「イッテQ」やらせ報道後の番組 疑惑には触れず予定通り放送

    週刊文春が11月15日号で報じていた。

    日本テレビの人気番組「世界の果てまでイッテQ!」が11月11日、放送された。週刊文春が報じたやらせ疑惑には触れず、予定通りに番組を放送した。

    週刊文春がやらせ疑惑報道

    11月8日発売の週刊文春(11月15日号)が、5月20日に放送されたこの番組の人気コーナー「世界で⼀番盛り上がるのは何祭り?」で「やらせ」があったと報じていた。

    この回では、ラオスの「橋祭り」という祭りを紹介し、タレントの宮川大輔さんが実際に参加する様子を放送した。

    それによれば「橋祭り」は、橋に見立てた全長25メートルの板を、回転する4つの大きな玉をよけながら自転車に乗って渡るもの。スピードなどを競って、優勝者を決める。

    文春は記事でそもそも「そんな祭りは存在しない」と報じた。

    記者が、ラオスに入り、3週間にわたって取材。「橋祭り」出場者や日本人駐在員、駐日ラオス大使館、同じ日に会場であった「コーヒーフェスティバル」を主催したラオスコーヒー協会の事務局などに取材をした上で、やらせと報じた。

    日テレはやらせ疑惑を否定

    日本テレビは8日、報道に対し、番組公式サイトで見解を発表した。やらせ疑惑を否定している。

    今回の企画は、現地からの提案を受けて成⽴したもので、番組サイドで企画したり、セットなどを設置した事実はなく、また、番組から参加者に賞⾦を渡した事実もございません。

    ラオスの情報⽂化観光省には、番組の趣旨を⼗分に説明し、正式な⼿続きを経て当局の許可をいただき、撮影にもご協⼒をいただきました。

    現地コーディネート会社からの提案では、⽔の上の⼀本橋を⾃転⾞で渡る催しは、東南アジアのテレビ局でも取り上げられるなど各地で⼈気となっている催しとの事で、番組サイドでも資料映像等を確認した上で、企画決定に⾄りました。(原文ママ)

    文春の記事では、ラオス国内の観光イベントを管轄する、情報文化観光省観光部の担当者が「こうした自転車競技はラオスには存在しません」と話し、同省マスメディア局の担当者が日本側の働きかけで実現して「ラオスで初めて行われたもの」と証言したと書いている。

    この点について、日本テレビは「コーディネート会社から、ラオスでは村単位で開催されているという説明はあった」とする。

    一方、番組内で『年に一度の祭りとあって町中の人が集まってきた』『東南アジアで大流行』などの表現を用いたが、この会場においては初開催だったことを認めた。

    そして「今回放送した会場での開催実績を⼗分に確認しないまま作業を進め」、「放送では毎年⾏われているかのような、誤解を招く表現となりました。この点については、番組として真摯に反省すべき点があったと考えております」とした。

    報道後初の放送、疑惑には触れず

    疑惑報道後、初の放送となった11日放送回。

    番組ではやらせ疑惑には触れられず、予定通り放送。問題にされた「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」のコーナーは、当初から放送の予定がなかった。

    文春の報道後、ラオス政府が今後の対応を協議したり、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理委員会が日テレに対し、番組制作の経緯に関する報告書と映像の提出を求めたりと波紋は大きくなっている。