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コクヨが新商品の履歴書で「ある項目」を削除した。求職者からのニーズとその背景とは

大手文具メーカーのコクヨが12月23日から、性別欄がない履歴書の販売を開始しました。

大手文具メーカーのコクヨが12月23日から、性別欄がない履歴書の販売を始めました。

履歴書の項目をめぐっては、トランスジェンダーの人々を中心に「性別欄をなくしてほしい」との声があがり、オンライン署名には1万3千筆以上(12月現在)が集まるなど、性別欄のない履歴書を求める声が高まっていました。

コクヨは、性別欄がある従来の履歴書も販売を続けますが、消費者が「商品を選択できるように」と、性別欄がないものの販売に踏み切りました。

新しく販売される履歴書は「A4判」と「B5判」の2種類です。

コクヨのオンラインショップ「コクヨショーケース」で販売が始まりました。

コクヨは販売開始に際し、性別欄がない履歴書を作った理由をリリースでこう説明しています。

「性別の開示を希望しない方々の履歴書様式に対する様々なニーズに対してスピーディに対応していく必要性が高いことを認識したことから、従来のラインアップに新たに性別欄のない履歴書を加えることで、お客様の履歴書選びの選択肢を増やします」

文具店などでの販売は「商談次第」

きっかけは、2020年7月に、日本規格協会が、性別欄や写真欄などがある履歴書の「様式例」を削除したことだったといいます。

この「様式例」とは、履歴書を販売するメーカーらが参考にしているもので、この様式例の削除により、各メーカーの履歴書にも変化が出てくることが予想されていました。

販売場所に関しては、まずはオンラインショップで販売開始されましたが、コクヨの担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、文具店など店頭での販売は「今後の商談次第」と話します。

理由としては「各流通事業者でのご判断も関係することや、事業形態によって商品の採用時期、展開時期が異なることも背景としてある」と説明しています。

また、性別欄がない履歴書の商品化に向けた具体的な検討は、「日本規格協会からの様式例削除の連絡」や「社会的なニーズなどをふまえて2020年7月から開始した」と述べました。

当事者らの声、経産省や日本規格協会に届き、始まった「変化」

日本規格協会が、性別欄や写真欄などがある履歴書の「様式例」を削除した動きは、オンライン署名に集まった声が契機となっていました。

労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」が、「書類審査で、性別による差別を助長することになる」「トランスジェンダーが面接でカミングアウトせざるを得ない状況になる」という求職者の声などをもとに、履歴書から性別欄をなくすよう求めるオンライン署名を呼びかけました。

1万人以上が賛同したオンライン署名は6月末、経済産業省に提出されました。経産省も「個人属性を問うことは適切ではない」との認識を示し、日本規格協会に指導。7月、様式例が削除されました。

8月には、コクヨにも署名が提出され、性別欄削除の要請が行われていました。

性別欄がある従来の履歴書の使用においては、トランスジェンダーの求職者からはこのようながあがっていました。

「履歴書の性別欄と面接時の服装に悩みすぎて疲れ果て、就活を諦めてしまいました。働くことに性別は関係ないはず」

「面接の時間のほとんどが性別に関する質問で、自分が伝えたかったことがほとんど言えない経験もありました」

「性別欄に記載をしないで面接に行ったら、面接官の前で『記入してください』と言われたり、(当時の戸籍上の性別である)女性に○をつけたら、男性用スーツの服装との違いを根掘り葉掘り聞かれたりしました」

大学や民間企業でも、変わる履歴書

履歴書の項目をめぐっては民間企業、大学などでも変化の動きが出ています。

東京都にある中央大学では約1年前から、性別欄がない履歴書を大学内の生協で販売しています。

学生の就職活動の支援をするキャリアセンターが生協に、性別欄がない履歴書を作ることは可能かという打診をし、版を作成、販売開始されました。

キャリアセンターはBuzzFeed Newsに対し「性別不問が当たり前になっていく中で、本学の履歴書フォーマットもそれに対応させた」と、その理由を述べています。

日用品・食品大手のユニリーバ・ジャパン(東京都目黒区)は3月、「その人の個性や能力に焦点を」との観点から応募フォームを一新。性別や証明写真、ファーストネームの欄をなくしたフォームを導入しました。


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