大切なことはみんな、あの絵本が教えてくれた
あの絵本、「懐かしい」だけじゃない。
1. 愛することを知って、はじめて本当に生きられる

『100万回生きたねこ』は何よりも自分が好きで、何度生まれて変わっても飼い主のことを好きになれませんでした。飼い主はいつだって彼のことを愛し、死を悼んでくれたのにも関わらずです。とうとう野良猫に生まれ変わったねこは驕り高ぶっていました。
「ねこは, だれよりも 自分が すきだったのです。」
しかし、人気者の自分に見向きもしなかった一匹の白いねこに恋をし、結ばれます。やっと他人を愛することを学んだねこでしたが、白いねこは老衰で死んでしまいます。
「ねこは, はじめて なきました。」

「夜になって, 朝になって, また 夜になって, 朝になって, ねこは 100万回も なきました。」
「ねこは, 白いねこの となりで, しずかに うごかなくなりました。ねこは もう, けっして 生きかえりませんでした。」
傲慢だったねこは、愛する事・愛するものを失うことの悲しさを知って、初めて命を全うすることができたのでした。生きることの最大の目的は誰かを愛することなのかもしれませんね。
「木は しあわせでした。」

少年はやがて大きくなり、お金や家を必要とするようになりましたが、木は自分の枝や幹をも犠牲にして与えつづけました。とうとう切り株になってしまった木のもとに、年老いた少年が帰ってきます。最後まで、木は与えることをやめません。
「古い切り株なら、こしをおろして休むには ぴったりよ。いらっしゃい、ぼうや、わたしにおすわりなさい。すわって、ゆっくりおやすみなさい」
「それで木はしあわせでした。」
大人になって読んでみると、自分が与えられるものすべてを与えようとする親の愛情に胸が締め付けられます。
3. 後悔しないように、今日「愛してる」を伝えなきゃ

『ずーっとずっとだいすきだよ』の「ぼく」と犬のエルフィーは一緒に育った兄弟のような存在。でも、いつのまにかエルフィーは老いて、弱っていました。本当はみんな、彼のことがだいすきでしたが、いたずら好きのエルフィーのことを叱ってしまいがちでした。でも「ぼく」だけは違います。
「ねるまえには、 かならず『エルフィー、 ずーっと、 だいすきだよ』って いってやった。 エルフィーは、 きっとわかってくれたよね。」
「あるあさ, 目をさますと エルフィーが, しんでいた。」

「ぼくだって、 かなしくてたまらなかった けど、 いくらか、 きもちがらくだった。 だってまいばん エルフィーに、『ずーっと、 だいすきだよ』って いってやっていたからね。」
大好きな人とのお別れがいつやってくるのか、誰にもわかりません。言わなくてもわかっているはずと思っていたら、いつか後悔するかもしれません。
4. お別れは避けられないけど、心にずっと残るものがある。

動物たちに慕われてきた物知りのアナグマがみんなに残した『わすれられないおくりもの』のお話。もう自分の人生が長くないことを知っていたアナグマは死を恐れていませんでしたが、アナグマとの別れを動物たちは悲しみます。
「アナグマは、死ぬことを恐れてはいません。死んで体が無くなっても、心は残ることを、知っていたからです。」
「アナグマは、一人一人に、別れた後でも、宝物となるような、知恵や工夫を残してくれたのです。皆はそれで、互いに助け合うこともできました。」

悲しみにくれる冬が終わり、春になると、動物たちはアナグマと過ごした楽しい日々の思い出話ができるようになりました。悲しみは、時間とともに消えてゆきました。
「『ありがとう、アナグマさん。』モグラは、なんだか、そばでアナグマが、聞いていてくれるような気がしました。」
アナグマが皆に与えた愛は、彼が知っていた通り、皆の心の中で生き続けるのです。
大切なことは、絵本が教えてくれたね。

今読み返すと、新たな発見があるかもしれません。