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ヘルスケア大学「医師5000人参画」の裏側「知らないうちに自分の名前が…」

運営のリッチメディアは参画医登録の見直しを発表した。

不正確で著作権的にも問題があったために閉鎖された医療情報サイト「WELQ」。あれから半年、今度は「ヘルスケア大学」という急成長中のサイトへの批判が広がっている。

「ヘルスケア大学」は、株式会社リッチメディアが運営。WELQ閉鎖後、Googleの検索結果の上位に浮上してきた。売り文句としているのが、数千人の医師の「参画」だ。

サイトを訪問すると、目を引かれるのがトップページ左上の参画医師数。5月29日18時の段階では「5155人の医師が参画する」と表記していた。

インターネット上の医療情報の信頼性が危ぶまれる中、多くの参画医師を有するサイトは信頼性が高いように見える。しかし、実際には、複数の医師から信頼性を疑問視する声が相次いでいた。

これに対し、リッチメディアは5月8日、修正が必要な記事の存在を認めた

指摘を受けているヘルスケア大学内の『病院での頻尿の検査と治療』『高血圧の人の食事』等の記事に関して、一部の記事で指摘の通り修正が必要であることを確認しております。

上記の記事については、「指摘を受けた記事に関しては、記事を非公開とした上で修正し、医師の監修等の然るべき手順を踏んだ上で、再度公開いたします」と説明している。

医師が参画しているのに、修正が必要な記事が出てしまったのはなぜか。BuzzFeed Newsは複数の医師や医療機関に取材し、「参画」の実態について証言を得た。

知らないうちに「参画」させられていた医師たち

国立病院機構埼玉病院では、約120人の医師の名前が、参画医師としてヘルスケア大学に掲載されている。しかし、医師らの中には自分がヘルスケア大学に「参画」していることを知らない者もいた。

リッチメディアは「参画」の定義を「記事を監修していただくことに了解をしていただいた医師」と説明している。了解したのに、「参画」の事実を知らない医師がいるというのは、不可解だ。

BuzzFeed Newsは同病院の広報担当者を取材した。そこで明らかになった経緯は以下のようなものだ。

「過去に病院幹部の1人がインタビュー取材を受けた際に、ヘルスケア大学の担当者が口頭で“病院所属の全医師名の掲載”を申し入れ、同病院幹部がそれを了承した経緯があるようです」

しかし、このことは医師らに知らされていなかった。自分たちの名前がヘルスケア大学に載っていると、病院の医師らが知ったのは偶然だ。ある医師が自分の名前の掲載に驚き、病院側に確認して発覚した。

同広報担当者は「今も、自分の名前が掲載されていることを知らない医師がいる可能性がある」という。

今後も医師名の掲載を認めるかについては「検討中」と回答。しかし、「すでに退職や転任した医師も掲載されており、情報が古いので、少なくともそういった情報は削除してもらうことになると思う」と話す。

減り始めた「参画医師」

5月31日15時時点でトップページに記載されていた「5011名の医師が参画するヘルスケア情報サイト」という文言は、6月1日17時には「4604名の医師が参画」に、3日15時現在は「4599名の医師が参画」に変更されている。

なぜ、参画医師数が減り続けているのか。BuzzFeed Newsは都内にある大学病院を取材した。この病院は最近、所属する医師300人以上の情報を削除するようにヘルスケア大学に求めた。

この病院にも取材して浮かび上がってきたのは、ヘルスケア大学の「参画医師」が急増した舞台裏だ。手法は埼玉病院と非常に似ていた。

幹部へのインタビュー取材の際に、メールで医師情報掲載などについての依頼が届き、病院幹部が了承。このケースでも、医師らにヘルスケア大学に名前が掲載されることは情報共有されなかった。

埼玉病院同様、自分の名前が掲載されていることを不審に思った医師らが病院側に相談したことで、事態が発覚している。

自分の名前が知らないうちにヘルスケア大学に掲載されていたある医師は、BuzzFeed Newsの取材に「信頼性が不確かな記事もあるサイトの中に、自分の名前があるというのは気分のいいものではない」と回答した。

参画医師のうち、監修に携わる人数は「非公開」

リッチメディアはこれまで、無断で医師の氏名や写真を使用しているとの批判に対し、「医師もしくは医療機関と契約を締結しており、その契約に基づき医療機関や医師の情報を掲載しております」と反論していた。

どのように契約を結んでいるのか。BuzzFeed Newsはリッチメディアの広報担当者に取材を申し込んだ。質問への回答はメールで寄せられた。

担当者によると、口頭やメールだけでなく、同社の「管理システム」で規約への承諾を得ている。この管理システムは、ウェブ上で規約を確認し、同意を得る流れになっている。

では、規約の内容はどうか。

「弊社規約上では医師個人についての承諾だけでなく、病院(法人)単位での承諾をいただく内容になっております」

病院単位で承諾をもらったとはいえ、個々の医者は本人が知らないままに「参画」させられる。この点に問題はないのだろうか。

広報担当者はこの方法でも「医師らと信頼関係を築けると考えている」と問題の存在を否定した。

参画した医師は具体的に何をしているのか。

ヘルスケア大学は「編集部が作成した記事案を元に、社内外のライターが原稿を執筆して、その原稿を参画医師に監修してもらい、医学的な指摘を反映させた上で掲載している」と説明する。医師により監修された記事も一部確認できる。

ただ、現実に自分が参画していることすら知らない医師が大量にいる。参画医師のうち、監修をしている医師はどれだけいるのか。

「具体的な人数等の詳細は非公開とさせていただいております」

参画医師登録の見直しを発表

BuzzFeed Newsが取材を進める中、リッチメディアは6月2日付で「弊社では、ご協力いただいている皆さまに、再度、ご協力を賜われるかどうかの確認をさせていただくことといたしました」と、この参画医登録の見直しを発表している。


【お願い】

BuzzFeed Newsは、インターネット上の医療情報の信頼性について、引き続き取材します。記事の監修をしたことがある医師の方、信頼性が不確かだと思われる医療情報を見つけた方は、Twitter( @amanojerk )またはメール( japan-info@buzzfeed.com )などでご連絡ください。



Seiichiro Kuchikiに連絡する メールアドレス:seiichiro.kuchiki@buzzfeed.com.

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