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「産む・産まないの選択肢は女性にある」中絶の権利をめぐり抗議デモ。女性たちの言葉

5月14日、中絶の権利を訴える抗議デモが全米各地で行われた。今回は、ニューヨークの抗議デモに参加した女性たちに話を聞いた。

保守的なキリスト教徒が多く、妊娠中絶が政治問題であり続けるアメリカで今、女性が安全な中絶手術を受ける権利の先行きが、危ぶまれている。

中絶を女性の憲法上の権利として認め、中絶を禁じる州法を「違憲」とした1973年の画期的な連邦最高裁判決、通称「ロー判決」が、覆される可能性が出てきたのだ。

2022年5月2日、政治報道サイト「ポリティコ」が、最高裁がロー判決を覆す可能性があると報じ、新たな判決文の草案を公開した。草案通りの判決が出れば、州によって中絶が再び禁じられる可能性がある。

世論が賛否に割れるなか、中絶の権利を訴える抗議デモが5月14日、全米各地で行われた。ニューヨークで行われた抗議デモには少なくとも1万人が集まった。

BuzzFeed Newsは、ニューヨークのデモに加わった女性たちに話を聞いた。

A large crowd of people, some holding signs such as "Abortion should be safe and legal!"

参加者の1人、マール・マケルダニーさん(78歳)は、「今日、ここに来る必要があった」と語る。

「私たちが声を上げなくては、私たちの権利を失ってしまいます。マイノリティ、女性の権利を奪おうとしている人たちがいるのです」

「ロー判決のことを今でも覚えています。そのときは若い女性として、どんな判決が下るのか、心配でたまりませんでした」

「判決が覆されてしまえば、避妊薬や同性婚など、他の権利にも影響が出てしまうのではないか、今はそれがとても心配です」

タリアさんは、母親と友人、友人の母親と一緒に抗議デモに参加した。

タリアさんたちが掲げるプラカードには、好きな花とお気に入りのTバックが飾ってある。これは、彼女の母親のアイデアだったという。

「私は中絶を経験したことがあります。女性から中絶の権利を奪う行為は、私たちが医療行為を受ける権利の剥奪にも繋がるのです」と語った。

別の参加者の女性は、30年以上前にも中絶の権利を求め、抗議デモに参加したことがあり、今回も迷わずに参加したという。

「ニューヨークの大学に通っていた頃、デモに参加したいという女性たちを集め、みんなでワシントンに行きました」

「今は双子を育てる母親になりましたが、娘には、彼女の祖母や母親よりも、生殖に関する選択が少ない社会で暮らして欲しくはありません」

A protestor with her sign, "Marched in 1989, still my body my choice"

匿名の取材に応じてくれた女性は、「中絶を受けれる権利は平等であるべきだ」と話す。

「60年代後半、私の母親は人口妊娠中絶手術を受けるために、プエルトリコまで足を運ぶ必要がありました」

「そのとき、私の母親にはすでに3人の子どもがいました。(プエルトリコまで行き)手術を受けられる経済力があった母親は、幸運だったと思います。しかし、経済的に余裕のない女性も多くいるのです」

今回の抗議デモには、ロー判決の時代を生きた女性たちも参加していた。彼女たちは、女性たちにとって「選択の自由」がいかに重要なものだったのか、語ってくれた。

Twitter: @stefficao_

アナ・ゴメスさんは、息子のヒューゴ君を連れ、抗議デモに参加した。

「私の心配は、幼い女の子たちが、将来、選択の自由を奪われてしまうかもしれないということです。考えるだけでも、恐ろしいことだと思います」

「27歳のときに息子を産みました。正直、自分には子どもを育てる準備はできていないと感じていました。準備ができていないと感じている人が、強制的に子どもを産まなくてはいけない…考えられないです」

「産む・産まないの選択が私にあったように、他の人にもその選択肢があるべきです。私は、息子を産むことを決めました。他の人にも、その選択肢があるべきだと思うんです」

この記事は英語から翻訳・編集しました。