清水ミチコにネタの作り方をきいてみた「突出した個性をもっている方しかできない」

    モノマネの女王、その舞台裏

    モノマネの女王、ネタは「憧れ」からうまれる

    2016年にデビュー30周年を迎えた清水ミチコさん。モノマネやピアノ芸でお茶の間の人気を集め続けています。

    BuzzFeed Japanは清水さんに、ネタ作りの舞台裏とモノマネのルーツについてききました。


    ――モノマネを始めたのはいつ頃ですか?

    意識して始めたのは高1だと思います。小学校の頃、皆と一緒に山口百恵さんの真似とかはしてたんですけど、指名されて「清水やってよ」って言われるようになったのは高1ぐらいですね。

    ――これだけ長く活動されていると、日常生活でもモノマネをされていそうですが。

    いやいや、でもテレビ観てていいなって思うと口ずさむっていうか。

    「この人出来るかも知れないなぁ」ってやってみるのは小さい頃からあります。

    ――その場ですぐコピーしちゃうんですね。

    はい、その人が好きだったら。

    ――では、好きな人がいるとモノマネしちゃう?

    そうですね、興味がある人というか。

    なんか、モノマネしてる人間って、自分に対して希薄っていうか、自分の声で何かを表現しようっていう人があまりいないんですよね。むしろ他の誰かになりきって、「こんなに素晴らしい人がいるんだよ」ってやる。

    あとはまあ、悪戯心もあって、冷やかしたいっていうのもありますね(笑)。ライブでもウケるので。

    ――確かに、桃井かおりさんのネタなんかは結構冷やかしてません?

    してますね(笑)

    ――でも、あれも桃井さんが好きだからということですか?

    やっぱりそうですね。高校の時しばらく、桃井かおりさんこそ「大人」としての完成形っていうか、あれが理想だと思ってました。

    自分が大人になったら、ああいう髪型にして、トレンチコート着る(笑)。そういうのが夢でしたね。

    ――もう完コピですね(笑)

    はい。でも、そのときはモノマネっていう概念じゃなくて、あれが自分の完成形っていうか。未来を想像できる一番の夢みたいな女性に見えてたんですよね。

    だからそういう気持ちが基本にあれば、あとちょっとどんな風に喋っても、笑いに持っていっても、そんなに嫌われないっていうかね(笑)

    ――でも、松任谷由実さんは清水さんのモノマネをあまり快く思っていないと聞きました。実際会ってみてどうでした?

    そんな噂もありますが(笑)お会いしたときは全然、両手で握手をしてくださって、お話もできたんですけど。

    私のほうが緊張してしまって、ちょっと過呼吸になっちゃったんですね。そのことをユーミンさんは後で「農民とくまが出会ったときみたいで、どっちもびっくりして何もできない」みたいなふうに、上手いことおっしゃるなって(笑)


    かっこいい人を、みんなと共有したい。

    ――新しいネタはどのように生まれているんですか?
    やっぱりテレビに出ている人を真似してみたり。それを家族が聞いて笑ってくれると「いただき!」と思って、ラジオに卸すかな。ラジオでウケると、ライブに卸します。その時にセリフや歌などの形をしっかり決めます。

    例えば、今は小池百合子さんがとても美味しいので、小池さんがどういうことを話すかを考えます。小池さんや寂聴さん、ユーミンさんが「もし講演をやったら」っていうのは新鮮で面白いんですよね。

    ――もしかして、小池さんも清水さんご自身の憧れなんですか?

    そうですね。自分をしっかり持っていて、独特じゃないですか。

    やっぱり私、女性で政治家や社長になる人って、すごく面白いと思うんですよ。こういうこというと怒られちゃうかもしれないんですが、女性ってそういう欲望はあまりないのかなと思っていて。やっぱり突出した個性をもっている方しかできないと思うんですよね。

    だからそういう個性を捕まえて、私なりに消化したものをみんなに共有するっていうのが楽しいと思いますね。

    ――なるほど、では清水さんのモノマネは「この人すごいよね!」っていう共有なんですね。

    うん、そうそう。でも、そういうことばっかりやってると。こないだTwitterで「この政治家がキライだからモノマネしてくれ」って頼まれたりするの。

    私を復讐の道具にしないでって(笑)


    EXILEやSuchmosも聴きます。

    ――ネタはどのくらいのペースで生まれるんですか?

    いや、少ないですよ。年に2人くらい。去年はまあ小池さん、朴槿恵さん、安倍さんなんかがオイシかったですけど。

    ――新しいネタの研究って大変そうですが。

    はい。でも、私の場合はここしか努力する場所がないので(笑)

    ――普段聴く音楽なども、参考にしてますか?

    そうですね、やっぱ新しいものを聞こうとはしているかな。今何が売れているのかなとか、そいういうベストヒットのFMは聞くようにしています。あと、仕事関係の若い人たちから聞いたりとか。

    最近だと、今度J-WAVEのライブで横浜アリーナでEXILEの今市さんとご一緒するので、ちょっとEXILEも聞いてみようかなって(笑)

    ――清水さんがEXILEを聴いているんですね!意外です。

    聴いてます(笑)

    ――ちなみにEXILEのモノマネはしないんですか?

    しないしない!ファンが怖い(笑)

    ――他に最近気になっているアーティストはいますか?

    リクエストであったのは、Suchmosやってほしいっていうのがありました。

    ――是非やってほしいです!

    ちょっと待ってよ(笑)

    ――新作はありますか?
    今年は誰だろう。まだあまりいない感じですね。11月からまたライブツアーに入って、また、武道館も予定しているんですね。それにむけて、9月頃から作り始めるつもりです。

    ――では、それを楽しみに待っています。

    はい、是非!


    清水さんは11月3日から全国ツアー「国民の叔母 清水ミチコのひとりジャンボリー」を開始します。詳しい日程やチケット情報は公式HPをご覧ください。

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