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「可愛い包装はしません。地味でも、インスタ映えしなくても」1人でストローを売り始めた女性の話

一人一人が無理なく出来る、エコなことって?No Plastic Japan(のーぷら)のノイハウスさんに話を聞きました。

7月1日から、レジ袋の有料化が始まりました。プラスチックの過剰な使用を抑制する取り組みです。

しかし、レジ袋だけでなく何かとプラスチックに囲まれて成り立っている私たちの生活。

カフェにいけばプラ製ストローが既にカップに入れられた状態で出され、飲食店からテイクアウトすれば、プラ容器に入って渡されます。スーパーで買い物しても、すでに製品はプラ製の包装がされています。

「自分ができる範囲で、日常生活でのプラスチック使用を減らしていくこと」を呼びかける、「No Plastic Japan(のーぷら)」のノイハウス萌菜さんに話を聞きました。

ノイハウスさんは2018年の夏、外資系コンサル企業の会社員として働くかたわらで「No Plastic Japan」を立ち上げました。

メインの活動は、ステンレス製ストローの販売です。環境にやさしく、食洗機などでも洗えるストローは、自宅用や持ち歩き用に人気が出ているといいます。

プラスチックに囲まれた生活の中で、気軽に始められる「脱プラ」の一つに、ストローがあります。

立ち上げから約2年間で、個人や飲食店などに1万本以上を販売してきました。

「一人一人が自分の生活のスタイルに合わせて、できることをやればいいと思うんです」

ノイハウスさんは、「ゆるく」プラスチック削減に取り組むことについて、そう語ります。

その理由は「個人のライフスタイルによって出来ることが違うから」。

無意識のうちにもプラスチックに囲まれて生活をしている中で、「できることから」とノイハウスさんが話すのは、「自分にとって大事なものや頻繁に使っているものなど、手放せないものもあるから」といいます。

例えば、プラスチックストローも、上部の角度が曲がり調節できるため、子どもや高齢者、障害を持った人など、それが必要な人もいるからです。

ノイハウスさんが「各自ができる範囲で」と話すのは、のーぷらの活動にも表れています。

のーぷらの活動は、本業である会社員の仕事の合間を縫って、立ち上げから今まで、ノイハウスさん1人でやってきました。

「平日は普通に仕事をしていて、仕事終わりや休日の時間を使って活動しています。フルタイムで活動していらっしゃる方も素晴らしいですが、そこまでコミットしなくても、余った時間で出来る活動があると伝えたいです」

ストロー作りの工場探しから、包装へのこだわりまで

2018年にのーぷらでの活動を始めるにあたり、プラ製以外でのストロー販売を考え、竹やサトウキビなど様々な素材を検討しました。

その中でステンレス製を選んだのは、丈夫で錆びず、手洗いや食洗機でも綺麗に洗えるために衛生面でも他の素材に比べて長けていたからだといいます。

ステンレス製のストローを販売すると決めた一方で、まず始めに難航したのは工場探しでした。

のーぷらでは、ロゴマークが入った直径6mmのストローと、スムージーやタピオカ用の12mmのストローを販売していますが、それらの製造の他に「プラ製の包装を使わずに郵送してもらえる工場」という条件があったからです。

「やはり商品の郵送には、プラスチック製の袋などを使う業者が多く、紙の包装などで対応してくれる工場を探すことは大変でした。しかし、プラスチックの削減を掲げている活動の中で、プラ製の包装を使わないということは、とても重要なことだったんです」

ようやく条件に合う工場が見つかり、販売を開始。初めは赤字からのスタートでしたが「サステイナブル(継続的)にするには経済的な安定も必要」と、Instagramなども活発に更新し、3〜4カ月で黒字化しました。

最近では、大手コンビニや雑貨店でもステンレス製のストローを販売していますが、のーぷらのストローは、工場からの配送時点と購入客への郵送時で、全てリサイクル可能でプラでない素材を使っているところに違いがあるといいます。

のーぷらのウェブサイトには、商品の包装についてこう書かれています。

「のーぷらでは、可愛いパッケージはありません。無駄に何度も包装などもしません。ブランド的には地味でも。インスタ映えしなくても」

ストロー購入客への郵送時には、段ボールや新聞紙、前年度以前のカレンダーの紙など再利用の紙を使って包装されています。

個人で購入する客の約8割はInstagramでのーぷらのストローを知った人たち。

個人客の他には、LOFTなどの雑貨店での販売や、レストランやカフェへの販売があり、プラ製からステンレス製ストローへの全面切り替えで100本以上購入する飲食店もあるといいます。

最近では、大手の飲食店もプラ製ストローの使用停止を次々と発表していて、プラ以外の素材や繰り返し使えるストローにも注目が集まっています。

企業としての責任がある「たとえ時間がかかっても」

ノイハウスさんがプラスチックごみ問題などに強い興味を持ち、活動を始めるまでには、生まれ育った海外での経験がありました。

ノイハウスさんはドイツに生まれ、6才から23才までをイギリスで過ごしました。2016年に来日し、それまでイギリスなどで普通になされていた環境に配慮した取り組みが、まだ日本では普通でなかったりするなど、「違い」があったと話します。

「最近もイギリスに行くことがありましたが、マイバッグを持っていることは当たり前で、レストランなどでも紙ストローやステンレス製などを使用し、プラスチックのストローを使っているところはあまり見かけません」

来日してからは、日本の日常生活の中で使われるプラスチックの量に驚いたといいます。

イギリスなど、ヨーロッパ諸国で環境へ配慮した取り組みが、民間企業発で実施されていることについて、「消費者が(環境への配慮を)求めているから会社も対応するという構図があった」と話します。

ステンレス製ストローをカフェやレストランなどに販売しているノイハウスさんは、環境への配慮や企業責任についてこう語りました。

「日本でもあと数年で、環境への配慮が当たり前になってくると思います。ですから、企業は今のうちに変える、考えてアクションを取るということが大切です。特に大企業などはインパクトが大きく、企業としての責任があります」

「ストローでも、プラスチックなどの使い捨て製品は店を運営する中でも楽かもしれません。しかし、たとえ時間がかかったとしても、その使い捨てのオペレーションから変えていく『挑戦』が大切です」

プラなど無駄な包装を使わない「量り売り」

2019年からは、のーぷらでのストロー販売の活動のほかに、食材の量り売り事業にも関わっています。

スーパーなどで売られている食材は、プラスチックなどで何重にも包装されていて、「食材を買うことで既にごみを排出してしまう」というのが現状です。

「プラスチックごみを出さず、必要な分だけを買って、巾着袋や再利用した瓶やタッパーにいれて持って帰ってもらいます。今ではあまり見かけませんが、量り売りは日本でも昔は当たり前だったと思います」

2019年末に東京都内にオープンした量り売りのモデル店舗「nue by Totoya」は、フランスから日本へオーガニック食材を輸入している「Papillon d’Or(ハピヨンドール)」が運営。ノイハウスさんは広報という形で関わり、日曜日のみ営業しているモデル店舗で週末ごとに店頭にも立っています。

塩や小麦粉、ナッツ類、チョコレート、紅茶など様々な食材を欲しいだけ袋や瓶に入れ、重さを測って、その分の代金を払うシステムです。

現在、夏季の営業は東京都内・代々木にある「PARKER」で日曜日の日中6時間でオープンしています。

「現代の日本では少し珍しい量り売りですが、実際にオープンしてみると、店舗周辺に住む人たちがよく利用してくださっています。趣旨を知らずに初めて来店したお客さんでも、繰り返し使える巾着・瓶の利用などを説明すると、意外とすんなりと受け入れて下さっています」(ノイハウスさん)

「食材の量り売りをしたい」という声もあるため、6月29日には量り売りを導入した店舗を開業するためのオンライン講座も開始しました。

「プラごみ問題、考えるきっかけに」

コロナ禍では、使い捨てマスクを毎日使用したり、テイクアウトの機会が増えてプラ容器などがごみとして出てしまったりもします。

一方で、ノイハウスさんはこの状況が「きっかけ」にもなりうると話しました。

「テイクアウトをする機会が増えると自然にプラごみが増えてしまったという人もいるようで、のーぷらのブログでは、東京都内で容器を持参してお持ち帰りができる飲食店の一覧なども作りました」

「でも、いつも以上にごみが出るという状況だからこそ、プラごみ問題などに気づくきっかけになると思います」


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