• knowmorecancer badge
  • medicaljp badge

「人工肛門」について知ってほしいこと。100万回再生された動画をつくった思い

ある看護師の女性がTwitterに載せたアニメーション。それは友人が大腸がん手術後に作った人工肛門「ストーマ」についてでした。正しい知識やオストメイト対応トイレへの理解を呼びかけます

突然ですが「ストーマ」って知っていますか?



ストーマ(人工肛門、人工膀胱)とは、手術などで肛門や膀胱が使えなくなった人が、腹壁に人工的に作る排泄口です。

友人の夫が大腸がんの手術後にストーマを作ったことをきっかけに、ストーマについてのアニメーションを作り、Twitterに投稿した女性がいます。



アニメーションを載せたツイートは4万リツイート以上になり、6万いいねがついています。「ストーマについて多くの人に知ってほしい」という、あすかわいさん(Twitter @88achi_8)にBuzzFeed Newsはアニメーションを作った背景について聞きました。

むちゃ頑張って描いたから見てほしい。 友達の旦那が大腸ガンになり、ストーマを建てたと聞いた時から、描きたかったやつ、やっとかけた。アニメーション超疲れた…。600枚描いたの見てちょ…。 #オストメイトマーク #アニメーション

@88achi_8

アニメーションを作成したあすかわいさんは看護師。消化器外科で6年間勤め、ストーマを使用する多くの患者さんと関わってきたといいます。



「私たち看護師からすると、ストーマの知識は勿論あるし、ストーマの管理は慣れれば簡単と思うのですが、患者さまやそのご家族さんからすると不安になられるだろうと思っています」



「一時的にストーマを作る人もいれば、ずっとストーマを使い続ける人もいて、一生付き合っていく人からすると、本人の配慮も必要ですが、やはり周りの理解が1番大切だと思いました」

人工肛門には筋肉がなく、排泄物を自分のタイミングで出すことができないために、出てくる排泄物を溜める「パウチ」と呼ばれる専用の袋を付けます。ストーマを使用する人のことを「オストメイト」と呼びます。



「オストメイトの方は服を着ていると本当に分からない、健常者だと思われがちですが、きちんと障がい者手帳をお持ちなのです」



「オストメイトの方は、温泉に行きたいけど行けない、パウチが漏れたら怖いから外に出ないなど、活動に制限が出てくることが多々あります。そのようなことも気にせずに外に出て、明るく過ごしてほしいので、私の動画を見て理解してくれる方が増えたらいいなと思っています」

あすかわいさんがアニメーションを作ったきっかけとなった友人の夫は、30代で大腸がんになり、手術後にストーマを作ったそうです。



「今までたくさんのストーマ患者さんと関わってきましたが、身近な人がそうなると、いつもとは違う感情になりました。これからの人生ストーマと付き合っていく上で、周りの人がちゃんと理解してくれるのか心配でした」



「私の友人も看護師なのでそこは問題ないのですが、他の人に説明しようと思ってもなかなか説明しにくい。デリケートなことなので、簡潔に伝えられる術はないかなと考え、動画にしてみようと軽い気持ちで描きました」



「もともと絵を描くのが好きで絵は描いてました」というあすかわいさん。iPad proで描いた600枚もの絵をアプリでつなぎ、アニメーションにしたそうですが、このようなアニメーションを作ったのは「初めて」だそう。

オストメイトは、普通のトイレではパウチ内を処理しにくいため、オストメイト対応トイレがあります。



身体障がい者用トイレなどに設置されており、流し台やハンドシャワーがついています。

オストメイト対応トイレには、人物に白い十字がついた「オストメイトマーク」がついています。



「オストメイトについて知らない人が多く、オストメイトマーク自体は知っていても、詳しくは知らない人が大半だと思います。普通の授業では習わないことなので、知らないのは当たり前だと思います」

「多目的トイレを若い子が溜まり場にしていることもありますが、そんなことは絶対にやめてほしい。本当に必要としている人がいるというのを分かってもらいたくて描いた部分もあります」



看護師として消化器外科で、ストーマを使用する多くの患者さんと向き合ってきたからこそ、オストメイトの悩みを理解しているあすかわいさん。少しでも多くの人に知ってほしいと、オストメイトへの理解を呼びかけます。

広くシェアされたツイートには、「分かりやすいアニメーション」などの反応が寄せられ、ストーマ使用者からも「可愛い映像で多くの人に知ってもらえると心強い」などの反応が寄せられています。



あすかわいさんがアニメーションを作ったきっかけとなった友人からも、「自分のことを分かりやすく説明するのに使える!ありがとう」とのメッセージがあったそうです。

あすかわいさんは語ります。



「知らないことは恥ではないです、ただこれから知ってほしい、このような人もいるんだと理解してほしいと思っています」