【電通過労自殺】「他社の方がひどいのでは?」現役社員が思うこと

垣間見えた社内の雰囲気。

大手広告代理店・電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が、過労により昨年12月、自ら命を絶った。

長時間労働が当たり前になっていると言われると社内は、どうなっているのか。BuzzFeed Newsは、現役女性社員に話を聞いた。

高橋さんが、社員寮4階から飛び降りたのは2015年12月25日の金曜日。社内でそのことが公になったのは、週明け28日の月曜日だ。

そのときの、率直な気持ちをこう語る。

「代理店は、クライアントのわがままを聞くのが仕事です。それに耐えられなかったのかな、と考えました」

「『仕事がつらいうえに、私生活もうまくいかず、自ら命を絶ってしまったのでは』というのが、翌週の社内の空気感でした。あくまで個人の問題であり、最終的に会社が責められるものだとは、私自身はまったく思っていませんでした」

高橋さんは亡くなる前、Twitterに以下のような投稿をしている。

「男性上司から女子力がないと言われる、笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である」

「私の仕事や名前には価値がないのに、若い女の子だから手伝ってもらえた仕事。聞いてもらえた悩み。許してもらえたミス。程度の差はあれど、見返りを要求されるのは避けて通れないんだと知る」

「髪ボサボサ、目が充血したまま出勤するな」

「君の残業時間は会社にとって無駄」

セクハラ、パワハラがあったとも思われる内容だ。

話を聞いた女性社員自身は、露骨なセクハラは「体験したことがない」と話す。

「高橋さんと、上司の関係性が良くないことは、社内でも知られていました。社員が亡くなったら、同期や仲の良い社員たちがお悔やみを書くのですが、そこに上司も書いていて、本当に気持ちが悪かった」

高橋さんは、月の残業時間が100時間を超えることもあった。この点について聞いた。

「私たちが、世間の常識からずれていることは、認識しています。部署にもよりますが、100時間を超えている人はほかにもいるので、そんなに驚く数字ではありません」

「それより、一連の報道が出たいま、社員同士で話されているのは『他社の方がひどいのでは?』ということです」

100時間を超える残業は、「業界の常識」なのだろうか。

繰り返された悲劇

電通では1991年にも、入社2年目の男性社員が過労自殺している。遺族が起こした損害賠償請求訴訟で、最高裁が「会社は社員の心身の健康に対する注意義務を負う」との判断を示した。

高橋さんの死で、社内に変化はあったのか。

「彼女が亡くなる前から、会社は改善に向かっていました。60時間以上の申請は、年に3回しかできなかったり、産業医の診断を受けないといけなかったり、会社としてやれることは、やっていると思います」

それでも、悲劇は繰り返された。

「これ以上、できることってなんだろうと。今回の件で変わったことは、特にありません」

このインタビューは、抜き打ち調査の前に実現したものだ。10月17日には、社長から社員に対し、労働時間の上限引き下げが通達された

ただ、この女性社員が証言しているように「60時間以上の申請は年3回」や「産業医の診断」などの対策はすでに取られていた。今回の労働時間カットがどれだけの実効性を持つかは、まだわからない。

最後に、女性社員はこう話した。

「従業員7000人の中で、2000人が高橋さんと似た状況にいると思います」


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