「クレジットカードの手数料は個人負担」 飛鳥交通、現役ドライバーから証言

    見えてくる業界の実態。

    タクシーでクレジットカード払いをすると、手数料はドライバー負担になる。

    Twitterユーザーが、ドライバーから聞いたというツイートが話題になった。

    そのような実態は存在するのか。BuzzFeed Newsが、日本交通、帝都自動車交通、国際自動車の大手三社に取材したところ、共通して「そのようなことはない。すべて会社負担」と回答した。

    しかし、ハイヤー・タクシー事業者の団体「全国ハイヤー・タクシー連合会」 (全タク連)からは、「そのような会社があることは、把握している」「協会としては、この実態を重く受け止めている」との回答を得た。

    これを報じたところ、「うちの会社は個人負担」と複数の現役ドライバーから、BuzzFeed Newsに情報提供があった。

    うち2名は、いずれも飛鳥交通グループ所属のドライバー。同社は、東京無線タクシー加盟会社で、東京、神奈川、埼玉、千葉に事業所を展開している。

    グループ売上高、約329億円(平成28年4月現在)。従業員数は、5,309名(公式サイト参照)で、東京無線タクシー加盟会社のなかでも大手グループ。

    代表取締役社長の川野繁氏は、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会の会長も務める。

    BuzzFeed Newsは2人から詳しく話を聞いた。2名には資料を提供してもらい、現役社員である確認を取っている。

    Aさんの場合

    「業界の慣習ですが、この問題が明るみに出たのがうれしかった」とAさんは話す。

    「飛鳥交通グループのなかでも負担額は違うかもしれませんが、私が勤めているところでは、クレジットカード手数料の8%のうち、ドライバーが3.6%持ちです」

    手数料がかかるのは、クレジットカードだけでなく、タクシーチケットや電子マネーも含まれるという。

    「月にすれば、8千〜1万円が手数料として給与から引かれます。入社時に説明はなく、あとから先輩に聞いて実態を知りました。以前、会社に対し、乗務員で訴訟を起こそうとしたこともあったようです」

    「クレジットカード手数料のほかにも、『ナビゲーション代金』として、1日乗務するたびに300円が引かれる。運転するには、ナビは必須なのに。クレジットカードの手数料問題は、氷山の一角です」

    Bさんの場合

    Bさんは、こう話す。

    「現在、クレジットカード、電子マネーなどの手数料6%が個人負担。クレジットカード会社が発行しているタクシーチケットの場合は、3〜4%負担です」

    「入社時、説明はありましたが、業界の常識なのかと。しかし、ほかの会社の求人広告で『乗務員負担一切なし!!』など見かけるようになり、だんだんと疑問を持つようになりました」

    給与でいえば、月に6〜7千円ほどが、手数料として引かれるという。

    そもそもなぜ、このような実態になっているのか。Bさんは、こう考える。

    「結局、会社の経費を減らしたい。少しでも売り上げを多くしたいという考えのしわ寄せが、乗務員に来ていると考えざるを得ませんね」

    飛鳥交通「そう決められている」

    BuzzFeed Newsが飛鳥交通に取材したところ、「労使協定で、そう決められている」と乗務員負担があることを認めた。

    なぜ乗務員負担なのか?

    「協定上によるもの」だという。乗務員から反発はあるかと問うと「なくはないと思う」と回答した。

    「無理して現金払いに」ではなく......

    Bさんは、タクシー業界のおかしな常識を知ってもらいたい、報道によって業界が良い方向に変わればと、BuzzFeedに連絡したという。

    「決してお客様に、『無理して現金払いにしてください』というものではありません。これは、業界の問題。気負うことなく、タクシーを利用してもらえれば助かります」