ここ最近、アニメ実写化報道が相次いでいますが、その度に話題になる男がいます。
そう、藤原竜也さんです。

藤原竜也さんが出演したアニメ実写化作品は「デスノート」や「カイジ」、「るろうに剣心」「僕だけがいない街」など。
いずれもネットユーザーからの支持が高く、「実写化するなら藤原竜也さん呼んでください」「信用できる言葉は唯一『主演 : 藤原竜也』」などの声が挙がります。
「デスノート the Last name」は公開された2006年の興行収入5位にランクイン。また、「るろうに剣心」も興行収入30億円を超えるヒット作になっています。
なぜ彼の作品はこれまで支持、成功するのでしょうか? BuzzFeedは、映画批評家の前田有一さん(@maedayuichi_)に彼の魅力を聞きました。
どんな役柄でも、自分に引き寄せる
前田さん:藤原竜也という役者は、役に自分を合わせるのではなく、役柄を自分に引き寄せるタイプの俳優です。
一方で、体重を増減したり、歯を抜いたり、体当たりな役作りに挑む俳優はあとを絶ちません。
けれど極端な話、こうした過激な役作りは、覚悟さえあれば誰でもできます。少なくとも特殊な才能などは必要ありません。
しかし、藤原竜也のようにどんな役柄でも自分に引き寄せ、「藤原竜也版"志々雄真実"」や「藤原竜也版"藤沼悟"」など、すべて"藤原竜也印"をつけてしまう俳優は数少ないです。
そして、やりたくても誰にでもできることではありません。
舞台で鍛えた演技力
前田さん:たとえば高倉健のように、群を抜くオーラや華がなければ、ほかの役者は敵いません。
藤原竜也の場合は、そうした華と魅力があるうえに舞台で鍛えた安定した演技力もあります。
魅力と実力とスター性を兼ね備えているから、彼の主演作品は好まれるのです。
こうした現象は、日本映画の全盛期には多くのスター作品で見て取れたものですが、最近は映画俳優という概念自体が消滅寸前なので、新鮮に映ります。
ようは藤原竜也というのは、映画俳優の素質がある。現代では非常に数少ない貴重な存在ということです。

なぜ、アニメ実写化は叩かれるのか?
アニメ実写化報道の度に、「二次元を三次元にしてなんの意味がある」「実写化してよかった作品を知らない」など批判の声が挙がります。
ここからは少し話を変えて、そもそも「なぜアニメ実写化は叩かれるのか」を前田さんに聞いてみました。
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前田さん:なぜ叩かれるのか。その理由は明快です。凡作駄作ばかり量産しているからです。
アニメや原作の実写化というのは、作り手側にとっては多かれ少なかれビジネス上の利点が大きいからやる、やれるわけです。
「製作委員会を組みやすい」「お金が集まりやすい」「ヒットしやすい」など、いろいろなメリットがあります。
そして、ネット時代の今ではそうした事情は誰もがある程度は知っているわけです。
そういった事情があるのに、出来がひどい。
または、ファンの心情を無視した作品ばかり作っているものだから、「邦画は自分たちだけが儲けるために、ファンを無視した身勝手な駄作ばかり作っている」という印象が拭い去れないほど浸透してしまいました。
こんな状況では、アニメ実写化の話題が出るたびに叩かれるのもやむなしです。

実写化において、製作陣が肝に銘じておくこと
前田さん:解決するには、ファンの気持ちに応えたコンセプトと、高い品質の映画を作ればいいのです。
とくに、原作ものはファンのためにある。ファンを喜ばせるのが第一目的であることをスタッフ・キャスト一同、肝に銘じて作ることです。
「ファンのおかげでビジネスをさせてもらっている」その謙虚さを絶対に忘れてはいけません。