4年越しに叶った"夢"。「日本にもこのスターバックスを作りたい」聴覚障害がある女性の思い

    東京都国立市に、手話が共通言語のスターバックス店舗がオープンします。立ち上げに関わった人たちが思いを語りました。

    東京都国立市に6月27日、「手話が共通言語のスターバックス」が日本で初めてオープンします。

    聴覚に障害のあるスタッフを中心に、主なコミュニケーション手段として「手話」を使用し、運営する店舗です。

    オープンを前に、立ち上げに携わったスタッフたちが思いを語りました。

    聴覚障害がある1人のスタッフ女性は「日本にこの店舗を作ることは、4年前からの夢でした」と語りました。

    おなじみの「STARBUCKS」のロゴには、それぞれのアルファベットをアメリカ手話(ASL)で表した手のイラストが添えられています。

    手話は英語で「Sign language(サイン・ランゲージ)」。手話を共通言語とするスターバックス店舗は「サイニング・ストア」と呼ばれています。

    サイニング・ストアのオープンに際し会見が開かれ、店舗内の様子が紹介され、オープンに携わったスタッフが思いを語りました。

    「日本にもサイニング・ストアを作りたいという夢」

    このサイニング・ストアが日本に出来ることが「夢だった」と話したのは、今回オープンする「nonowa国立店」の立ち上げに関わった、大塚絵梨さんです。

    聴覚障害がある大塚さんは、2016年にマレーシアに世界で初めてスターバックスのサイニング・ストアができたというニュースを聞いた時、「日本にもサイニング・ストアを作りたいという夢ができた」といいます。

    手話が共通言語となるため、「世界で一番静かなスターバックス」として話題になったサイニング・ストアは、その後、マレーシア国内でクアラルンプールにもう1店舗、そして米国・ワシントンD.C.と中国・広州にできました。

    大塚さんはこの日開かれたオンライン会見で「入社以来、日本にもサイニング・ストアを作りたいという思いを、社内でも伝えてきました」と、手話を使って話しました。

    3年前、聴覚に障害があるスタッフとの座談会が開かれた際に、サイニング・ストア開店の提案がなされました。大塚さんは社内でプレゼンテーションなどをして、オープンまで準備を進めてきたといいます。

    日本でもサイニング・ストアを作り、「聞こえる方も、聞こえない方も、誰もが気軽にコーヒーを楽しめる環境を作りたい」と考えていたといいます。

    スターバックス広報部によると、日本のスターバックスには、350人を超える障害のあるスタッフが所属しています。うち、聴覚に障害があるスタッフは65人。

    2018年からは、聴覚に障害があるスタッフが中心となって店舗運営をするプログラムを計7回、数時間ずつ実施してきたといいます。

    そのような活動にも関わってきた大塚さんは、「聞こえない私たちの働いている姿を見て、知って頂きたい」と話します。

    「サイニング・ストアってどんなところだろう?と思い行ってみると、世界観が変わり、お店を出たあとも明るい気持ちになれる、そんな店にしたいです」

    「『障害』のイメージを一変したい」

    会見では、同じくサイニング・ストアの立ち上げに携わった、聴覚障害がある佐藤涼太郎さんも、思いを語りました。

    佐藤さんは、「お店を通して『障害』のイメージを一変したい」と話しました。

    「聴覚障害がある私たちや(聴者の)皆さん、コミュニーケーションの方法はバラバラです。しかし、それは聞こえ方や言語が違うだけです。一人一人の違いを認め合うことが大切だと思います。そのようなことを、お店を通して発信していきたいと思います」

    店舗が位置するJR国立駅近くには、ろう学校もあります。

    広報部のSocial Impactチーム・林絢子さんは「聴覚に障害がある若者の夢を広げたいという思いがあり、生徒さんたちにも、働くスタッフの姿を見て欲しいと思います」と話しました。

    サイニング・ストア店内には様々な工夫

    サイニング・ストアでは、聴者と聴覚に障害のあるスタッフが共に働き、またスタッフ側と来店客の両方が聴覚に障害のある場合を考え、様々な配慮が散りばめられています。

    店内の「共通言語」は手話ですが、スタッフや来店客が聴者でも聴覚に障害がある人でも、スムーズに注文やドリンクの受け渡しができるようになっています。

    注文の際には、指差しでオーダーを伝えられるメニューシートや、注文したい商品を話すと文字で表示される音声認識が入ったタブレット、筆談具なども設置されています。

    また、ドリンクの受け渡しの際に注文番号が表示されるデジタルサイネージでは、手話を学ぶこともできます。

    サイニング・ストアのストアマネージャー・伊藤真也さんは、スタッフに聴覚障害がある場合、より良いコミュニケーションには「目を合わせることがポイントです」と説明しました。

    また、店内でのコミュニケーションについて、こう思いを語りました。

    「『手話ができないといけない』とか『手話をしなきゃ』と思わずに、様々なコミュニケーションがあると知って頂きたいです。どういうコミュニケーション方法で伝えようかな?と考え、楽しんで頂ければと思います」

    UPDATE:記事内の「アメリカ手話(ASL)」の表記の間違いを訂正しました。

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