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HPVワクチン、接種したい? 子どもに勧める? 「迷っている」の声も。意識調査の結果は

子宮頸がんなどを防ぐHPVワクチン。積極的勧奨再開で接種したい?子どもには勧める?

日本では、年間1万人の女性が子宮頸がんに罹患し、3000人もの人が亡くなっています。

子宮頸がんやヒトパピローマウイルス(HPV)への感染は「HPVワクチン」で防ぐことができます。

この4月から、自治体によるHPVワクチンの積極的接種勧奨が本格的に再開されました。

再開を受けて、接種したいと思う?娘に勧める?

オンラインでの意識調査が実施されました。

意識調査を実施したのは、女性の健康教育と婦人科系疾患の予防啓発活動を行う一般社団法人「シンクパール」と、エムティーアイが運営する女性用健康情報サービス「ルナルナ」です。

アプリの「ルナルナ」「ルナルナ ベビー」「ルナルナ 体温ノート」で、女性4417人を対象に実施されました。(調査実施時期 : 2022年3月1〜8日)

HPVワクチン、積極的勧奨の再開、知ってる?

政府がHPVワクチンの積極的勧奨を再開し、4月から、HPVワクチンのお知らせが、本格的に対象者の女性たちに届けられるようになりました。

「HPVの感染を防ぐワクチンについて、対象者に個別に接種を呼びかける『積極的勧奨』を再開するよう厚生労働省が各自治体へ通達を出していることは知っていますか」という質問には、半数以上が「知っている」と答えました。

「知っている」と答えたのは29.9%で「なんとなく知っている」が22.2%でした。

一方で、27.0%が「知らない」、21.0%が「あまり知らない」と答えました。

約4割が接種に前向き、自治体の取り組みは9割が「知らない」

積極的勧奨の再開を受けて、接種対象者に対し、HPVワクチンを接種したいかどうか聞いた質問には、約4割が接種に前向きという結果がでました。

「すでに接種している」15.9%で、「接種したい」が17.7%。「どちらかというと接種したい」が21.2%でした。

一方で、「できれば接種したくない」という意見は9.6%、「接種する予定はない」は19.1%でした。「迷っている」という声も16.4%ありました。

接種に前向きな人の自由解答欄では、以下のような意見が寄せられました。

《予防接種で防ぐことのできる数少ないがんなのでぜひ受けて欲しい。がんはこわいです。悲しい思いをして欲しくない》 

《ワクチン接種が有効ならば、病気になる可能性を低くしたい》

《複数のいろいろな情報を自分の目で見て考えた結果、自分は接種したし、娘にも接種させたいと思う》

接種の予定がない人や接種したくない人の理由(複数回答)では、「接種後の副反応が心配」(63.9%)が最も多く、次いで「信頼できる情報がない」(39.2%)が大きな理由で、情報不足も、不安要素の一つになっている様子が伺えました。

HPVワクチンをめぐる、自分が住む自治体の取り組みについては、「知らない」と答えた人が9割以上を占めました。

「あまり知らない」が33.2%で「全く知らない」が57.5%。「知っている」は2.8%に止まりました。

自治体のウェブサイトでは、HPVワクチンについての情報を掲載しています。

娘に接種や検診を勧める?検診は前向きな意見

回答者のうち、娘がいる人に、「子どもにHPVワクチン接種を積極的に勧めたいか」を聞いた質問では、娘の年齢別で、回答に違いが見られました。

20代の娘がいる母親では、「すでに接種」「勧めた」「勧めたい」などの前向きな回答が半数でした。

一方で、10代の娘がいる母親の回答では、「悩んでいる」という回答が全ての選択肢の中で最多でした。

娘が20〜26歳の母親の回答では、「すでに接種させた」が40.4%で、「勧めたことがある(接種はしていない)」が4.4%、「勧めたいと思う」が10.3%と、前向きな意見が50%を超えました。

娘が10〜14歳の母親は、「悩んでいる」が最多の28.6%。次に「勧めたい」という回答が多く25.0%でしたが、その次に多かったのが「わからない」の13.1%でした。

15〜19歳の娘の母親では、「悩んでいる」という意見が24.6%で最多。一方で、「すでに接種させた」(18.7%)、「勧めたことがある(接種はしていない)」(8.0%)、「勧めたいと思う」(17.1%)という前向きな意見も多くみられました。

子宮頸がん検診については、「勧めたいと思う」という回答が圧倒的に多く、年代が上がるにつれて、「勧めたことがある」「実際に受診させたことがある」という意見が多くなりました。

子宮頸がん検診は、20歳から2年に1回、定期的に受診することが勧められています。

検診は、自治体が指定する、検診機関や医療機関などで受診することができます。

誰が無料でHPVワクチンを受けられる?

現在、HPVワクチンを無料で受けられる「定期接種」の対象者は、小学校6年生から高校1年生相当の学年の女子です。

国は2013年4月から、この学年の女子を定期接種の対象にしていました。しかし、接種後に体調不良を訴える声をメディアが副反応と決めつけて報じたこともあって不安が広がり、国は積極的にお勧めするのを一時的に止めました。

安全性や効果が十分に検証されて8年半経った昨年11月にお知らせ送付の再開が決まりましたが、無料接種のチャンスを逃した人も多くいます。

正しい知識や接種機会の周知をするため、この4月から、本格的に対象者の女性たちにお知らせが届けられるようになります。

また、平成9~17年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日)でうち逃した女子は、この4月から3年間、無料で接種することができます。「キャッチアップ(追いつくための)接種」と言います。

「若いうちからワクチンや疾患に対する正しい知識と情報を」

意識調査の結果を受け、慶應義塾大学の名誉教授の吉村泰典さんは、次のようにコメントしています。

「子宮頸がん検診の受診率は非常に高いルナルナユーザーでもHPVワクチンの接種率は低い現状に、やはりワクチンに関する情報量の少なさや分かりづらさが影響しているように感じました」

「HPVは性交渉の経験のある女性であれば高い割合で感染するウイルスです。また、子宮頸がんの発症のピークは、以前は40~50歳代だったのが30歳代後半にまで下がっており、最近は20~30歳代の若い女性にも増えてきています」

「これらのことからも、若いうちからワクチンや疾患に対する正しい知識と情報を得て、ご自身の考えを確立しておくべきです。そしてそのためにも、政府や医師が情報発信に努めることが重要です」

(サムネイル:getty image)