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Updated on 2019年7月22日. Posted on 2019年7月22日

立憲民主党への熱狂はなぜ失われたのか 立憲の開票センターから見た「れいわ旋風」

立憲民主党の開票センターでは、議席を伸ばしている一方で、硬い表情の枝野代表の姿があった。

参議院議員選挙の開票が行われた7月21日夜、都内に設けられた立憲民主党の開票センターでは、同党の候補者の当確が報じられるたびに、関係者から「よし!」「おっ!」という歓声と共に拍手が巻き起こっていた。

立憲は議席をほぼ倍増させた。本来なら「大勝利」だろう。しかし、枝野幸男代表の表情は硬く、撮影に当たる各社カメラマンが「代表、表情が硬いです」「笑顔でお願いします」と何度も繰り返した。

一方で、2議席を得た、れいわ新選組は「台風の目」「れいわ旋風」などと称され、山本太郎代表は大きな笑顔で取材に応じていた。自身は落選したにもかかわらず。

両者の明暗を分けたのは、何だったのか。

Kensuke Seya/ Sumireko Tomita/ BuzzFeed

自民・公明両党は改選議席の過半数を上回る71議席を獲得したが、憲法改正の発議に必要な参議院全体の3分の2は維持できなかった。

枝野代表は21日夜、野党共闘について「野党が深く連携し、最大限の力を発揮できた」と語った。立憲民主党も、改選前9議席を大きく上回る17議席を獲得した。

しかし、笑顔は乏しかった。乏しかったのは枝野氏の笑顔だけではない。結党の直後だった2017年の総選挙と比べると、選挙運動中の街頭演説の聴衆の人数などは減っていた。

当時、「枝野立て」「枝野立った」というハッシュタグがTwitterでシェアされ、同党の街頭演説はどこも人で溢れた。SNSでその様子が盛んにアップされた。しかし、今回の選挙で、あの時の熱狂はなかった。

代わりに特にネット上で注目集めたのは、れいわ新選組だった。

選挙運動の最終日となった7月20日に東京・新宿で行われたれいわ新選組の「最後の一声」には、新宿駅西口を埋め尽くすほどの聴衆が集まり、繰り広げられる演説に聴衆は時には涙を流し、熱い拍手を送った。

ある支持者はBuzzFeed Newsの取材に、「以前は立憲民主党を支持していたが、野党を統率する力がないと思った」「れいわは、労働者や市民のために働いてくれると感じた」と話した。

Sumireko Tomita/ BuzzFeed

枝野氏「れいわとも連携を期待」

21日午後11時40分ごろから、開票センターで開かれた枝野代表の会見でこんな質問が飛んだ。

「従来の立憲民主党の支持者が、れいわ新選組に流れたのではないでしょうか。枝野代表はどのように見ていらっしゃいますでしょうか」

枝野代表は「どういう皆さんの票がどう動いたのかは、票数だけでは判断しにくい」と前置きしたうえで、選挙後の野党としての協力関係について、こう述べた。

「れいわ新選組の支持者は、今の安倍政権に批判的な皆さんとお見受けしている。現政権に批判的な皆さんの声をしっかりと受け止めて、勢力が広まるようにしていきたい」

「衆院選に向けての連携については、野党4党の意向もありますが、できれば様々なところで連携ができればと期待しています」

消費税についても「10月に消費税が10%に引き上げられるということでいいのか」と疑問を投げかけ、消費税廃止を公約に掲げていたれいわに言及。「その点についてはれいわ新選組も共通していると思う。しっかりと国会でも迫っていきたい」と述べた。

Sumireko Tomita/ 時事通信

憲法論議は「安倍さんが一人芝居」

開票センターで各テレビ局の中継に応じていた枝野代表が、苛立ちを見せた質問があった。

改憲を巡る論議についてだ。

改憲派は「枝野代表が議論を阻んでいる」「話し合おうとしない」と批判しており、各社もこれについて質問を投げかけた。

それに対し枝野氏は毎回「これに関してはよく誤解をされているのですが」と前置きし「従来からも、しっかりと議論をして結論を得るべきだと申し上げてきたし、それは変わらない」と主張した。似た質問が繰り返されるたびに「ですから」と付け加え、苛立ちを隠せずにいた。

自民党が改憲を選挙の争点にしていることに対しても「全国をまわって有権者の皆さんの話を聞いても、関心は社会保障や経済、暮らしの問題にある。憲法の順位は低い」と指摘。

「安倍さんが一人芝居をしているよう」「安倍さん1人が違うことに関心があるとおっしゃっていた、そういう選挙だと思った」と語った。

Sumireko Tomita/ BuzzFeed

開票センターに貼り出された当選者の名前

会見でパリテとLGBTに触れず

枝野代表が会見で強調したのが、次の衆議院選を見据えた野党連携の進展だ。

一方、同党が公約で全面に掲げていた選択的夫婦別姓や、パリテ(議員人数が男女半々の議会)、同性婚実現やLGBT候補について、30分間の会見で言及することはなかった。

立憲民主党が今回、全面的に押し出していたのがLGBT当事者の候補者擁立による「多様性」重視だった。

日本で初めてゲイであることを公言して議員となった前豊島区議の石川大我氏は、比例で当選した。

日本での同性婚の実現などを掲げている石川氏は、Twitterで自身の当選を「虹色の1議席を獲得した」というように表現した。「虹色」はLGBTの尊厳と社会運動の象徴であるレインボーフラッグを意味している。

[当選のご報告]多くのみなさんのご支援を頂き、虹色の1議席を獲得することができました🌈 "私たちLGBTの存在証明をかけた選挙"と訴え続けました。私たちはここにいる!という皆さんの声をしっかり国会に届けていきます。これからも共に歩んでいきましょう。 『日本にも同性婚を。』 石川大我

@ishikawataiga

また「私たちはここにいる!という皆さんの声をしっかり国会に届けてきます」とし、感謝の思いを語った。

他にも、「LGBTの声」として京都選挙区(改選数2)から増原裕子氏が立候補していたが、当選はならなかった。増原氏はレズビアンであることを公表し、LGBTに関する情報を発信する企業を設立するなどしていたアクティビストだ。

パリテまでほど遠く

LGBT当事者の候補の他に、女性候補の擁立も進めていた同党。女性と男性の議員の人数が半々のパリテを目指し、候補全体の45%にあたる19人を擁立していた。

しかし当選した17人のうち、結果的に男性は11人、女性は6人と、全体の約3分の1の結果に終わった。

東京選挙区で初出馬していた塩村文夏氏が当選。大阪選挙区で出ていた弁護士の亀石倫子氏は当選ならなかった。


Contact Sumireko Tomita at sumireko.tomita@buzzfeed.com.

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