福島県・浪江町の山火事とデマ 「放射性物質が飛散」と報じた地方紙が謝罪

インターネット上で広がり続ける危険論。地元消防本部は「火災前と数値に変化なし」

山火事で「放射性物質が舞う」のか?

福島県浪江町で2017年4月29日に発生した山火事は、5月7日も消火活動が続いている。この火事を巡り、インターネット上で「放射性物質が舞う」といった危険論、燃えさかる山火事の写真が出回っている。これは事実なのか?

地元消防は「放射線量は火災前と変化していない」と話す。

インターネット上では火災発生直後から、「放射性物質が飛散する」恐れがあるとして”注意”や対策を呼びかけるコメントが出回った。

和歌山県の地元紙「紀伊民報」はコラムで「放射能汚染の激しい地域で山火事が起きると、高濃度の放射線物質が飛散し、被ばくの懸念がある」などとするネット上の情報を紹介している。

事実関係はどうなっているのか。

BuzzFeed Newsの取材に7日、消火活動を続ける双葉消防本部の広報担当者が応じた。

担当者は「隊員たちに持たせている線量計のデータもモニタリングポストも、火災前と消火活動中と比較して、放射線量はほぼ変わっていない」と話す。

そして、「インターネットの情報は私も確認した。事実として線量はほぼ変わっておらず、私たちは神経質になる数値ではないと判断しています」

「私たちも外部被曝、内部被曝から隊員をどう防護するかについて、力をいれて考えている。線量計をもたせている理由も防護のためだ」と強調した。

消防本部によると火災は「これ以上、延焼する恐れがない鎮圧状態」で、空からの散水はすでに終了し、地上からの放水で鎮火を目指して活動が続いている。

福島県はホームページで「従前より火災現場周辺に設置してあるモニタリングポストでの空間線量率の測定結果については、火災前と比較して大きな変動はありません」としている。

危険論が広がったが、福島県内でも放射線量の数値が上がっていないのが事実だ。全国の状況は原子力規制庁のホームページで確認できる。

山火事の写真?実際は……

またTwitter上には激しく燃えあがる山火事の写真も出回っている。

これは「スプートニク日本」の公式Twitterが5月5日に流したツイートによるもの。ホームページによるとスプートニク日本は「ロシアの情報通信社」。

「7日めも燃え盛る福島山林火災 放射能拡散の危険性はありうる」(原文ママ)という見出しの記事を、山火事の写真付きでツイートした。

しかし、この写真は同社が2016年5月11日に報じたカナダで発生した山火事の写真と同じだ、という指摘がTwitter上で相次いでいる。

それが、以下の記事だ。

7日現在、記事の写真は福島第1原発に差し替えられている。

同社に写真はカナダの山火事なのか、どのような理由で差し替えたのか、経緯をメールで問い合わせている。まだ返信はない。

返信があり次第、アップデートする。

追記

スプートニク日本版は「福島の帰還困難区域で森林火災 40時間以上」と報じた記事のなかで、同じ写真を使用している。

追記

紀伊民報は5月8日、「放射能汚染の激しい地域で山火事が起きると、高濃度の放射線物質が飛散し、被ばくの懸念がある。東北、関東、北信越、静岡、愛知の人は最低限、次のような自己防衛の対策がオススメという内容」などと山火事について書いた、同じコラム欄で「福島県の発表では火災現場周辺の空間放射線量には大きな変動がなかった。(中略)そうなると、僕の不安は杞憂であり、それによって多くの方に心配をかけ、迷惑を与えたことになる。まことに申し訳ない。陳謝する」と謝罪した。

追記

浪江町の山火事は5月10日午後に鎮火した。福島県の発表によると「従前より火災現場周辺に設置してあるモニタリングポストでの空間線量率の測定結果については、火災前と比較して大きな変動はありません」。また、帰還困難区域の双葉町や大熊町など周辺3カ所で8日、大気中を浮遊するちりの放射性セシウム137の濃度が7日の約3~9倍と上昇したがいずれも「健康には問題ない数値」(毎日新聞)。数値は9日時点で下がっている。詳しい情報は県のホームページから確認できる。


バズフィード・ジャパン ニュース記者

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