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な、なんてところを!「おしり」のうちわが「業が深い」と話題に 医師が語る製作の理由

ネットで度々、大きな話題を集める「うちわ」の製作意図とは。

誰もが目を疑う「うちわ」が配布され、受け取った人が「業の深いものに触れようとしている…」とコメントしたツイートがネット上で話題です。

今僕は秋葉原で業の深いものに触れようとしている…

このうちわが配布されたのは12月15・16日に秋葉原で開催されたYahoo! JAPAN Hack Day 2018。しかし、実はこのうちわ、これまでもネットで度々、話題になっています。

2015年にも8000回以上、リツイートされるなど、定期的に大きな話題を集めるこのうちわ。誰が、なんのために配布しているのでしょうか。BuzzFeed Japan Medicalは製作者の消化器外科医師・石井洋介さんを取材しました。

「コツコツ配ってきた」


石井洋介さん提供

石井さんは医師としての仕事をしながら『日本うんこ学会』を設立。腸内細菌を擬人化した美少女ゲーム『うんコレ』など、自分の排せつ物に関心を持つ重要性を、さまざまな企画で世の中に伝えています。

このうちわ自体は、2013年の同会の発足以降、「ずっと前からコツコツ配ってきた」もの。その間、「時折、ネットで話題にしてもらったり」「とてもありがたいです」(石井さん)。

なぜ、「おしり」をモチーフにしたのでしょうか。石井さんは「いきなり“大腸がんのことを知ってほしい”と言っても、なかなか興味を持ってもらえません」とそのきっかけを説明します。

「そこで、表面はインパクトのあるおしりの写真にして、興味を引くようにデザインしました。裏面には大腸がん検診についての情報が記載されています」

石井洋介さん提供

実物のうちわ。直腸診は医療行為であり、無資格者がおこなうことは禁止されていると但し書きもあります。また、直腸診自体は大腸がんの検診として有効とはされていないため、あくまでもこれはデザイン。

石井さんは中高時代に難病の潰瘍性大腸炎を経験。20歳まで人工肛門で生活しました。その経験をきっかけに、医師の道を志し、23歳で国立大学の医学部に合格。

その経緯は12月22日発売の著書『19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと』(PHP研究所)にもまとめられています。

卒業後は消化器外科医になり、大腸がんの患者を多数、治療してきたことで、大腸がんの初期症状を知り、早期発見する重要性を社会に訴えたいと思うようになったと石井さん。

「便が細くなる、下痢と便秘を繰り返す、便に血が混じる、残便感がある、などの症状が続くようであれば、注意が必要です。多くの人は検診や自分の便の状態に関心がないので、まずはそれを意識してもらえれば」

触感「わかります」

ネットで繰り返し、注目されるうちわですが、石井さんの活動はこの間、大きく進化しています。今回、Yahoo! JAPAN Hack Day 2018に参加したのは、もちろんこのうちわを配布するためではありません。

同会が出展したのは『触覚体験うんこツンツン 排泄ケアへの挑戦』。なんとVR(仮想)空間で「排せつ物を触る」ことを目的とした企画でした。

YouTubeでこの動画を見る

「便にはどうしてもネガティブなイメージがあります。しかし、今は高齢化社会で、介護など、便に関わる機会を避けられないときもある。そのイメージを払拭するために、このような体験が重要だと考えました」

この“うんこツンツン”デバイスには、最新のテクノロジーが活用されています。VR空間で物体に触れると、指先に押し返す力がかかり、それによって「触った感覚」が得られるのです。

「もともとは、なまこをツンツンする装置だったのですが、それをうんこに転用させていただきました。研究者の方に実現できるか質問すると“触感がわかれば再現できる”とのことだったので、われわれは“わかります”と」

最新テクノロジーを駆使して、“うんこ”への関心を集める石井さん。その活動は、あえて注目しようとしなくても、今後も思わず、目を奪われてしまうことでしょう。


Contact Seiichiro Kuchiki at seiichiro.kuchiki@buzzfeed.com.

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