駐日ドイツ大使館が2月5日、あるツイートを投稿をし、その動きが欧州の駐日大使館に広がっている。
ツイートには「#dontbesilent(沈黙しないで)」「#genderequality (ジェンダー平等)」「#男女平等」のハッシュタグと、大使館職員が挙手している写真。
投稿にどのような思いを込めたのか。ドイツ大使館とスウェーデン大使館に話を聞いた。
「#dontbesilent(沈黙しないで)」と呼びかけるドイツ大使館のツイートは1万8千回以上リツイートされ、4万8千を超える「いいね」がついている。
ドイツ大使館は投稿との関連について名言を避けたが、前日の4日午後には、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が記者会見し、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などの女性蔑視発言を謝罪していた。
ドイツ大使館の投稿に続いたのは、スウェーデン、フィンランド、アイルランド、ポルトガル、チェコなどの各国大使館や関連政府機関、駐日欧州連合代表部の公式Twitterアカウント。
同じ3つのハッシュタグをつけ、同いポーズの写真を投稿したり、賛同の意を示したりした。
挙手に込められたのは「女性の積極的な意見表明を応援する気持ち」
BuzzFeed Newsの取材に対し、ドイツ大使館は「左手をあげるポーズは、会議中に発言を行う際の挙手を表しており、女性の積極的な意見表明を応援する気持ちがこめられています」と説明。
投稿の狙いや、反響の広がりについて以下のようにコメントした。
「『男女同権』『男女平等』といったジェンダーに関するテーマは、多くのドイツ人にとって個人的にも大変重視しているテーマの一つであり、今回、そうした職員が参加できるツイートを出しました」
「日本の皆さまからの今回のツイートへの反響に大変驚いていますが、このテーマが多くの方々に、また身近な問題として取り上げられたことはうれしく思います」
「手を挙げることで、すべての女性が関与し、声をあげられるようサポート」
スウェーデン大使館も、森氏の発言と投稿の関連性については明言を避けた。
その上で、取材に対して「手を挙げることで、すべての女性が関与し、声をあげられるようサポートし奨励していきたいと思います」と回答。
「ジェンダー平等を推進することはスウェーデン国内ではもちろん、対外外交政策においてもスウェーデンの基本的な政策目標です」と述べた。
ツイートした各国は、ジェンダー平等の「先進国」
世界経済フォーラム(WEF)が発表した2020年の「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は調査対象になった153カ国中121位と、過去最低の順位を記録。
一方、今回Twitterで声を挙げた各国は、フィンランドが3位、スウェーデンが4位、ドイツが10位などと、上位にランクインしている。
閣僚ポストで女性が占める割合でも、日本と欧州各国では大きな差がある。
女性に関する国連の機関「UN Women」とIPU(列国議会同盟)が2020年3月に発表したデータによると、2020年1月時点で、日本の閣僚ポストに女性が占める割合は15.8%で、世界113位。
フィンランドは61.1%で世界2位、スウェーデンは54.5%で7位、ドイツは40.0%で26位だった。
「誰かが一線を越えたら、声を上げよう」
国連広報センターも各国大使館のツイートに続く形で、3つのハッシュタグと共にツイート。UN Womenの投稿を和訳して、こう呼びかけた。
「沈黙を打ち破ろう。誰かが一線を越えたら、声をあげよう」
「家父長制への無言の迎合は、受け入れてはいけません」