路上生活者にワクチンをーー。接種券も情報も「届いていない」。団体が実態調査。区と調整
路上生活者の支援団体が新型コロナワクチンに関する実態調査を実施。自治体とも調整しながら、希望者への接種を急いでいる。
接種券を受け取る住所がない路上生活者は、どうやって新型コロナウイルスのワクチンを接種すればいいのか?
ワクチン接種の予約には接種券が必要だが、住民登録がない路上生活者には自動的には接種券が発行されない。
支援団体が自治体と調整しながら、希望する路上生活の人たちにワクチンを接種してもらう方法を探っている。
東京都台東区の山谷地区を拠点とする支援団体「ひとさじの会」は6月、路上生活者200人にワクチン接種に関する聞き取り調査をした。
回答した200人中112人が60歳以上で、コロナ重症化リスクが高いとされる高齢者が多かった。
200人のうち接種済みは11人、未接種は149人。
未接種の149人中28人が「接種予定」(予約済・予約予定)で、73人は「接種したい」、48人は「接種したくない」だった。
ひとさじの会が実施した路上生活者に対する調査から「コロナワクチンの接種状況と接種意向」。N/Aは「その他」
接種希望者の9割以上が「接種券なし」
接種したいと答えた73人に接種券の有無を聞いたところ、9割以上にあたる68人が「接種券がない」と答えた。
そのうち60歳以上が37人、40〜59歳が21人を占めた。
アンケートがとられた台東区では、すでに接種予約や接種が始まっている年代だ。
調査結果からは、接種を希望していても、接種券を受け取れないために予約に進めない人たちが多数いることがわかった。
ひとさじの会が実施した路上生活者に対する調査から「接種希望者の接種券の有無と年齢」。N/Aは「その他」
「接種券、受け取り接種できる方法探したい」
「ひとさじの会」事務局長の吉水岳彦さんは、BuzzFeed Newsの取材に「接種を希望する人がワクチンを打てるよう、接種券を受け取れる方法を探していきたい」と話す。
山谷地区では「山谷労働者福祉会館」が、路上生活者の接種券を会館で受け取れるようにして、接種予約を進めている。
すでに接種できた人もおり、今後はひとさじの会など複数団体で連携して、この動きを加速させていくという。
住民票がない人、住民票があってもその住所ではなく路上で生活している人など、人によって状況は様々。
必要なのは、接種券がない人について区役所と調整して券を受け取り、予約できるようにすることだ。
「ひとさじの会」の事務局長・吉水岳彦さん
吉水さんは、ワクチンに関する情報が路上生活者に届いていないことにも懸念を示す。
路上生活者の多くは、ネットやテレビから情報を得づらい環境にある。
接種や予約の方法だけでなく、打つか打たないかの判断材料となるワクチンの効果や副反応などの情報も、十分に伝わっていないという。
アンケート調査で接種しないと答えた人たちからは、「副反応が心配」「後遺症が出るかもしれない」と心配する声も聞かれた。
吉水さんは言う。
「確かに副反応で高熱を出した時に、路上では誰にも面倒を見てもらえないんじゃないか、という怖さはあると思います」
「家があって、家族など誰かがみてくれる状況ではないので、難しさはあります。(経済的な問題から)医療にかかりにくいという現状もあります」
ひとさじの会では今後、希望する路上生活者が接種券を受け取れるよう、他団体とも連携していく方針。
台東区と調整がつき次第、夜回りや炊き出しでチラシを配布するなど、ワクチン情報の周知に努めるという。
(サムネイル:Sumireko Tomita / BuzzFeed)


