運転免許試験場で、さだまさしの「償い」を聞かせる理由とは

    加害者も不幸にならないために。

    「運転試験場の違反者講習で、さだまさしの『償い』を聞かされた」

    そんなツイートが話題になりました。

    「償い(1982年)」

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    投稿者によれば、鮫洲運転免許試験場(東京都)で、違反者講習のあと、最後に部屋を暗くして、同曲を聞かされたとのこと。

    BuzzFeed Newsが、鮫洲運転免許試験場に取材したところ、担当者は「実施しているのは事実です」と話します。

    「違反者講習や免許更新者が対象です。『償い』は、交通事故の怖さ、命の尊さを歌ったもの。それをわかってもらうために、今年6月から実施しています」

    「反応はさまざまですが、教官が言うだけでは伝わらないこともあります。交通事故は、被害者はもちろんですが、加害者も不幸にします。少しでも事故を減らすのが目的です」

    これは鮫洲だけではなく、府中と江東の試験場でも行われているそう。

    アルバム「夢の轍」に収録された「償い」は、さだまさしさんの知人の実話をもとに作られた曲です。

    時事通信

    1982年のこと。さださんの知人の女性が、定年を迎えた夫と暮らしていました。しかし、夫が車にはねられ亡くなってしまいます。

    運転手の男性は、土下座をして謝罪。妻は「人殺し」と罵りました。

    男性は、慚愧の念を深くします。それからは、せめてもの償いと、お金を送りましたが、女性は「もうお金は送ってくれなくて結構」と断ります。しかし、その後も送金は続けられました。

    異例。裁判での引用

    Sadeugra / Getty Images

    2001年、東京都で、4人の少年が40代銀行員の男性に対し、車内で足が当たったと口論の末、三軒茶屋駅のホームで暴行を加え、くも膜下出血で死亡させる事件がありました。

    東京地裁において判決公判が行われ、主犯格少年2人に対して、懲役3-5年の不定期実刑が下されます。

    裁判中、「深くお詫びします」と述べながらも、「酔っぱらって絡んできた」などの過剰防衛を訴えたりと少年たちの真に反省しているのか疑問を抱く態度に、裁判長は判決は述べます。

    「あなたたちは、さだまさし氏の『償い』という歌を知っていますか?」「歌を知らなくても、歌詞だけは読みなさい。読めば、あなたたちの言葉がなぜ心に響かなかったのか、分かるでしょう」

    さださんは、この裁判を受け、新聞社の取材にこう答えました。

    法律で心を裁くには限界がある。今回、実刑判決で決着がついたのではなく、心の部分の反省を促したのではないでしょうか。

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