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痴漢被害の「ブラックボックス展」 女性側が民事訴訟へ

損害賠償と主催者らからの謝罪を求める。

痴漢被害を訴える声が上がり、問題になっていた「ブラックボックス展」。被害を受けたとする女性らが近く、主催者らに対して、損害賠償を求める裁判を起こすことがわかった。

うち一人の女性(Aさん)がBuzzFeed Newsの取材に対して明らかにした。

ブラックボックス展とは

そもそもブラックボックス展は、5月6日から東京・六本木のギャラリー「ART & SCIENCE gallery lab AXIOM」で開催されていたアート展。

展覧会は、フォロワー20万人を超えるTwitterアカウント「サザエBOT(@sazae_f)」の運営者として知られる「なかのひとよ(@Hitoyo_Nakano)」の初の個展だった。

展示の内容は、暗闇の部屋に入るだけ。部屋になにか展示物があるというわけではなく、その暗闇の部屋に入ること自体がアートだった。部屋には不特定多数の人物が入れられた。

暗闇なので、他人と体が触れ合う可能性は十分に考えられる。ところが、その暗闇の部屋の中で、何者かにキスをされたり、胸を揉まれたりと痴漢被害を訴える女性たちがいた。BuzzFeed Newsは被害を受けたとする女性たちから証言を得ていた。

痴漢被害の報告がSNS上で多発したことを受けて、ギャラリー側は6月21日、公式サイトで「予期せぬ来場者による様々な行為」があったとして、騒動についての謝罪文を掲載した。

なかのひとよ氏もTwitterで以下の謝罪文を投稿した。

<お知らせ> ネット上に投稿されております #ブラックボックス展 の被害報告と騒動につきまして、ご来場者さまをはじめ、ギャラリーの皆さま、過去展示作家の皆さま、フォロワーの皆さま、全ての関係者の皆さまに多大なるご心配・ご迷惑をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。

民事訴訟へ

Aさんを含め、被害を受けたとされる女性たち数名は、管轄の警視庁麻布署に痴漢被害の届けを提出していた。しかし、暗闇での出来事で相手がわからないため、受理されなかった。

Aさんによれば、この件を捜査していた麻布署は、「なかのひとよ」氏を署に呼んで事情聴取をしたが、7月中旬に捜査を打ち切った。

警察から「なかのひとよ」氏は調べに対し「深く反省している」と述べ、二度と同じような展示を行わない旨の誓約書にサインをしたと、伝えられたという。

ただ、女性たちへの謝罪は「なかのひとよ」氏、ギャラリーのどちらからもなかった。

Aさんは、痴漢被害を受けて調子を崩し、現在、心療内科に通っている。これから起こす裁判で、なかのひとよ氏、ギャラリー側に損害賠償と直接の謝罪を求める予定だ。

警視庁広報課はBuzzFeed Newsの取材に対し、今回の件に関して「個別の案件に関するコメントは控える」とした。

BuzzFeed Newsは6月22日以来2度、「なかのひとよ」氏にメール、SNSのダイレクトメッセージで取材を申し込んでいるが、現在まで返答はない。