「大阪にも、LGBTQの人たちのための居場所が必要」「安心できる場所を」ーー。
大阪・天満橋に4月、常設のLGBTQセンター「プライドセンター大阪」ができました。
気軽に立ち寄り、LGBTQについて学び、相談できる「拠点」となることを目指しています。
センターをつくった思い、そして背景を聞きました。

入り口には、虹色のカーペット。大川の景色が見えるセンターには、窓からあたたかい光が差し込みます。
「プライドセンター大阪」を開設したのは、NPO法人「虹色ダイバーシティ」。
代表の村木真紀さんはBuzzFeed Newsの取材に、「ジェンダーやセクシュアリティのことを気にせず、話ができる場所が必要だと感じた」と、センター開設の背景を話します。
センターにはLGBTQに関する書籍も多くあり、調べ物をしたり、信頼できるスタッフに話をしたりすることができます。
「本当にここがあって良かった」という言葉。すでに“居場所”に

4月1日のオープンから約3週間。「色々な人に使ってほしい」「居場所になってほしい」という思いは、すでに実現されつつあります。
村木さんによると、すでに何度も立ち寄っている人がいるといいます。
「もう何人かリピーターがいます。すでに『居場所』になることができているようです。『このまま家に帰りたくないから会社帰りに寄りました』と言って立ち寄ってくださったり」
「LGBTQかもしれないお子さんのお母さんが、調べもので寄ってくださったことも。本棚の前で何時間も調べ物をして、『本当にここがあって良かった』と涙目で言ってくださいました。それを聞いた時は我々も、もらい泣きをしました」

村木さんは、2015年にアメリカの5都市、2019年にはオーストリア・ウィーンでLGBTQセンターを視察。
ウィーンには4つもLGBTQセンターがあり、「だったら、大阪にもあってよくない?」と思ったといいます。
「日本では、女性センターや障害者センターはあっても、LGBTQのための居場所というのは、なかなかなかったなと思いました」
東京では新宿区に2020年10月、LGBTQに関する情報発信の拠点施設「プライドハウス東京レガシー」がオープン。相談窓口やイベント、情報発信の拠点となっています。
コロナ禍で失われた繋がり。経済困窮に苦しむ人も

センターは、「みんなが自分でいられる場所」「必要な時に助けを求められる場所づくり」を存在意義としています。
コロナ禍では、感染対策で人との繋がりが激減し、助けが必要な時にもSOSが出しにくい状況がありました。
村木さんは話します。
「このコロナ禍の2年で、LGBTQの人たちは、以前よりさらに『しんどい状況』に置かれています」
「新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた人は、非正規雇用の方、サービス業や飲食業の現場で働いていらっしゃる方が多いです。LGBTQの人たちは、まさにそのような職場で働いている人が多いです」
虹色ダイバーシティなどが2020年6〜7月にオンラインで実施したアンケート調査によると、この質問の回答者2017人のうち、トランスジェンダー女性は44.6%、バイセクシャル男性の37.1%が、「過去1年間に預金残高が1万円以下になった経験がある」と答えていました。
【データ】「niji VOICE 2020」によると、トランスジェンダー男性の28.4%、生まれが女性のXジェンダー等が29.1%、トランスジェンダー女性の44.6%、生まれが男性のXジェンダー等などの32.1%が、過去1年間に預金残高が1万円以下になった経験があると答えています。 https://t.co/EnrsfHMlFA #NIJIBRIDGE
村木さんは、「このデータを見て、本当に怖くなりました」と話します。
虹色ダイバーシティは2014年から、大阪市淀川区のLGBT支援事業を担当し、コミュニティスペースを運営していましたが、コロナ禍では、オンラインで実施したり、定員・予約を設定したりした運営に切り替えました。
そうすると、いつも来ていた人がぱったり来なくなったり、オンラインでは参加しづらくなったりしたといいます。
「PCなどの端末を持っていない人もいて、持っていても、親の前では参加できない人もいます」
「オンラインでの実施で、参加しやすくなった人もいれば、参加できなくなった人もいました」
常設のセンターを開くことで「居場所」を作り、いつでも相談できる場所を目指します。
現在は、ウェブサイトで予約する形式の、オンライン個別無料相談をやっています。
夏以降は、対面式での相談も開始予定です。

4、5月はプレオープンという形で開館。月・木・金・土曜の午後3〜8時にオープンしており、無料で利用できます。
6月にグランドオープンし、イベントの開催など、本格的に活発化します。
センターは、京阪本線・天満橋駅、Osaka Metro谷町線の天満橋駅から徒歩5分にある「天満橋MSビル」7階にあります。
現在は、企業からの協賛金などで運営していますが、継続的な支援を募るため、クラウドファンディングも実施しています。
🌈「“性”と“生”の多様性」を祝福する日本最大のLGBTQイベント「東京レインボープライド」の開催に合わせて、BuzzFeed Japanでは4月22〜26日にかけて、性的マイノリティに関する情報やインタビューを「LGBTQ特集」としてお届けします。
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