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「NOって言っても大丈夫」医師が高校生に説明した、性的同意。いま、10代に知ってほしいこと

セックスや性に関する情報がネット上などに溢れすぎているけど、何が正しい情報?ABEMAドラマ「17.3」の制作に携わったメンバーが、高校生に性教育の特別授業をしました。

「セックスって、相手を好きなら、しなきゃだめ?」「ゴムを着けるのは、途中からで大丈夫?」

インターネット上に情報が溢れていて、何が本当なのか、判断が難しい、セックスや性に関する情報。

高校生の疑問に答える性教育の特別授業が、ABEMAオリジナルドラマ「17.3 about a sex」の制作に、医療監修などで携わったメンバーによって開かれました。

性的同意、避妊、性感染症予防ーー。

性や体についての様々なトピックについて特別授業が開かれたのは、近畿大学付属高校(大阪府東大阪市)です。

高校生が知りたい、でも学校の保健体育の授業や家庭ではなかなか詳しく教えてくれない…。そのようなテーマについて、性教育のエキスパートやクリエイターから、リアルなエピソードを交えた授業が行われました。

ドラマ「17.3 about a sex」は、3人の女子高校生が性や体について、様々な経験をしながら共に学んでいくというストーリーです。

ドラマの制作に携わった3人が、ドラマの各エピソードで焦点が当てられた、「高校生が気になる性の話」について語りました。

埼玉医科大学病院産婦人科の高橋幸子医師はドラマの医療監修、arca CEOでクリエイティブディレクターの辻愛沙子さんはクリエイティブを担当。インフルエンサーのひかりんちょさんはドラマへの出演のほか、「リアル17.3代表」として若者視点でドラマ制作に関わりました。

約1時間半の授業では、「そもそもセックスってしなきゃだめ?」と主人公の女子高生たちがファミレスで話し合うシーン、主人公が自分が思う形ではない初体験を迎えそうになるシーンなど、ドラマを見ながら講義が進められました。

「NOって言っても大丈夫」「話し合える関係性を」

授業の序盤、長い時間を使って説明されたのが、「性的同意」。

高校生が好きになった人と交際を始める過程での、性的な行為への「同意」、そして交際相手とのセックスへの「同意」「断り方」について話がありました。

17歳のインフルエンサー・ひかりんちょさんは、「私のところにもけっこう、中学生や高校生からお悩み相談がくる」と話しました。

「断り方が分からない子も。やりたくなくても、好きだから、別れたくなくて流れでやってしまう人もけっこういます」(ひかりんちょさん)

産婦人科医の高橋さんは、中高生に性教育の講演をする時にはいつも「誘われた時に、NOって言っても大丈夫。そう言える関係性を大事にしてほしい」と伝えていると話しました。

「自分がどんな交際をしたいのかを、語り合えるような対等な関係であってほしいなと思います。『NO』と断られた側もびっくりしないでほしい。『今すぐではないけど、いつかはね』ということかもしれないですよね」

「学校で、そのようなやり取りを学んだりする授業があったほうがいいと思いますが、あまりないですよね」

断ると「俺のこと好きじゃないの?」。大人でもよくいるけど、そうじゃない

辻さんは「性的同意という言葉は、大人になっていく時に、絶対に皆さんに覚えておいてほしい」とし、このように話しました。

「誘われて断ると、『あれ?俺のこと好きじゃないの?付き合うって言ったじゃん』と言われることも少なくないです。断られた側もショックという気持ちもあるのかもしれないですが、今日だめだからって永遠にその人とだめなわけでもないし、必ずしも『しないといけない』というルールもありません」

「学校生活を送るなかで、実際断るのって難しいかもしれません。10代の頃は『子どもっぽいと思われたらどうしよう』という気持ちもあるかもしれません。でも、そこを話し合っていけるのが良いパートナーシップだと思います」

辻さんは、大人になっても「2人きりになったら(性的な行為が)OK」という考えなどが、まかり通っている現状を指摘。毎回、相手とどのような関係性にあっても、同意を取る大切さを話しました。

「大人になっても、パートナーや夫婦でも、一回一回、今その人がしたいかどうかというのは、状況や気持ち、体によって違うかもしれません。面倒臭いかもしれないけど『いま、どう?』と、お互い同意を取るのが大事だと思います」

「『じゃあ、同意ってサインするの?』と茶化されたりもしますけど、意外とロマンチックな同意の取り方っていうのもあるかもしれない。パートナー同士で話してみたら、それはそれで楽しかったりするのかなと思います」

避妊のウソ&ホント。「都市伝説」の真偽を答え合わせ

特に若い世代は、性やセックスをめぐる情報の多くをインターネット上で得ていますが、その情報が本当なのか、判断するのも難しいのが現状です。

いわゆる「都市伝説」のような情報も出回る中で、授業では、よく聞く避妊に関する「それ、本当?」という言説の答え合わせをしました。

今回、ウソ&ホントが説明された8つの言説の答えは以下の通りです。

1:処女は妊娠しないーウソ

2:生理中は妊娠しないーウソ

3:安全日でも妊娠することがあるーホント

4:外出しすれば妊娠しないーウソ

5:炭酸飲料をかけると妊娠しないーウソ

6:2回目以降は精子が減るから妊娠しないーウソ

7:コンドームは重ねてつけると避妊効果が上がるーウソ

8:コンドームをつけていても妊娠する可能性があるーホント

配られた「お守り」。自分や大切な人を守るため

授業では、交際のステップと性的同意、体、セクシュアリティなどについて書かれた冊子も「教科書」として配られ、それと共に、コンドームも配布されました。

ドラマの中でも、主人公が交際相手と、いつかセックスをするとなった時のための「お守り」として、コンドームを2人で持つというシーンがあります。

授業でも、避妊、そして性感染症の予防として、コンドームを使う大切さと、使い方が説明されました。

高橋さんがコンドームの使い方で強調したのは、保管方法やパッケージの開け方、着けるタイミングです。

中高生の中には、都市伝説を信じ「お金が貯まる」と財布の中にコンドームを入れる生徒もいますが、「財布の中に長く入れていたものを実際に使うと、破れる可能性もある。財布の中には入れないで」と話しました。

また、コンドームを包装しているパッケージの開け方や、装着するタイミングについては、このように述べました。

「パッケージを開ける時に、最後までちゃんと切り取ります。途中まで切った状態でコンドームを取り出そうとすると、パッケージのふちでコンドームを傷つけるかもしれません」

「(避妊の他にも)性感染症を予防するためには、途中から着けるのでは意味がありませんので、勃起した時に、きちんと最初から最後まで着けてください」

「もっと親に相談したかった」母親役の藤原紀香さん

授業終盤には、ドラマで主人公の母親役を演じた藤原紀香さんもリモートで特別ゲストとして登場。

「16、17歳の頃は、親に性の話なんか絶対言えなかった」と10代の頃を振り返り、「もっと(親に)色んなこと相談したかったなって思う」と話しました。

藤原さんの家庭は、親子でテレビを観ている際も、動物の交尾のシーンがあると、親の顔色が変わってすぐにチャンネルを変えられるような雰囲気だったそうです。

自身がそのような家庭で育ったからこそ、性の話を親子で話す大切さを強調し、このドラマが会話のきっかけになればとも語りました。

(サムネイル:getty image / イメージ写真)