「私はパンケーキより生ホッピー」 “おっさん女子”の生態に迫る

    そのメリットとデメリットは?

    「おっさん女子」

    それは、どこか“おじさんっぽい”女性を指す。数年前、ネットから生まれたスラングだ。

    一般的な定義は、ズボラでおじさんのような生活を送る女性が呼ばれる。また、自らのことをそう呼ぶ。

    なぜ彼女たちは「おっさん」を自称するのか? そこにどのようなメリットがあるのか?

    少ない情報と多くの疑問を持ったBuzzFeed Newsは、実際におっさん女子に接触した。

    私が「おっさん女子」になった理由

    彼女の名前は荻原千佳さん。Twitterでおっさん女子(@chio_081)を公言しており、「おっさん女子の『キャリア系女子宣言!』」というブログも書いている。

    荻原さんは現在、26歳。都内のIT企業で広報を務めている。彼女が「おっさん女子」になったきっかけとは?

    「4年前に篠原涼子さん主演の『ラスト・シンデレラ』というドラマがあったんです。39歳の主人公がおっさん化していくドラマなんですけど、それを観た後輩が『これ、千佳さん(荻原さん)じゃん!』って言われたのが初めてでした」

    「大学生のときからおじさんたちと飲む機会が多かったんです。そうすると、食べるものとか、飲むものとかがおじさんぽいものになっていったんです」

    「同世代の子たちと飲みに行っても、エイヒレとかあん肝とか頼みづらくて。“赤提灯系”の小汚い居酒屋とかも行かないじゃないですか。だったら、いっそのこと『私はおっさん女子です』と自称した方が楽なんです」

    飲みに行った際、おっさん女子と前置きしておくとビールやホッピー、紹興酒など食べたいもの、飲みたいものが頼みやすくなるという。

    彼女の名刺の裏には「おっさん女子」とある。広報という仕事柄、名前を覚えてもらうきっかけにもなるそうだ。

    好きな酒の肴は? という問いに、「あん肝とか塩辛。いまはうなぎの肝串にハマっています」と答える。

    現在は彼氏と同棲しており、飲みに行く機会は減ったそうだが、以前は自宅には寝に帰るだけだった。

    飲みに行ったら一軒だけでは帰ることはなく、はしご酒。週末には朝まで飲み明かすこともあった。

    自宅で飲むときは、モルトやグリーンラベル、イオンのプライベート商品など(まいばすけっとで購入する)。

    たまに贅沢をするときはプレモル、一番搾り。もちろんロング缶だ。甘いカクテルは飲めない。

    酒が好きだったら「おっさん女子」なのか?

    ここまで聞いていると「お酒が好きな女子=おっさん女子」というイメージがある。

    それ以外に定義はあるのだろうか。

    「私も銀座とかおしゃれな店に行きます。おいしいものが食べられたらいいんです。ただ、おしゃれなだけであまりおいしくない。しかも高い店ってあるじゃないですか? それこそ『THE女子会』みたいな。そういう店は嫌なんですよ」

    「だったら、新橋の高架下でワイワイ飲んだ方が好き。スイーツとか全然行きたくないです。甘いものが嫌いなわけじゃないですが、わざわざ何時間も並んで食べるのは理解できない。私はパンケーキより生ホッピーが飲みたいです」

    疑うわけではないが、おすすめの店を聞いてみた。

    好きな店①「元希」(神田)

    元希(神田) https://t.co/LBQVwVQyvW #tabelog

    ▲生ホッピーが飲める

    好きな店②「たこ八」(銀座)

    ▲たこ焼きとおでんが名物

    「あとズボラかどうかも定義だと思います。私、本当に面倒くさがりでマスカラするのも面倒なんです。お酒飲んだ後、落とすのが大変じゃないですか。化粧水もよっほど乾燥していないとつけません」

    「料理も適当で…。冷蔵庫の残り物でサッとつまみを作るくらい。インスタにあがっている料理みたいにわざわざ材料を買って作る気はしないです。一応ほかの人の写真に『いいね』はしておきますが」

    荻原さんは外食をしても写真はあまり撮らず、SNS上にアップすることもあまりない。「みんな撮っているし、一応撮っておくかくらい」とのこと。

    余談だが、インスタで元彼から「お前肉ばっかりアップしているな」とコメントが来て速攻でブロックしたらしい。

    おっさん女子の悩みとは?

    おっさん女子にも悩みはあるようだ。

    「飲みに行ってサワーとかモヒートとか頼むと相手が『え?』となる瞬間がありますね。私だってそれくらい飲むよって」

    「あと連れて行ってもらう店のランクが下がっているような。汚くて安い店だったらなんでもいいでしょ? と思われている。そういうわけじゃないんですけどね。あと『おっさん女子なんでしょ!?』と飲みにいったらなかなか帰らせてもらえないことはあります」

    「そのぶん『私はこういう人です!』と主張しているので、本当に気があう人とだけ繋がっていられるメリットはあります」

    結局のところ、ギャップ狙いなのでは?

    ここまで読んで「全然おっさんじゃないだろ」と思う人もいるだろう。

    詰まるところ、自らを「おっさん」と呼ぶことで、ハードルを下げる狙いがあると記者は思っていた。

    「たしかにギャップ狙いとかはよく言われますね。『おっさんじゃないじゃん』とか『ハードル下げているだろ』とか。けれど、決して見た目から自称しているわけではありません。中身がそうですよって」

    「そのうえで無理だと思って私から離れてくれてもいいです。昔から付き合っている友だちだったら私が『おっさん女子』と名乗っていても違和感ないと思います。記事が掲載されたあと、賛否はあるだろうし、叩かれてもしょうがないかなって思います」