体調が悪い。しかし、救急車を呼んでもいいのか。1分1秒が惜しまれる場面で、その判断を迫られる。
そんなとき、便利なアプリがある。消防庁が開発した『全国版救急受診アプリ』(愛称:Q助)だ。
救急医療の専門医師による医学的観点に基づき作成した『緊急度判定プロトコルver.2』(家庭自己判断)をベースに作成されている。
このアプリが「実際に救急車を呼ぶかどうかの判断の役に立った」とする以下のようなツイートが、話題になった。
本日不整脈で動けなくなったとき、正直救急車呼ぶかくっそ迷った。けど結果このアプリ使って自分の緊急度がわかったのですんなり救急車呼べました。これ皆入れとこうな。あとこれで、今自分が倒れてる相手がどんな状況か冷静に教えてくれるから… https://t.co/ixOI8YGxQR

Q助では、急な病気やケガをしたときに、症状や症候から該当するものを画面上で選択していくことで、緊急度に応じて取るべき行動を判定してくれる。

こうやって
緊急度は赤・黄・緑・白の4つに色分けされ、例えば赤なら「いますぐ救急車を呼びましょう」として、以下のような画面が表示される。

実際の選択画面(アニメーション)
赤の場合は、このように、判定結果に119番へのショートカットが表示される。その他の色の場合のアドバイスは以下のとおりだ。
黄「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」・緑「緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう」・白「引き続き、注意して様子をみてください」
救急車ではなく、自力で受診する場合は、医療機関の検索や受診手段の検索が案内(*)される。
*それぞれ、厚生労働省の『医療情報ネット』、一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会『全国タクシーガイド』にリンク。
このアプリが開発された背景は。BuzzFeed Japan Medicalは消防庁のQ助の企画担当者を取材した。
なぜ、このアプリが開発されたのか。Q助について、総務省消防庁救急企画室の担当者が取材に回答した。
アプリの提供開始は2017年の5月25日。適切な選択肢とその対応策をまとめるには「予算などの制限もある中、時間もかかり、苦労した」という。
それでも、昨今の日本国内の救急出動を取り巻く状況を考慮すると、このアプリが開発されるのは必然だったそうだ。
「救急車による救急出動件数は増加し続けています。そして、高齢化の影響により、今後も増大していくことが予想されます」
一方で、救急車や救急隊員の数は限られており、「症状の軽い方が安易な救急要請をすることは望ましくない」。
東京都では、救急搬送された人が初診医師により軽症(入院を要しない)と判断された割合は、2016年は54.9%だったと発表されている。
「救急車を適切に利用していただくために、急な病気やケガの際に必要な情報を提供し、緊急度に応じて取るべき行動を支援するアプリを制作したのです」
9月19日時点で、Q助のダウンロード数は約12万。行政の公式アプリとしては、かなりの人気といえる。
ただし、緊急時の病気やケガの状態は移り変わるものだ。一度、黄色や緑色と判定されても、安心できない。
「症状が変わると結果判定が変わることがありますので、状況次第で、都度Q助を使用してください」
それでも、いざとなると躊躇するかもしれない。「緊急性が高いときは、迷わず救急車を」と担当者。
同担当者は「緊急性が高いと判断したときは、迷わず救急車を呼んでください」という。では、緊急性が高いときというのは、どのようなときか。
例えば消防庁では、以下のようなリーフレットを作成、成人・子ども・高齢者について、救急車を呼ぶときの一定の基準を示している。



しかし、緊急時に手元にこのリーフレットがあることの方が少ないだろう。これを頭に入れておくというのも、医療者でなければ現実的には難しい。
「そのため、ぜひ、お使いのスマホに、このアプリを入れておいていただければと思います」
「また、地域によっては(*)専門家に相談できる救急安心センター事業(#7119に電話)が、実施されていますので、こちらもご利用ください」
*東京都、大阪府、奈良県、福岡県、札幌市周辺、横浜市、田辺市周辺
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