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いま佐賀県のネット戦略がすごい キーマンが語る“バズる”5つの理由

ヒットの裏側に迫った。

いま、ネット上のPRにおいて卓抜している県がある。佐賀県だ。

手掛けた企画はトレンドワードに上がったり、メディアに取り上げられたりとたびたび話題になった。バズらせる秘策とは? 戦略の裏側にBuzzFeed Newsが迫った。

佐賀県が得意としているのは、企業やコンテンツとのコラボレーションだ。一部だが、以下に列挙する。


自治体のPRとは思えない尖った企画は、どのようにして生まれるのか。取材をすると5つの要素が見えてきた。

今回、話を聞いたのは広報広聴課の3名。同課副課長の金子暖さん。サガプライズ!PRプランナーの楢崎政彦さん。同じくサガプライズ!プロデューサーの岩本麻衣子さん。

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そもそもネット上で話題になる企画をはじめたきっかけとは。金子さんが話す。

「自治体のPRには、アンテナショップやゆるキャラ、プロモーションビデオなどさまざまな手法があります。まず県内事業者の方たちにいま抱えている課題を聞いたところ、『情報を出しているつもりだが、どうしても埋もれてしまう』という声が多数でした」

「ネットには大量のコンテンツ、情報が存在しています。その中で見つけてもらうには突き抜けた企画でないといけません。また、普段なかなかリーチしづらい若い人や女性に届けたいという意見もあり、約5年前からSNS、ネット上で話題になる企画に注力していこうとなりました」

百貨店やデパートで物産展を開けば、年配層にはリーチできる。しかし、若年層には届きづらい。その課題解決のためにコラボレーション企画は始まった。

「最初は話題にならないこともありましたが、3、4年目にしてバズるポイントが掴めてきました」と金子さん。

以下、キーマンたちが語るバズる5つのポイントだ。

佐賀県は、企業やブランドとコラボレーションをして県の魅力を全国に発信し、その活動から得られた知見や手法を地域にフィードバックする地方創生プロジェクト「サガプライズ!」を掲げている。現在、サガプライズ!を含む首都圏広報部署には6名が在籍している。

そのオフィスは東京・南青山にある。地方の県庁広報課が東京に専門のオフィスを構えるのは極めて珍しいことである。

「佐賀県でネットをみて話題になっている情報を収集することは可能です。しかし、熱量というものは現場に行かないと掴めません。すぐに話題の場所や作品に触れるために、東京にオフィスを構え、フットワークを軽くしたいと考えています」と金子さん。

スプラトゥーンが発売されたとき、都内ではたちまち売れ切れになり、ネットでも話題になった。職員もその日に家電量販店を走り回り、肌でその話題性を感じ取った。そうしてスプラトゥーンとのコラボは始まった。

また、アニメ「おそ松さん」がヒットし、大手コンビニとのキャンペーングッズが瞬殺でなくなる様子を目の当たりにし、ファンの熱量に衝撃を受けた。「おそ松さん、ヤバいです…」となり、翌日には企画書があがってきたという。

ネットやテレビの報道だけでなく、リアルなイベントや物販に走り、まずはその熱量を感じ取る現場主義なのだ。

自治体のPRは上から指示が降りてくるトップダウン型も多い。しかし、佐賀県は担当者が上長に提案するボトムアップ型になっている。

先述のように担当者が現場にいき、肌で熱量を感じ取る。そうしたら「私、ポケモンやりたいです!」「おそ松さんファンも喜ぶ企画ができます」と提案があがってくる。

ほかの自治体であるような会議室でできた企画とは、そもそも熱量が違うのだ。顔ハメパネルを作り、職員がスーツにはっぴ姿で「ようこそ! ○○県へ!!」などの企画は本当にファンや県民は喜んでいるのだろうか。

とはいえ、そのような尖がった企画を知事まで了承を得るのは難しいのでないのか。

「佐賀県庁自体が『新しいことにチャレンジしよう』という風土があって。知事もわりとノリノリでやってくれます。あとは、やはり担当者の熱量がすごいので。『必ず成功させます! やらせてください!!』と。だから担当者の“やらされ感”がないのです」と金子さん。

佐賀県の山口祥義知事は過去にネットメディア「トゥギャッチ」で、人気ライターのヨッピーさんと足湯をしながら日本酒を飲むことをしている。多忙のため対談は当初10分の予定だったが、話が弾んで結局1時間語り合うことがあった。この“ノリの良さ”である。

3.県外出身者を積極的に採用

サガプライズ!を含む首都圏広報部署には現在、6人の職員がいる。そのうち2人は県外出身者だ。岩本さんは県内出身者だが、金子さんは岐阜県、楢崎さんは福岡出身である。

そもそも佐賀県庁は毎年10人以上の民間採用枠がある。その条件は職種を問わず、県外で5年以上働いたことがあること。

佐賀県民はいいものを作っている自負はあるが、謙遜してしまい、それを美徳としてしまう県民性があるという。埋もれてしまったものをすくい上げるには県外出身者の視線が必要だ。

佐賀出身の岩本さんは「金子と楢崎は私より佐賀に詳しいですね(笑)。県出身者と目線がまったく違うので新鮮な意見が出てきます。当たり前だと思っていた風習やちょっとした方言でも『おもしろいじゃん!』となるので」と話す。

また、金子さんはアパレル業界出身で数々のコラボレーションを手掛けてきた。楢崎さんは元IT会社勤務でネットのトレンドには常にアンテナを張っている。その作品関連の新商品が出た際などはどれだけ話題になるかなどを観測。「○○新聞載りました」ではなく、ネット上にどれだけファンがいるかを見ている。

このように異業種からの人材が加わることも尖った企画が生まれる一つの要素だろう。

「おそ松さん」や「ユーリ!!! on ICE」、TVアニメ「ポケットモンスター」などのコラボレーションを担当した岩本さんは話す。

「やはりコラボレーションするからにはファンの方に納得してもらうのが大事です。まずは作品に没入し、ファン目線になって、なにがあれば喜んでくれるのか。なにがあれば佐賀に来てもらえるのかを考えます。作品とファンの方があってのコラボレーションなので、そこへの愛は忘れません」

決して県主導では企画を作らない。例えば県側が「この饅頭を売りたい」となって、キャラクターの焼印が押された饅頭をファンは喜んで買うだろうか?

作品とファンを大事にした企画はこうして生まれる。ちなみに岩本さんはおそ松さんでは“一松推し”である。

作品やファンが喜ぶ企画作りを心がけているが、県の予算で行うPRである。当然、県民も納得し、還元されなければならない。

岩本さんはこう話す。

「話題になる企画作りが仕事ではありますが、それで地元の人は喜んでくれるのか、と本来の目的からズレていないかは常に気をつけています。人がたくさん来たら良いというわけではありません。県が勝手にやって、他県から人が大勢来たらなにそれ? と思われるのは当然です」

「なので、企画を進める前には地元の方へのヒアリングを欠かさないようにしています。現在、なにに困っているのか。課題はなにかを聞いた上でチューニングしていきます。県庁の自己満足で終わらせてはいけません」

スプラトゥーンとのコラボレーションは11月〜1月にあった。イカが主人公の「スプラトゥーン」と、イカが名産の唐津市呼子町のコラボだが、冬に開催したのには理由がある。

「呼子町は暖かい季節は観光客が来ます。しかし、冬になると漁港なので寒く、集客が落ち込むのが問題ということが漁師さんたちなどへのヒアリングでわかりました。そこで、地元の方も喜んでもらえるよう冬にあわせて企画をしたのです」と楢崎さん。

地元民が喜ばない“望まない集客”。大勢の人が集まったときに、対応できるだけの宿泊先やタクシーなどのキャパシティはあるのか下調べは欠かせない。

そのため、担当者は企画を進めるにあたり、佐賀と東京の往復を続ける。岩本さんも東京オフィスでの取材後、佐賀県に戻っていった。

課題はあるのか?

そんな佐賀県のPRだが、課題はあるのか。

「20、30代女性をメインターゲットにしてコラボレーションをしてきたので、リーチできていない層がまだまだあります。30、40代の男性の方も佐賀県に来たいと思える企画をも作っていければ」と金子さん。

岩本さんは「課題というか不安事が。26日に佐賀県の吉野ヶ里歴史公園でピカチュウの人文字を1000人で作るのですが、朝7時からですし、1000人も集まるのかなと。この場を借りて、みなさま何卒ご協力お願いします…!」と話す。


抜きん出る佐賀県のネット注力の戦略。突き抜けた企画の裏には職員たちのこのような努力があった。

BuzzFeed JapanNews


Takumi Harimayaに連絡する メールアドレス:Takumi.Harimaya@buzzfeed.com.

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