日本語に不慣れな外国人にコロナワクチンの情報を届けようと、各地の自治体で様々な取り組みが進んでいる。
大阪府豊中市では、「言葉の壁なくワクチンを」と、案内から予約、接種までを10言語でサポートする体制を整えた。
豊中市ではまず、在住外国人が自宅に送られてくる接種券の封筒に気づかず「開けずに捨ててしまうことがないように」と、10の言語での情報案内を用意。市内の外国人に段階的に送った。
用意したのは、やさしい日本語、英語、中国語、韓国・朝鮮語、タイ語、インドネシア語、スペイン語、フィリピノ語、ベトナム語、ネパール語だ。
目立つ黄色い封筒に赤い文字で、多言語で「重要」と印字した。
市の担当者によると、接種券の送付時期は年齢により異なるため、保健所と連携して送り終えたという。
ウェブ予約も多言語で。会場に10言語通訳も
日本人でも難しさを感じることが少なくないワクチンの予約は、日本語を勉強中の人にはハードルがさらに高い。このため豊中市は10言語でのウェブ予約システムをつくった。「とよなか国際交流センター」が市の委託を受けて運営している。
接種の際にも受付や問診で会話のやり取りがあるため、とよなか国際交流センターを接種会場とし、10言語の通訳を配置した。
これらの情報は、公益財団法人「とよなか国際交流協会」のFacebookページでも多言語で発信している。
市の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し「日本に住み始めて時間が経ってない外国人の方などの、接種の役に立てばと思います」と話す。
国際交流センターでの集団接種は、通訳を利用できるほかに、外国人住民にとって訪れやすい場所であることにも配慮した。
担当者は「国際交流センターでは日本語教室や子ども向けのイベントなどもあるので、普段から利用している人は来やすいと思います。これまで利用したことがない人も、接種をきっかけに知ってもらえれば」と話した。
モスクで接種、問診票書き込み手伝いなど各地で取り組み
豊中市のように案内から接種まで、一貫して多言語でサポート体制が整備された例のほかにも、各地で動きが出ている。
神奈川県海老名市では7月末から、地域の外国人が礼拝などに訪れるモスク「海老名マスジド」で接種を行う。
海老名市は発表で、「市の集団接種会場の予約は日本語でしか予約ができず、言葉がわからないために会場へも行きづらいことから、外国人が定期的に集まるモスクに海老名市医師会が出向き、希望する方に接種を行います」としている。
市によると、モスクを利用する人は、海老名市のほかにも綾瀬市、座間市在住者など含めると約1200人。先行して海老名市在住の人から接種を進め、今後のワクチンの供給量に合わせて対象を広げていく予定。