武雄市の幼稚園がプールにEM菌投入 専門家は「まったくの迷信」

    「水をきれいにするため」としていますが…

    佐賀県武雄市にある北方幼稚園のブログが問題視されている。

    問題になっているのは、6月3日に公開された「プール開き」と題されたブログ。そこには、写真付きで以下のように文がある。

    2日のプール掃除できれいになってプール保護者の皆様には朝早くからありがとうございましたそして、今日3日、プール開きをしました。みんな事故なく、楽しく水遊びができますように。北方町婦人会の皆様が届けてくださったEM液も投入して、さらにきれいな水になりますようにいいお天気に恵まれて、楽しい水遊びができました慣れてきたら、少しずつ水の量を増やしていきます。

    問題になっているのは、「EM液を投入」というところだ。

    EM菌とはなにか?

    そもそもEMとは、Effective Microorganisms(有用微生物群)の略称。特定の菌ではなく、複数の細菌や酵母菌などを混ぜ合わせたものだとされている。

    当初は「環境に優しい農業資材」として売り込まれ、東日本大震災以降は放射能除去効果があるとも謳われた。

    しかし、「疑似科学」との批判も根強い。福島県生活環境部生活排水対策推進指導員講習会資料はこちらから。提供は片瀬久美子さん(@kumikokatase)。

    どう問題になっているのか。

    このブログを見た、うさらぼさん(@3x92)が以下のように指摘している。

    (プールに"EM菌"を懸濁した)武雄市立北方幼稚園, ぼくが書き込んだ注意喚起コメントを消去した上にコメント欄自体を無くしやがった. 極めて悪質性が高く, ç·Šæ€¥æ€§ã‚‚ã‚ã‚‹ãŸã‚æ–‡éƒ¨ç§‘å­¦çœã«é€šå ±ã™ã‚‹ã“ã¨ã¨ã™ã‚‹.

    これをきっかけに、批判の声が多数挙がり、“炎上”という流れになった。

    BuzzFeedが北方幼稚園に経緯を聞くと、きっかけは婦人会の勧めだったという。

    「EM菌の使用は、婦人会の方から『水がきれいになる』と勧められたのがきっかけ。効果は確かめなかったが、EMだんご※の事例も見ていたので大丈夫だと思った。また、無下に断るのも申し訳なかったので」

    ※EM菌を練り込んだ泥だんご。NPO法人地球環境・共生ネットワークが主催となって海川に投げ込むイベントが開かれていた。

    EM菌の投入は今年に始まったことではなく、例年の対応だという。

    「例年は、プール掃除をする前にEM液を投入している。毎年、プール掃除の際に、婦人会がEM菌を持ってきてくれるのだが、今年はプール開きの日に持ってきた。そのまま使わないのも申し訳ないので、少し投入した。そのあと、子どもに足をつける程度の水遊びをさせた。そのあと、水は新しいものに入れ替えた」

    担当者は、困惑した声でこう話す。

    「今のところ、子どもたちへの害は確認されていない。なぜこのように大騒ぎになっているのか……」

    今朝、ブログの管理会社から「問題になっている」と連絡が入り、園児の水着姿の写真とコメント欄を削除するという連絡が入った。現在は、当初の写真とコメント欄がない状態になっている。

    「市役所からも『問い合わせが殺到するかもしれないが、しっかり応対できるように』と言われた」という。

    市の対応は?

    同園は、武雄市の管理下にある。

    市役所に問い合わると、1分間ほど保留が続き「プールのことに関しては、直接、幼稚園に問い合わせてください」と言われ、電話番号を告げられた。

    これは、BuzzFeedが幼稚園に取材したあとの出来事だ。

    専門家「まったくの迷信です」

    そもそも、EM菌で水はきれいになるのだろうか。擬似科学に詳しい物理学者の菊池誠さん(@kikumaco)に聞いた。

    「まったくの迷信です。むしろ、きれいになった水に雑菌を撒いているだけです。体への害に関しては、量によって異なるのでなんとも言えませんが。いずれにせよ、衛生面で悪いのは確かです」

    「掃除のときに使用するのは見たことがありますが、きれいな水に投入するのは初めて見ましたね」

    ※サムネイル画像はイメージ The Asahi Shimbun / Getty Images

    CORRECTION

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