レスター初優勝、その奇跡を例えてみた。

    サッカー専門誌編集長に聞いてみた

    奇跡の優勝を決めたレスター

    リーグ降格候補の地方の小さなクラブが、世界に名だたる金持ちクラブを軒並み倒して、優勝を勝ち取る。夢みたいな話が現実に起きた。

    日本代表、岡崎慎司が所属するレスターが奇跡の主役だ。まさかのプレミアリーグ初優勝を果たしてしまった。スポーツ専門誌「Number」によると、レスターの人件費はイングランド・プレミアリーグ全20チーム中、18位。優勝も優勝争いも、ほぼ金満ビッグクラブが独占してきた。チームを強くするには金がいる。当たり前のことだ。

    だから、快進撃が続いても「どうせ、いつかは失速するだろう」くらいにしか思っていなかった。専門家も周囲も。

    開幕前の優勝予想オッズは5001倍。これは「ネッシーが生きていた」「実はエルビス・プレスリーが生きていた」と同じ(スポーツニッポン)。要するに「ありえない」ということだ。

    でも、奇跡は起きた。この奇跡がどれだけすごいことなのか。サッカー専門誌「フットボール批評」の森哲也編集長に聞いてみた。

    サッカー専門誌編集長が語る。その奇跡を例えると……

    ぱっと思いつくのが、ラグビー日本代表だ。誰もが負けると思っていた、ラグビーワールドカップの南アフリカ戦で、見事な番狂わせを起こした。あれもスポーツ史上に残る番狂わせと言われたが…

    「うーん、一発勝負だと番狂わせというのはありますが、リーグ戦通しての大番狂わせですからね。そこがレスターの凄さです。残留できればオッケーというチームですからね。誰もがありえないと思っていることが、リーグ戦通して続いてしまった。選手だって、何年か前にはアマチュアという選手もいますからね」

    「日本がW杯優勝」

    「いちばん、わかりやすく例えるなら、日本代表がサッカーW杯で優勝するのと同じ。プレミアリーグでのレスターの立ち位置は、W杯での日本代表と近い思います」

    サッカーを知らない人にはどう例えるか、と聞いてみた。しばらく考えた森さんはこう続けた。「少し失礼かもしれませんが、視聴率争いでテレビ東京さんがトップに立った。それも1回きりとか、単発の番組じゃなくて、1年間続けてぶっちぎりでトップになったと言えばわかってもらえるかもしれません」

    奇跡の中で、岡崎が果たした役割は何か。

    「得点数こそ少ないですが、前線から走って、走って相手のDFにプレッシャーをかけ続ける。チームでの貢献度は高い」と森さん。

    「チーム一丸、ハードワークで、力の差を乗り越える。それが観客に伝わってくるんですよね。勇敢に戦うことで、奇跡を起こす。日本サッカー界も学ぶことが多いクラブですよ」