安全靴で蹴られ肋骨3本を骨折… 実習生への暴力が常態化した建設会社、国が受け入れの認定取り消し

    ベトナム人技能実習生が2年間にわたり暴行を受けていた岡山市内の建設会社。政府は行政処分を行い、技能実習生を受け入れる認定を取り消しました。

    ベトナム人技能実習生が2年間にわたり、働いていた建設会社で暴行を受けていた問題で、政府は行政処分を行いました。

    出入国在留管理庁と厚生労働省は2月18日付けで、岡山市の建設会社「シックスクリエイト」の技能実習計画の取り消しを発表しました。

    取り消し処分の理由として厚労省などは、「技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行った」と説明しています。

    時事通信などによると古川禎久法相は閣議後の記者会見で、「人権侵害行為に対しては厳格に対応し、制度の適正な実施を徹底する」と述べました。

    技能実習法では、実習生の受け入れには「技能実習を行わせる体制及び事業所の設備が主務省令で定める基準に適合している」などの条件が必要と定められています。政府は今回、この条件が満たされていないと判断しました。

    2年間被害に。「誰にも相談できなかった」

    暴行被害を受けたベトナム人技能実習生と、男性を保護している労働組合「福山ユニオンたんぽぽ」は1月25日、日本外国特派員協会で会見を開き、被害について訴えていました。

    男性は会見で「暴力と暴言がひどかったが、なかなか誰にも相談できなかった」と述べ、次のように話しました。

    「怖く、パニックになり、どうすればいいかわからなかった。相談したら、会社で働けなくなって、ベトナムに帰らなければいけなくなるのではと怖かった」

    「家族に知られ、心配されたくなかった。暴力が始まってから最初の1年は、ベトナム人の先輩以外には誰にも言えなかった」

    実習生は2019年10月に来日。働いていた建設会社では、およそ2年にわたり、日本人従業員からの暴力と暴言の被害に遭っていました。

    男性は2021年6月に岡山の監理団体に相談。一時的に暴力が止まったものの、再び被害を受けるようになりました。監理団体も実質、機能していませんでした。

    暴力がやまなかったことから、男性は2021年10月、労働組合「福山ユニオンたんぽぽ」に相談。シェルターに保護されました。

    作業中に安全靴で左胸あたりを蹴られ肋骨3本を骨折したり、大きな部品を投げ渡されて歯を折り、左唇をケガをして4針縫ったりした際にも、実習先の企業は労災申請をしていませんでした。

    「福山ユニオンたんぽぽ」の武藤貢・執行委員長は会見で、「技能実習生をめぐる低賃金、暴力、パワハラの問題は、日常茶飯事におきています」「この問題の根底には、技能実習生制度の矛盾がある」と指摘。

    一時的な対応でなく、制度や体制を根本的に改善する必要があると訴えていました。

    岡山市内の建設会社で働いていたベトナム人技能実習生の男性が、職場の複数の日本人従業員から、殴る蹴るの暴行を繰り返し受けていました。 男性は「暴力と暴言がひどかったが、なかなか誰にも相談できなかった」「さらに暴力がひどくなるのが怖かった」と話しています。 https://t.co/ZIbggYsLKd

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