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「女性社員のピル服用、応援します」費用も会社が全額負担するわけ

生理痛やPMSで仕事に影響を感じている女性社員をサポートするため、「ルナルナ」を運営するエムティーアイが服用支援を始めました。

生理の周期などを管理するアプリ「ルナルナ」を運営するエムティーアイ(東京都新宿区)が2月から、女性社員に対し、低用量ピルの服用を支援する福利厚生制度をはじめる。

生理痛や月経前症候群(PMS)などの症状で、仕事でのパフォーマンスに支障がでていると感じる女性社員をサポートすることが目的。

ピル処方のための診察やピルの費用を会社が負担する。

ピルと診察料で毎回、数千円かかる費用を会社が負担し、またオンライン診療によって手間や時間を省くことで、会社が服用を後押しし、女性にとってより働きやすい環境を整えることを目指している。

ルナルナ/ エムティーアイ

ピル服用支援の制度の仕組み

「生理痛やPMS、仕事に影響」86%

ピルは、服用によって生理痛を軽くするほか、生理前にイライラしたり落ち込んだりするPMSをやわらげるため、生理痛などの症状が重い女性に処方されている。

同社が女性社員184人を対象に実施した健康調査では、女性社員の約8割が生理痛やPMSなどの不調を感じていたという。

また、同社が1月にルナルナユーザー2094人を対象に実施した「生理痛やPMSの仕事への影響とピルの服薬に関するアンケート」では、「月経前後の症状は仕事に影響があると感じますか?」という質問には、86.6%が「感じる」と答えていた。うち、「とても感じる」が37.2%、「少し感じる」が49.4%だった。

ルナルナ・エムティーアイ

ルナルナによる「生理痛やPMSの仕事への影響とピルの服薬に関するアンケート」

アンケートでは、全体の91.4%が、普段、生理前後に生理痛やPMSなどの不調の症状が「ある」と答えていた。うち、63.6%が「いつもある」、27.8%が「たまにある」だった。

痛みに関しては、程度には差があるが、3分の2以上が「鎮痛剤が必要な痛み」を感じていた。全体の10人に1人にあたる10.7%は、生理痛の痛みが「鎮痛剤も効かず、日常生活に支障をきたすことがある」と答えていた。

一方で、生理痛やPMSを軽減するピルを「服用中」と答えたのは12.2%に止まり、「過去に服用したことがある」が19.8%、「服用したことはない」が67.0%だった。

「会社として生理を負担に感じる女性、サポート」

同社はこれらのアンケート結果をもとに、会社として、女性社員の服用も支援するために、福利厚生として服用支援制度を導入した。

制度の導入に向けて働きかけた担当者はこう話す。

「社で行なっている健康意識調査で、女性8割が生理などで体調に不調を感じていた。会社として生理痛などを負担に感じている女性をサポートするためにピル服用を支援する制度を設けました」

この制度は2月に導入され、まずは同社の希望者20人を対象に半年実施し、その後、結果や利用者のフィードバックなどをもとに、人数を増やして本格的に運用を開始する見込み。

費用負担とオンライン診療で「継続後押し」

Megaflopp / Getty Images

制度の特徴は、費用負担のほかに、オンライン診療が受けられることだ。

ピルの処方には診察が必要なため、まず、女性社員は提携医療機関で診療を受ける。そこでピル服用が必要とされた場合は、費用は会社負担で服用を開始する。

2回目以降の処方に関しては、医師による対面の再診が必要な場合を除き、ルナルナと同社グループ会社のカラダメディカが提供する「ルナルナ オンライン診療」を利用して、ビデオ電話による診療が受けられる。その後、自宅にピルが届く仕組み。

ルナルナユーザーを対象にとられたアンケートでは、ピルを服用している女性の中で、継続的に服用するうえでのデメリットとして「医療機関を定期的に受診するのが面倒・手間」(55.1%)や「価格が高い」(44.4%)などがあげられていた。

ルナルナ・エムティーアイ

今回の制度では、ビデオ電話でのオンライン診療で、忙しい仕事の合間を縫って産婦人科に足を運ぶ手間や時間が省かれ、費用を会社が負担することによって、こうした問題を解決している。

初回の診療や2回目以降の処方のオンライン診療は、勤務時間内に受けられるという。

会社として服薬の後押し、社員の見方は

同社は1月30日、制度の利用を希望する女性社員らを対象に説明会を開いた。

説明会に参加し、制度の利用を希望している20代の女性社員はBuzzFeed Newsに対し、「ルナルナなどを運営している会社ならではの取り組みだと思います」と話し、制度の導入を歓迎した。

女性はPMSの症状が強く、仕事中にもイライラしたり気分が落ち込み、ネガティブな思考になるなど、影響を感じていたと語る。

以前もピルを服用した経験があり、ピル服用での体調への効果を感じられたため、会社が費用を負担するこの制度を利用したいと考えたという。

Sumireko Tomita / BuzzFeed

「サポートの雰囲気作っていくことが大切」

説明会には、様々な部署で働く女性社員の制度利用の可能性を考え、女性だけでなく男性の管理職も出席した。

また、説明会と併せて、男女ともに生理の仕組みや生理期間に起こる症状などを正しく理解するため、産婦人科医による「女性のカラダの知識講座」も開かれた。

説明会や講座に参加したモバイルサービス営業本部の寺島敦史・副本部長は制度についてこう話す。

「営業でも多くの女性が働いており、制度でサポートしたい。他にこのような取り組みを行なっている企業はあまりないと思うので、ルナルナなどを運営する弊社が率先してやっていき、サポートするという雰囲気を作っていくことが大切だと思いました」

また、女性のカラダ知識講座については「自分では知っているつもりでも、知らないことがたくさんありました。あまり詳しく知る機会もないので、学ぶことができよかったです」と述べた。

「ピルなど、パフォーマンス落とさない方法使ってほしい」

Sumireko Tomita / BuzzFeed

甲賀かをりさん

講座では、ルナルナのピルモードを監修している、東京大学医学部附属病院・産婦人科の甲賀かをり准教授が、女性の体や生理、月経困難症について説明した。

甲賀さんは、仕事中に生理痛やPMSでパフォーマンスが下がることについてこう語った。

「女性にとっても、生理が原因で、いつもより大幅に低いパフォーマンスしかできないというのは、プロとしてとても傷つくし悔しい、困ると思います。女性医師だって同じです」

「それではどういう解決策があるか。ピルなど、生理中もパフォーマンスを落とさずに仕事ができる方法があるなら、ぜひそれを使って欲しいと思います」

「痛ければ、ためらわず病院へ」「正しい情報も力」

また、甲賀さんが普段、診察している産婦人科の患者の例などをあげ、「生理痛があるならば月経困難症と言えます。また、子宮内膜症や子宮筋腫などがないか、医療機関を一度は受診することも大切です」と、産婦人科への受診を呼びかけた。

「10年前から生理痛がつらかったけど、ずっと我慢していた」という人が、病院に行かずに我慢を重ねて来院し、子宮内膜症と診断されたり、または不妊症、がん化にもつながることから、「自分が困っていると思った時は、必ず病院に行ってください」と話した。

また、ピルなどについては、誤った情報も多く流れていることから、甲賀さんは「情報は力です。正しい情報を取りに行ってください」と話した。

月経困難症やピルについては、厚生労働省の研究班が作成したウェブサイト「女性の健康推進室・ヘルスラボ」など、医師らの監修を受けた情報を記載するサイトでも学ぶことができる。

また、子宮内膜症などについては、甲賀さんが副理事も務めるNPO「日本子宮内膜症啓発会議(JECIE)」のウェブサイト「子宮内膜症情報ステーション」で知ることができる。


Contact Sumireko Tomita at sumireko.tomita@buzzfeed.com.

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