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「選ぶ権利は、誰にでもあって然るべきものだ」中絶をした女性たちの体験談

「辛かったけど、中絶という選択肢すらないなんて考えられない」

9月1日、米テキサス州で妊娠6週目以降の人工妊娠中絶を禁止する州法が施行された。

A protester dressed as a handmaiden holds up a sign at a protest outside the Texas state capitol on May 29, 2021

1. 彼氏の思惑通り

高校最後の年、私が別れたいと思っているのに勘づいた当時の彼氏が、私を繋ぎ止めるために思いついた作戦が「妊娠」。

まったく私の気づかないうちに彼氏は作戦を実行し、結果、本当に妊娠してしまいました。

今思い出しても心が痛みますが、あの時、中絶という決断をしていなかったら大学にもいけていなかったんだなと思います。

ーu/dayme18

2. 望んでいた妊娠

待ち望んだはずの妊娠は、中絶で幕を閉じました。

お腹の中の子どもに脳変性疾患があるとわかったからです。

夫と私にとって人生で最も辛い決断、妊娠継続を断念することにしました。

自分の状況を、少しながらでも自分でコントロールできる選択肢があることに感謝します。

選ぶという権利は、誰にでもあって然るべきものだと思います。

ーu/anslack

3. 生活ギリギリ

数年前、中絶手術を受けました。

私には理解ある素晴らしい夫と、9歳と11歳の子どもがいます。

あの時、妊娠検査をするまでもなくピンときました。

妊娠したかもと思った瞬間から、どうすべきかはわかっていたのです。

我が家の経済事情では、3人目を育てることはできません。

夫婦共働きで、すでに子どもにかかる費用の一部は親に頼っています。

3人目を産むということは、私が今の仕事を辞めて赤ちゃんのお世話をするということ。

5人家族が暮らせるもう少し大きな家に、引っ越す必要もあるかもしれません。

今ですらギリギリの生活なのに、3人目を迎えるのは上の2人の子どもに申し訳ないとも思いました。

赤ちゃんが欲しくないわけありません。状況が許すならぜひ産みたいです。

でも、今の状況では生まれてくる子どもに責任が持てない、フェアじゃないと思いました。

ーu/b4b856

Concept hormonal contraception on a pink background

4. 1人で決断、後悔はない

当時15歳。浮気性でドラッグ中毒で暴力を振るう男と付き合っていました。

離れて住んでいた父の元に逃げ込み、一緒に暮らすことで、なんとか彼氏からは逃げられたものの、すぐに妊娠が発覚。

彼氏はこれからは幸せに暮らそう、迎えにいくと言いましたが、あの酷い生活に戻るかもしれないと思うと彼氏には絶対会えませんでした。

結局、父親の家から少し離れたクリニックに1人でいき、中絶手術を受けました。

父親にはインフルエンザが悪化したからと嘘をつき、体も心もボロボロで5日間入院しました。

12年後、素晴らしい夫にめぐりあい、第一子が生まれました。

あの時の中絶を思うと悲しくなります。

今でもあの子が産まれていたらどうなっていたかなと思うことはあります。

それでも、あの時の決断に後悔はありません。

ーu/contrary1

5. 準備ができていない

19歳で中絶を経験しました。

理由は、単純に母親になる準備ができていなかったからです。

自分の決断に後悔も恥も感じていません。

正しい選択だったと思っています。

現在27歳、1歳半の子のママとして頑張っています。

ーu/allegrak2

6. 気持ち的、物理的、お金的に無理

21歳の時、ある男性と一晩だけ関係を持ちました。

7、8週経った頃、生理が遅れていることに気づきました。

妊娠検査薬は陽性。落ち込みました。

気持ち的にも、物理的にも、お金的にも、子どもを産むなんて絶対に無理でした。

当時、お酒もかなり飲んでおり、アル中かもと思っていた頃でもありました。

子どもに相応しい環境とはお世辞にも言えない生活をしていました。

産婦人科で超音波検査をし、妊娠を確認。

検査をしてくれた技師さんに「写真いりますか?」と聞かれましたが断りました。

何も知らない方がいいと思ったからです。

まだ初期段階だったので、手術ではなく飲み薬を用いることに。

薬と痛み止めをもらってクリニックの外に出ると、中絶反対派の人々が抗議運動をやっており、「人でなし!」と罵られました。

翌日、処方された薬を飲み、その日はずっとオムツのような大きさのパッドをあてて過ごしました。

とても辛い体験です。辛かったけど、中絶という選択肢すらないなんて考えられません。

ーu/emilyp48

Pro-choice activists supporting legal access to abortion protest during a demonstration outside the US Supreme Court in Washington, DC, March 4, 2020

7. 唯一あった特権

妊娠が嫌で中絶しました。

私にとって、妊娠は身動きがとれなくなる何より恐ろしいこと。

性行為に同意はしましたが、妊娠に同意した覚えはありません。

いっそ、私が妊娠できない体ならと思わずにはいられません。

妊娠できる自分が嫌でしかたないのです。

私が暮らす中東では、女性は子どもを産む以外で価値を見出されません。

私はアメリカの国籍も持っているので、飛行機でアメリカに向かい、全財産を使って自費で中絶手術をしてもらいました。

妊娠中(術前)、体調が悪く外出できず仕事を失いました。

妊娠は私にとって最悪の体験でした。

でも、感謝すべきことに、私には自分の体について自分で決断することを許される国に行けるという特権があったんです。

中絶の決断に後悔は一切ありません。ただ、ほっとしただけです。

ーu/fauxarticulacy

8. いいママになれるかわからない

24歳。仕事を辞めたばかりで無職。

低年収の彼氏(親と同居)とは、交際5カ月ほど。親からの援助もなし。

最初は産みたいと思いましたが、今の状況を考えたら産むのは最良の決断ではないと思い直しました。

妊娠11週で中絶。後悔はしていません。

いいママになれるかわからないし、今の選択肢としてはこれがベストだと思っています。

ーu/z4f2bb

9. 想定していなかった妊娠

骨盤内炎症性疾患(PID)と多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がある私は、病院で不妊だと言われました。

なので、ピル(経口避妊薬)も飲んでいなかったし、そもそも妊娠を心配したことすらありませんでした。

パートナーと何度も避妊せずにセックスしていたので、妊娠が発覚した時はただただビックリしました。

今ある選択肢、出産や妊娠について、子どもを育てるのにかかるお金、いろいろなことをリサーチした結果、現実的に考えると中絶するしかないと思いました。

体も心も経済的にも、赤ちゃんを産んで育てる準備なんてまったくできていなかったからです。

私が行ったクリニックのスタッフさんはとても理解があり、優しい人たちでした。

手術前にカウンセラーと話す時間を設けてくれ、怖くて感情的になってしまうような場所でも、とても上手に対応していました。

実際の処置は大したことはなく、鎮静剤を飲み、処置ベッドに横になって、かかった時間は5分にも満たなかったと思います。

その後、しばらく椅子に座って安静にし、ジュースとクッキーをもらって帰宅。

私の決断でしたことなので、後悔はありません。

ーu/01312triny

A illustration of a female reproductive system

10. 中絶を経て解放された

ひどい不安症とうつを抱えています。

妊娠が発覚して、何度も自殺を考えました。

「ひきこもりで外にも出られないのに、どうやって子どもを育てるつもり?」と何度も頭の中で繰り返しました。

その後、中絶できることを知り、処置をうけました。

あれから4年、今はとても幸せです。

当時、あの選択肢があったことを幸運に思います。

中絶禁止法のせいで現状から逃げ出す術がない人たちがいるかと思うと、涙がでます。

ーu/lynnM00

11. キャリアを築くため

大学入学後すぐに妊娠がわかりました。

親と同居、無職、お金なし。

結婚していたので夫はいましたが、当時は離れて暮らしていました。

夫と話し合ってだした結論は、今の状況で子どもを育てることはできないということです。

中絶を選びました。

あれから4年、私は無事法学部を卒業。

赤ちゃんを育てながらでは不可能だったと思います。

中絶してよかったとは言いません。

でも、中絶したことでキャリアを築くチャンスを得たとは思います。

経済的に安定した今は、子どもを持つことを望んでいます。

これが理由で私は中絶を支持しています。

ーu/ibjelly05

12. 周りからのプレッシャー

30歳、全身性エリテマトーデス(SLE)と診断されました。

私は仕事が忙しく、お腹の中の子の父親は頼りになりません。

それでも、周りからは産んだ方がいいと言われました。

「これが最後のチャンスだったらどうするの?」って。

母性本能も子どもを欲しいという強い思いもない私にとって、選択肢は中絶のみ。

後悔はありません。

ーu/adavis213

An activist seen holding a placard that says 'keep your laws away from my uterus' during the protest

13. 他人からの意見

20歳前半で、最初の中絶手術を受けました。

その後、子宮筋腫が見つかり除去手術を受けたのですが、その時に私の子宮の状態では妊娠は難しいだろうと言われました。

手術したこと、専門医から言われたこととは裏腹に、私は30歳半ばで再び妊娠。

2度目の中絶手術を受けました。

あの時さんざん泣いたし、今も涙がでてきます。

子どもを欲しいと思ったことはありません。今も思いません。

自分の体のことで他人からとやかく言われることにうんざりです。

黒人女性として、歴史的にも自分の体に自由を感じられない理由はたくさんあります。

女性が自分を弱者と感じてしまう、自分を守ることができない理由もたくさんあると思います。

自分にとって何が正しいのか、それを選ぶのは自分です。

選ぶことができるべきです。

中絶禁止法には、ただただショックです。

自分の体に対する決断は、自分でするべきです。

ーu/EmrldCtyBiddy

14. 相手からの精神的暴力

10年前のこと。

当時の彼氏と別れ、遠くに引っ越して、新しい仕事を始めた頃、妊娠に気づきました。

最大のミスは、妊娠したと元カレに言ってしまったこと。

ひどいことをたくさん言われ、心的暴力をうけました。

当時の私にとって、中絶は最良の選択肢だったと思います。

とても子どもを育てられるような状況ではありませんでしたから。

その後、素晴らしい男性にあって結婚し、今は2人のかわいい娘がいます。

ーu/nisienice

An illustration of a pregnant person who looks super overwhelmed

15. 周りは誰も知らない

既婚女性なので、中絶のことは誰にも話せませんでした。

誰も理解してくれないと思ったからです。

夫も私も子どもを望んではいなかったし、そもそもタイミングが非常に悪かった…。

中絶は、今まででいちばん辛かったことの1つです。

このことは誰も知りません。

これが原因で夫との間に溝ができても、私が抱える心的トラウマを夫が理解してくれなくても、後悔は一切ありません。

結婚しているのに中絶をしたことを、恥ずかしいと感じる気持ちは少しあるかもしれません。

それでも、自分と家族のために選んだ道に後悔はありません。

自分の決断を誰に説明する必要もありません。

自分の未来のために自分で決断すること、それは誰もがもつべき権利だと思うからです。

ーAnonymous

一部、読みやすさのために編集しています。

この記事は英語から翻訳・編集しました。  翻訳:soko / 編集:BuzzFeed Japan