モスクでの銃乱射事件から1週間 追悼は東京の大使館でも

    クライストチャーチのモスクでの銃乱射事件を受け、渋谷区のニュージーランド大使館では犠牲者を追悼する記帳が行われた。帳簿には日本語、英語、アラビア語などで50を超える追悼のメッセージ

    「事件の発生からずっとニュージーランドを想っていた」

    ニュージーランド、クライストチャーチにあるモスクで発生し、50人の犠牲者を出した銃乱射事件から7日。

    東京都渋谷区にある同国大使館での弔問記帳に訪れた、ニュージーランド人のカリアン・スカリさん(25)の言葉だ。

    「安らかに」「犠牲になった方々を忘れません」「ヘイトクライムを許さない社会を」

    3月18日に始まった記帳には、日本語、英語、アラビア語などで50を超える追悼のメッセージや、花が寄せられた。

    3年前に日本に移住したというスカリさんは、BuzzFeed Newsの取材にこう語る。

    「移民であっても彼らはニュージーランド社会の一部。犠牲になった人たちのことを心に留めていたい」


    スカリさんとともに記帳に訪れた須貝直子さん(24)は「話し出すと泣きそうになってしまうんですけど」と前置きしながら言う。


    「ニュージーランドは人と人の間に壁がない場所。このような事件が起こって悲しい」

    「留学中に仲良くしていたイスラム教徒の友人と連絡を取ったが、事件が起きたモスクにも行ったことがあると話し、怖がっていた」

    そう語るのは、8年前にクライストチャーチに語学留学していたという女性(27)だ。

    事件後、イスラム教徒の友人がどのような思いで過ごしているか案じているという。

    女性が留学した2011年2月には、クライストチャーチ地震(カンタベリー地震)が発生し、町は大きな被害を被った。

    大聖堂が倒れたりしたのを目の当たりにしたが、そこから街と共に復興してきたクライストチャーチの人々の強さも知っている。

    「今は現地にいくことはできないが、できることをしたいと思って記帳にきました」

    事件がイスラム教徒を標的とした事件であったことから、東京に暮らすイスラム教徒も多く記帳に訪れたという。

    なかには、こんなメッセージも英語で記されていた。

    「イスラム教徒はテロリストではない。私たちは平和を愛し、平和を求める人々」

    各国でニュージーランドへの連帯表す追悼集会

    東京の同大使館だけでなく、世界各国のニュージーランド大使館でも弔問記帳が行われ、イスラム教徒らによる追悼集会が開かれた。

    マレーシアのクアラルンプールにある大使館前では3月19日、マレーシア人イスラム教徒らが集い「マレーシアはニュージーランドと共に」「過激派にNOを。暴力にNOを」と書かれたプラカードを持って連帯を表した。

    今回の銃乱射事件を受け、ニュージーランドでは銃規制を厳格化する動きが出ている。

    ロイター通信によると、アーダーン首相は3月21日、軍仕様の半自動銃などを禁止する銃規制強化を発表した。