はカットしすぎたという後悔があって。なので、今回、DVDとBlu-rayが世に出るのは感激ですね。今年2月のテレビシリーズ化決定のときよりも嬉しいです。テレビは結局、一回きりなので」

本作では、コイケ役を演じた安藤サクラのシーンがかなり追加されている。また、ゲスト出演していて、昨年亡くなった元AV女優の紅音ほたるさんのシーンや、丸々カットした洞口依子のシーンも復活していた。

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「自分の作品だから、意見とか感想とか今さらないです。一観客になれない自分がいて、最初の試写に付き合う程度です。見たところで変化はしないし、ちょっと後悔するだけなので」

『愛のむきだし』が映画界に与えた影響をどう考えているのか。

「僕は知らないけれど、自主映画界はしばらく園子温タッチになったそうですね。別に嬉しくもないし、そんなことしても意味ないよとは言いたいですが。けれど、ワンカット、ワンシーンをのんびり撮るのが王道となっている退屈な日本映画に少しでも若い子たちが気づいてくれたことはいいことだと思いますね」

本作の主演は、ユウ役を演じた西島隆弘。ヒロインはヨーコ役の満島ひかりだ。撮影中のエピソードを話す。

「毎回、満島ひかりには怒鳴っていたなって。西島くんにも厳しくて後半はあまり話さなくなりました。クランクアップのときには喧嘩状態。映画にもよるけれど、僕は和気あいあいとした現場でいい作品が生まれるとは思わないんです」

「監督は役者から嫌われても構わない。逆にそれは役者に対する愛だと考えています。現場がただの楽しいピクニックで終わるか、険悪で最悪な現場でもそれで役者が賞をもらってステップアップしてくれた方が監督としてはいいじゃないですか」

第83回キネマ旬報ベスト・テンで西島は新人男優賞、満島は助演女優賞を受賞。スポニチグランプリ新人賞には西島、満島の2人が選ばれた。

園監督はこうも語る。

「愛のむきだしは満島ひかりをビッグにする目的もあった。彼女の魅力を世に出すことができたと思います。なので、それ以降、彼女の作品は一作も観ていない。愛のむきだしは『元カノ』みたいな立ち位置にあって、満島ひかりにも未練はないです」

日本映画を退屈と言い放つ園子温が、いま撮りたい俳優、また注目している人物はいるのか。

「日本にはいないです。注目している人だと『タンジェリン』を撮ったショーン・ベイカーですかね。全編スマホで撮ったアメリカ映画なんですけれど、非常におもしろかった。で最近、知人経由でショーンは『園子温の影響で撮った』と聞いて。それで日本に来たとき、スマホでの映画の撮り方を教えてもらいました」

スマホで撮ると、今は“フィルムっぽさ”が出るという。園監督はそこにおもしろさを感じている。いまは練習中で、近々本格的に撮るかもしれないとのこと。

撮りたい役者を聞かれると、ジェニファー・ローレンスを挙げる。

園監督は彼女の出世作である「ウィンターズ・ボーン」で一目惚れしている。2012年の伊集院光とのラジオ番組で、ジェニファー・ローレンスを「可愛くないんですけれど、演技が素晴らしすぎて、可愛いんです」と話し、「このような映画を撮りたい」と語っていた。

「あとはマルホランド・ドライブの頃のナオミ・ワッツとか、『少年は残酷な弓を射る』のエズラ・ミラーとかですかね。海外の役者はスマートで喋っていても楽しいですね。とりあえず日本で撮りたい女優さんは、思い当たりません」

最後に「愛のむきだし」のファンに向けてのメッセージを聞いた。

「映画はテンポ重視で切ってしまった箇所もいっぱいあり、後悔があってそれが悪夢のようにずっと続いていました。これで私もやっと落ち着ける。今までの愛のむきだしではなく、別の映画を見るような新鮮な気持ちで見て欲しい」

「そもそも4時間の映画を作った当時、10年前は、自宅にホームシアターが普及する時代が来ることを想定していたんです。だからロシアの大長編文学を読むような4時間を超える長い映画でもいいと思っていた。例えばドストエフスキーを一気読みする人はいない。しおりを挟んで、何日もかけて読みますよね。映画版も4時間で、今回の最長版は5時間を超える。ゆっくり楽しんで観てもらえれば」


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