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「天然ゴム」と「果物」でアレルギー増強 消費者庁などが注意喚起

アナフィラキシーショックで「最悪の場合、死に至ることも」

ゴム手袋やゴム風船、コンドーム、スポーツ用品、医療用チューブなどの身近なゴム製品には、原料に天然ゴムが使用されていることがある。

この天然ゴム中のある成分が原因で「最悪の場合、死に至ることもあり、非常に危険」と、消費者庁・厚生労働省・経済産業省が連名で注意喚起をした。

命の危険もある「ラテックスアレルギー」

【注意喚起】天然ゴム製のゴム手袋などを使用して、かゆみやじんましんなどが発症した経験がある方は、ラテックスアレルギーの可能性があります。心当たりのある方は、天然ゴム製品との接触を避け、アレルギー専門の医療機関に相談をしましょう。https://t.co/A1TVCpPRij

天然ゴムの「ラテックスたんぱく質」という成分が、「ラテックスアレルギー」の原因になる。

ラテックスアレルギーは、皮膚と天然ゴム中のラテックスタンパク質との接触により、赤み、かゆみ、じんましんなどの皮膚障害が発現するものですが、大きな特徴は、まれにアナフィラキシーショック(血圧低下や意識障害など)を引き起こす場合があることです。アナフィラキシーショックは最悪の場合、死に至ることもあり、非常に危険です。

出典:消費者庁 公表資料 2017年

「アナフィラキシー」とは、原因物質が体の中に侵入することで、複数の臓器にわたり全身性のアレルギー症状が引き起こされ、生命に危機を与えるレベルの過敏反応が発生してしまうことを指す。

東京都立小児総合医療センター アレルギー科 部長の赤澤晃医師は、この資料の中で、「現在までに、国内での死亡例の報告はありませんが、海外では15例の死亡例が報告されています」と述べている。

また、2013年に発表された別の資料には、「ラテックスアレルギーは、医療従事者の3~12%、一般の人の1~6%が罹患しているとされる」という記載もある。

BuzzFeed Newsが消費者庁の担当者を取材したところ、「一般にはあまり知られていなかったこのような危険性が、昨年末に国会の消費者問題特別委員会などでも取り上げられたこと」が、今回の注意喚起の理由だという。

症状が出たら「フルーツ」に注意

特に、製造業や清掃業、介護業などの仕事をしていて、天然ゴム製のゴム手袋を頻繁に着用する人、アトピー性皮膚炎などで慢性的に肌荒れを起こしている人は、発症リスクが高いのだそう。

また、ラテックスたんぱく質は栗やバナナ、アボカド、キウイフルーツなどの食べ物のたんぱく質と構造が似ている。ラテックスアレルギーのある人が食べると症状が出たり、重症化したりするリスクが高いので、注意が必要とのこと。

今回の3省庁の発表では、ラテックスを含むゴム製品を使って赤み、かゆみ、じんましんなどの症状が出たことがあれば、天然ゴム製品を使うことを避け、病院で検査をすることが勧められている。

また、ラテックスアレルギーと診断された人には、以下が対策として挙げられている。

  1. 天然ゴム製品を避ける。ゴム製品を使う場合は、その製品に天然ゴムが含まれているかを確認する。成分表示がなければ販売店や事業者に確認する。
  2. 医療機関の診察や手術を受ける際には、あらかじめ、ラテックスアレルギーであることを医師や看護師に伝える。
  3. 一部のフルーツを食べると症状が出やすい、重症になりやすいことを理解して、摂取を控える。

赤澤医師は今回発表された資料を次のように結んでいる。

ラテックスアレルギーに限らず、御自身が持つアレルギーを知っておくことは、安心して日常生活を送るためには必要です。御心配な方は、医療機関に相談してみてください。

出典:消費者庁 公表資料 2017年