全盲の長男が任天堂に送った手紙。まさかの“神対応”に賞賛の声

    希望を与えた一通の手紙がSNSでも話題に。

    全盲の長男が任天堂に手紙を送ったら、返事がきた。そんな投稿がTwitter上で話題になっています。

    投稿者は父親のけんたろーさん(@kentarock1020)。BuzzFeed Newsの取材に話します。

    長男の酒井響希くんは、1歳半のとき眼球に異変を感じ、検査をしたところ、両眼性網膜芽細胞腫という小児がんが発覚しました。

    化学療法やセカンドオピニオンなどできることは尽くしましたが、両眼の温存治療を長引かせた結果、がんが両眼から転移している可能性があることがわかり、「命を取るか両目を取るかどちらか選んでください」と主治医から迫られます。

    家族で話し合い、命を最優先して両眼の摘出手術を受け、2歳になってすぐに全盲になりました。

    「両眼摘出手術を受けた約8年前はつらくて涙する日々でしたが、響希の前向きに生きようとする生命力が私たち一家に光を届けてくれました。4歳でドラムを始めてからは父である僕の方が教えられることばかりです」

    「障害=不幸・大変みたいに思われがちですが、障害があっても不幸ではなく、障害に負ける心が不幸なんだと響希が教えてくれてます。全盲という宿命を使命に変えて、世界に勇気と希望を届けられるドラマーになると大きな目標を持って毎日頑張ってくれています」

    RADWIMPSの「前前前世」を演奏する響希くん。

    12/24(土)AM1314ラジオ大阪主催:2016ラジオチャリティーミュージックソン ドラム演奏出演 #RADWIMPS /#前前前世 前半 #全盲ドラマー #totallyblinddrummer #10歳 #君の名は。… https://t.co/EvJyC06pIt

    ドラムを始めたきっかけをこう話します。

    「全盲となった当時、おもちゃで遊ぶことすらできずにいました。なので自宅の壁や床などを叩いて音を楽しむしかなかったんです」

    「そして、近所に住む友人宅にドラムがあることを思い出し、3歳のときに試しに叩かせてもらったところ、響希が迫力のある音に凄く感激し、ドラムを叩きたいと訴えてくるようになりました」

    4歳になってから月3回のレッスンを始めたそうです。

    そんな響希くんが唯一遊べるゲームが任天堂の「リズム天国」でした。シリーズをパーフェクトし、任天堂に感謝の手紙を送りました。

    響希くんが送った手紙。

    任天堂さんへ

    はじめまして。僕は小学5年の酒井響希です。

    僕は目が見えないけど僕も皆と同じようにゲームがしたいとずっと思っていました。でも僕ができるゲームはほとんどありませんでした。

    その中で、僕が唯一できたゲームがリズム天国です。そのゲームだけは皆と一緒に楽しくできるし、このゲームは誰にも負けませんでした。

    ゲームボーイアドバンス版もDS版もwii版も3DS版もすべてパーフェクトをとる事ができました。

    なのでこれからもリズム天国を絶対に絶対に出して欲しいです。もう少し難しくても大丈夫です!!

    僕以外にもゲームがしたくてもできない視覚障害の子がきっといると思います。

    だから体にハンデがあっても皆と一緒に楽しめるゲームを是非開発して欲しいです。これからも任天堂さんを応援します。

    酒井響希より。

    すると、任天堂からの返事が…。

    これに対し、Twitter上では「ドラムをやっているとやっぱりリズム感がいいのかな? すごい!!」や「さすが任天堂」など賞賛の声が寄せられました。

    けんたろーさんは話します。

    「響希本人は、とてもびっくりして喜んでいました。また、発売予定のなかったリズム天国の新作が、もしかしたら発売されるかもしれないと思えるようになり、楽しみができたと言っています」

    「私たち親としては、まさかたった1人の子どもが書いた手紙に対して、迅速な対応で心のこもった返事が返ってくるとは思ってもいなかったので正直びっくりしました。新作が発売される、されないに関わらず響希にとってそれが大きな希望に変わったことがとてもうれしかったです」