就活にまつわる噂、信じていいの?
リクルートキャリア就職みらい研究所の所長・岡崎仁美さんに、その真偽を伺いました。
1. 「顔採用」ってあるの?

「採用基準の中の1つとして、「容姿」が含まれる場合は少なからずあります」
「それは、例えば接客や営業職であれば、お客様に失礼のない程度での清潔感があるかや、介護職などであれば、利用者様が話しかけやすい雰囲気を持っているか、など、姿かたちの構造のみでなく、その人のもつ人柄・キャラクターも含めて総合的に判断されていることがほとんどです」
2. 説明会すっぽかしの「ブラックリスト」がある?

就活サイトでは、申し込み・欠席の履歴を二次活用することはない
つまり、「ブラックリスト」はありません。
「ただし、その就職支援企業自体が主催するイベント等において、営業妨害にあたるレベルでの悪質な行動がみられた場合には、サービスの退会を促すこともあります」
しかし個別企業レベルでは
「繰り返し何度も自社が開く説明会を予約しているにもかかわらず毎回無断欠席するといった場合には、その名前を控えておき、企業に招く場合の優先度を下げることがあります。これは企業の立場に立ってみればある意味非常に合理的と言えます」
ただし、個人情報の取り扱いには制限があるため、個別企業内で情報は完結するのだそう。企業としては「『説明会荒らし』的な学生」を他企業と共有できればいいのですが、現実的ではないのです。
3. 体育会系は有利?その理由は?

求める人材像に挙がりやすいのは事実。
企業の採用活動の中で「求める人材像」として「体育会系の人」が挙がることはあるとのこと。
「しかしこれは『体育会学生に限定している』『体育会系学生には、選考上の優遇措置がある』ということではありません」
なぜ「体育会系」か
「新卒者を含めた今の若者に求められる能力として提唱されている『社会人基礎力』を見てみましょう
これは『職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力』であり、具体的には『前に踏み出す力』『考え抜く力』『チームで働く力』の3つの能力が挙げられています。
つまり、企業はこれらの能力が高い人を求めており、こうした力がつく経験の1つとして『体育会系』が想起されやすい、ということです」
4. 「学歴フィルター」ってあるの?

就職サイトにフィルターは無い
「少なくとも一般の就職サイトにおいて、特定の学校種(大学、短大、高専…)や学校名、学部学科名を指定し、それ以外の学生のプレエントリーが企業に自動的に届かないようにするという仕組みはありません」
ただ、個別の企業によっては「プレエントリーしてきた学生を何らかの切り口で分類し、アプローチする際の優先順位をつけることがあります。その場合の基準として、地域や学部学科に加え、学校名を用いられることはあります」
5. 履歴書は手書き必須って本当?

「提出条件として『手書き』を求める企業は一定数あります」
「人事担当者や経営者の個人的な嗜好による場合もあり一概には言えませんが、どちらかというと規模の大きい企業よりは小さい企業に多い印象です」
「また例えば塾講師、接客業、秘書など、業務上手書き文字を書くことが多い業種・職種の場合も、手書き指定のことがあります」
6. SNSは人事に見られているの?

候補者の見極めの1つの材料として扱われるように
様々な切り口で候補者を見極める必要があるため、近年ではSNSを見る人事担当も少なくないようです。
「そもそもSNSでの発言は責任を伴うものではありますが、就職活動生という社会人一歩手前の状況にある学生は、その認識をより強く持つべきでしょう。
とりわけ就職活動で得た情報は、基本的には発信しない。何かに言及する場合も、個社や個人が特定できないよう配慮しましょう」
7. 証明写真は写真館で撮らなきゃダメ?

「写真館で撮影する」というのはあくまで手段
「大切なのは見る人によりわかりやすいものになっているかということです。写真であれば、鮮明に、その人となりが伝わるほうがよく、そうしたアウトプットを得るためにプロの力を借りることは、合理的な判断と言えるでしょうが、『写真館で撮影したものでなければならない』ということを条件としている企業はありません」
最後に
「こうした都市伝説は、先輩から後輩へのアドバイスがその源流となっていることと思われます」
心配事も多い就職活動。客観性に欠ける情報を信じこむと、ますます不安が膨らんでしまいます。無用な心配はせずに、就活を成功させたいものですね。
訂正
文中の記述を「アプローチする際の優先順位」と訂正しました。当初は「選考の優先順位」と表記していました。