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大学生たちがゴミを拾っては「#ポイ捨て自粛」のハッシュタグでツイートする理由

ゴミ拾いをしては、「#ポイ捨て自粛」のハッシュタグをつけてツイートで発信している大学生たちがいます。その理由や思いを聞きました。

道端に溢れる、タバコの吸い殻やペットボトル、ビニール袋…。

ポイ捨てされるゴミを拾っては、TwitterなどのSNSで写真をアップし、発信している大学生たちがいます。

SNSで発信することに、どのような意図があるのでしょうか。話を聞きました。

この活動をしているのは、東京理科大学、法政大学、専修大学など都内の大学に通う大学生たち。海洋プラスチックごみ問題や街の清掃活動に取り組む団体「PSW(Pure Sea Water)」です。

普段は、大学の近くのゴミ拾いを一緒にしたり、川や海の清掃活動をしていましたが、新型コロナウイルスの影響で、集まっての活動はできなくなりました。

そこで思いついたのが、それぞれ自宅周辺などでの清掃活動をして、SNSで発信すること。

同年代の若者を含め多くの人々に、どれだけゴミが捨てられているかという現状や、ゴミ拾いの活動を知ってもらい、ポイ捨てを止めたり、一緒にゴミ拾いをしてくれる人の輪を広げるためです。

コロナ感染拡大防止のために政府が呼びかけた「外出自粛」の言葉から、4月上旬には「#ポイ捨て自粛」のハッシュタグを作りました。ゴミ拾いをしたツイートを発信する際に使われています。

5/30 ごみゼロの日らしいのでゴミ拾い🐶✨ 初めて落ちてる反射板を見て、あ、あるんだってなった😳 57個のプラスチックとその他諸々のごみ回収しました〜 自転車に乗ったおじいちゃんに「拾ってんの?偉いな☺️」って言われたのが今日のハイライトです🥰🌷 #PSW #ポイ捨て自粛 #ゴミゼロの日

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ゴミ拾いについて投稿するメンバーのツイート

「ごみゼロの日」には8都道府県の仲間と清掃

清掃活動やSNSでの発信の動きは、団体や世代を超えて、遠方の学生や社会人にも広がっています。

「ご(5)み(3)ゼロ(0)」の語呂合わせで、ゴミの減量や清掃活動を呼びかける5月30日「ごみゼロの日」には、東京都や埼玉県だけでなく、福島県、宮城県、群馬県、愛知県、大阪府、福岡県などからも、SNSで繋がった人たちが活動に参加しました。

今年は感染対策のため、集まっての清掃はできませんが、逆に遠方の人たちと一緒に活動をすることができたといいます。

10分間のゴミ拾いの間に、いくつゴミを拾うことができるかを競うという、ゲーム感覚で参加できる仕組みです。

それぞれの自宅周辺で行うため、感染防止のソーシャルディスタンスを保ち、マスクや手袋を着用して実施しました。

メンバーの八鍬亨規さん(拓殖大学3年)は、「全国の人とオンライン上でつながれたのがとても良かった」と話します。

また、千葉県在住の女子大学生は「捨てる人が減って拾う人が増え、『ごみゼロ』が当たり前世の中になったら」とし、こう語りました。

「Twitterでも活動が広まってきていますが、少しでも多くの人が社会を良くする意識を持って行動できるようになればと思います。『コロナの期間でも社会のために何かしたい』と思った活動で、オンライン上ですがこんなに多くの人と関わって活動できることがとても励みになっています」

活動を始めた当初は、町に出てゴミを拾っていると周りの視線が気になる時もあった一方で、次第に近所の人たちにも顔が覚えられ、感謝の言葉や、励ましの言葉をかけられるようになったそうです。

「街のゴミ拾いで海をきれいに」取り組む海洋プラスチック問題

「PSW(Pure Sea Water)」という団体名の由来は、各地の海がゴミ問題に悩まされる中、海水をきれいにしたいという思いからつけられたといい、「街のゴミ拾いで海をきれいに」を合言葉に活動を続けています。

SDGs(持続可能な開発目標)の17のゴールのうち、14番目のゴールは「海の豊かさを守ろう」。

国連は、海洋では1平方キロメートル当たり平均で1万3000個のプラスチックごみが見つかり、「陸上からの排出が主原因である海洋汚染は危険な水準に達している」と警鐘を鳴らしています。

陸から海に流れたペットボトル、プラスチックの包装、ビニール袋、またはマイクロプラスチックと呼ばれるサイズが5mm以下のプラスチックゴミなどは、海の生態系を含めた海洋環境に影響を及ぼします。

また、海の汚染は、漁業や沿岸に住む人々の健康などにも影響を与えます。

街中で捨てられたゴミが、海に流入して汚染につながっていることを知って衝撃を受けたメンバーが、「自分たちの身の回りから海洋プラスチック問題について知ってもらいたい」と考え活動を始め、「東京湾分のプラスチックごみを拾う」という目標を掲げて活動しているといいます。

実際、街中から海へと流入するゴミについては、行政、民間、NPOなど様々なセクターで調査や対策がなされていて、少しずつゴミ削減に向けて手が打たれています。

2019年4月には、日本財団と日本コカ・コーラが共同して、河川流域からの廃棄物流出の実態調査を開始しました。

海洋ゴミの7〜8割は陸からとされる中で、そのゴミが一体どこでなぜ発生し、そのようなメカニズムで海に流入しているかということが調べられました。

結果、この調査では、海に流入する陸由来のゴミには、川や水路沿いに「ポイ捨て・投棄」されたゴミが河川などを通じて海に流入するパターンと、河川沿いなどに位置する集積所などから「漏洩」しているパターンなどがあることが分かっています。

このように、実際に陸からゴミが流れ、海を汚しているということも様々な調査などで明らかになってきています。

PSWでは、海洋プラスチック問題やSDGsについて、オンラインでワークショップを開いたり、コロナが収束し集まって活動できるようになってからは、川や海の清掃活動、海に親しみを持ってもらうための釣りイベントなどを再開し、活動を続けていくといいます。

学生たちは、こう呼びかけます。

「この美しい海、地球を変えないために、まずは私たちから変わりたい。街のゴミ拾いで、海をきれいに。未来を変える第一歩を共に」