【会見要約】安倍首相「助成金制度を作り、正規・非正規問わず支援」新型コロナ、対応は

    新型コロナウイルスへの対策に関して安倍首相は会見を開き「これから1、2週間が感染拡大か終息かの瀬戸際」と話しました。

    新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、安倍晋三首相は2月29日午後6時から会見を開き「これから1、2週間が急速に拡大が進むか、終息に向かうかの瀬戸際」とし、「必要な措置は躊躇なく実施していく」と話した。

    27日には、全国の小中学校、高校、特別支援学校に対して、3月2日の月曜日から春休みまで臨時休校するよう、要請していた。

    臨時休校「断腸の思い」

    2月27日に発表された、全国の小中学校、高校、特別支援学校の臨時休校に対しては、「子どもたちにとって3月は進学、卒業前の大切な時期です。思い出をつくる時期に、断腸の思いです」と話した。

    また、「万が一、学校において子どもたちへの集団感染というような事態をおこしてはならない」「子どもたちの健康を第一に」と休校の必要性を訴えた。

    「親御さんにはご負担をおかけいたします。とりわけ小さなお子さんをお持ちのご家庭には本当に大変なご負担をおかけすることになります」とし、「企業の方には、お子さんがいらっしゃる方への配慮をお願いします」と呼びかけた。

    また、日頃から人手不足に悩む中小企業や、介護・保育関係者には、「お詫びをいたします」とし、小さな子どもを預かれるよう「国として全力で支援していく」とした。

    終始、左右の透明なパネル「プロンプター」に映された原稿を読み上げた形での会見だった。

    正規・非正規問わず支援していく

    また、臨時休業やコロナウイルスの影響で収入減などとなる労働者の状況に対しては、このように述べた。

    「保護者の方々の休職などは、新しい助成金制度を作ることで、正規・非正規を問わず支援していきます」

    「2700億円を超える予備費を活用し、第二弾となる緊急対策を今後10日程度のうちにすみやかに取りまとめます」

    また「必要な立法措置を早急に進める」とも話した。

    コロナウイルスの影響で、海外からの観光客が減少し各地の観光地が打撃を受けていることや、工場の生産ラインなどにも影響が出ていることにも触れ、「特例的に1月までさかのぼって支援を実施します」とし、「地域経済に与える影響にしっかりと対策を講じます」と述べた。

    株価の下落など経済への打撃に対しても、詳細は述べなかったが「経済財政政策を行ってまいります」とした。

    五輪は「大会開催に向けて、準備進めていく」

    感染拡大か終息の「瀬戸際」である今後2週間は、スポーツ、文化イベントなど大人数が集まるイベントについても延期か規模縮小するように要請している。

    一方で、7月に開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピックについては、「大会開催に向けて、IOCなどと緊密に連携を取りながら安全な、そして安心できる万全の準備を進めていく」とし、開催する方向で進めていく姿勢を示した。

    「検査能力を理由に断られることがないように」

    新型コロナウイルスについては、患者の鼻やのどを綿棒で拭い採取した検体の中に新型コロナウイルスの遺伝子があることを、遺伝子を増幅させることで確認する「PCR検査」を実施している。

    これまで、SNSなどネット上でも「熱や咳があり検査を受けたかったのに断られた」という声が相次いだ。

    そのことに関しては、「保健所で断られて、(検査を)やってもらえないというご指摘があります。政府として、感染が疑われる場合は検査を行うように、『地域の検査能力に限界があるから断られる』という様なことがないようにしていく」と名言した。

    また、「来週中に、PCR検査に医療保険の適用を行います」とした。

    検査時間に関しても「2、3時間を要している検査の時間を15分程度に短縮できる機器を開発しており、3月中の利用開始を目指します」と説明した。

    今後、感染が急激に進んだ場合を想定し、「緊急時には5000床を確保して万全の医療体制を整えます」と話した。

    治療薬に関しては「現在、アビガンをふくむ3つの治療薬について、効果があるかどうか見極めるため、患者への投与を開始しています」とした。

    トイレットペーパー「冷静な購買活動を」

    また、トイレットペーパーや生理用品、おむつなどの紙製品をめぐり、インターネット上で発生したデマにより「買い占め」が起こっていることについては、このように述べた。

    「様々な事実でない噂が飛び交っている。トイレットペーパーについてはほとんど国内生産で十分な供給量がある。冷静な購買活動をお願いしたい」

    「家族を守るために行動をとるというのは当然のことだが、それに対し我々も情報提供を行っていきたい」

    「険しく厳しい戦い、続いていく」

    また安倍首相は、コロナウイルスを「よく見えない、よく分からない敵」と表現し、「戦いは容易なものではない。政府だけの力でこの戦いに勝つことはできない。医療機関、自治体を含め、一人一人の国民の皆様のご協力が必要」と呼びかけた。

    また「険しく厳しい戦いが続いていくということも覚悟しないといけない」と話し、「私たちは必ず乗り越えることができる、そう確信しています」と会見を締めくくった。