なぜ、被災者に支援物資が届かないのか 県庁には大量の水と食料があった

    大規模なものは県、あとは直接、避難所に。

    「報道なら書いてくれよ。なんで食べものが届かないんだ」

    14日の熊本地震以降、熊本、大分など広範囲で強い地震が頻発している。避難者の数は、最大で約20万人に達した模様だ。

    大きな災害で必ず起きるのが、避難所に物資が届かないという問題だ。BuzzFeed Newsは、最大震度7を記録した熊本県益城町を訪れた。

    避難所になっている保健福祉センターには、シートをひいた家族が今も家に帰れずにとどまっている。そこに、こんな張り紙があった。

    「豚汁、いなりまたは巻寿司が1個まで。4人家族の場合は一人2個まで。食料が不足しているので、ご協力をお願いします」

    総合体育館に避難した初老の男性は、私に詰め寄って、苛立ちをぶつけた。

    「報道なら、ちゃんと書いてくれよ。はじめはちゃんとしたものが食べられたのに、いまは1時間以上並んで、やっと食べ物がもらえる。米軍でも自衛隊でも使って、ちゃんと届けてくれ。別の避難所には届いているところもあるって。なんで届かない」

    確かに別の避難所ではボランティアによる食料が届き、配布が始まっているところもある。この差は何か。熊本県の物資受け入れの担当課に行ってみた。

    県庁の一角、水や非常食、生理用品がうず高く積んである。自衛隊員らが搬送作業を始めていた。

    「水、食料確保しています」

    担当課の男性職員は「いろんな情報が錯綜していますが、水、食料は確保できています」とBuzzFeed Newsに断言した。

    サントリー、日清、グンゼ……。壁に貼られた支援物資の提供一覧には、大企業の名前がずらりとある。

    「支援できる。必要量、連絡がほしい」「下着供給可能」「30000本指定の日、場所に」。どのような支援が可能か、いつまでに準備できるか、細かく書き込まれている。

    道路寸断、行き渡らない

    職員は続ける。

    「問題は、行政同士の意思疎通と道路状況です。これだけの大規模災害ははじめてで、意志疎通がうまくいかないこともある。うまくいったとしても、道路が寸断されているところが多いでしょ。どうしても、時間がかかるし、行き渡っていないところがでてきてしまう」

    大規模支援は県、それ以外はニーズに応じて避難所に

    大規模な救助物資をどうさばくか。支援物資の受け入れ窓口の電話は、朝から鳴り止まない。この日も物資提供に訪れた、大手企業関係者が職員とやりとりをしていた。

    「⚪︎⚪︎⚪︎(支援物資)どれくらい必要ですか、必要なだけ用意はできます」

    「どれくらい必要か、まだわかりません。調べて折り返し、ご連絡いたします」

    大口の支援申し込みだけで電話はパンク。個人の物資支援の受付やボランティアの話までは、手が回らないのが実情だ。

    「個人で物資を送りたいという方は、避難所のニーズに応じて、責任を持って避難所にお届けする。あるいは各市町村に聞いてみる。いまは企業などから大規模の支援をさばくだけで手一杯です」