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原発事故からまもなく30年  チェルノブイリの「いま」から福島の未来を考える

「新石棺」を公開

チェルノブイリ原発、事故から30年を前に「新石棺」を公開

チェルノブイリ原発で建設が進む、新しいシェルター「新石棺」が報道陣に公開された。

いま、何が起きている?

私は2013年11月、私費で思想家の東浩紀さんが監修したチェルノブイリ原発ツアーに参加した。

チェルノブイリ原発は、ウクライナの首都キエフから約100キロの場所にある。2011年から原発周辺の半径約30キロ圏内の立ち入り禁止区域(通称:ゾーン)に一般観光客の立ち入りが認められるようになった。ツアー会社があり、誰でも申し込むことができる。普段着で構内を歩くことができ、4号炉の前には「記念撮影」スポットもある。

事故が起きたのは、いまからちょうど30年前、1986年4月26日のことだ。

試験運転中の4号炉内で炉心溶融(メルトダウン)が起き、爆発と火災が発生。大量の放射性物質が飛散した。原発作業員や消防士、周辺住民が被ばくした。事故起因のがんや後遺症による被害はいまも続く。住民は避難を余儀なくされ、周辺の街は「廃墟」となった。

4号炉の原子炉建屋は、コンクリート製の「石棺」で覆われたが、老朽化が進んでいる。放射性物質が拡散する恐れがあることから、いま工事している「新石棺」の建設が進められている。かまぼこ型の新石棺は、建設後に石棺全体を丸ごと覆う。

NHKによると、新石棺は高さ108メートル、幅257メートル。年内にも300メートル離れた原子炉の建屋まで移動させ、2017年にも完成するという。建設費用は、日本円で1800億円余りで、100年にわたって放射性物質を封じ込めることができる。建設費用はヨーロッパ復興開発銀行が管理している。

「廃炉」はまだ始まってすらいない

チェルノブイリ原発の「新石棺」はあくまで放射性物質拡散を防ぐためのもの。建屋の解体などは放射線量が高いこと、技術が未確立の領域も多いことから、まだ始まってすらいないと言える。

福島第一原発とも共通していることも多い。福島第一も、目指す「廃炉」のためには核燃料などの塊(燃料デブリ)を取り出して、原子炉を解体する必要がある。溶け落ちた燃料デブリが各号機のどこにあるのか、どういう状態にあるのかもわかっていない。その状態を調べ、取り出すための技術開発から進めなければならないのが現状だ。

もう一つ、共通点がある。福島第一原発もチェルノブイリ原発も廃炉作業のため、人の行き来があることだ。そこには、売店もあれば、作業員のための食堂もある。

過酷な現場だが、働いている人の日常、生活がそこにはしっかり存在している。

この先は?

福島第一原発は事故後5年で、大学生や地元住民の視察を1万6000人以上受け入れている。元東京電力社員の吉川彰浩さんが立ち上げた社団法人「AFW」は、福島の地元住民を中心に原発視察をコーディネートしている。バスから降りなければ、軽装で視察できる。

東電福島復興本社代表を務める石崎芳行さんは、情報発信の拠点を福島第一原発周辺に作りたいと度々、言及している

「福島第一は将来的に、世界中の原子力関係者が見にきて、事故について考え、また各国に戻る。そういうシンボリックな場所になる必要がある」

チェルノブイリはいま、世界各国から観光客が訪れるスポットだ。「原子力関係者」に限らず、巨大な原子力事故から何かを感じ取る場所になっている。

30年後のチェルノブイリから、学べることは多い。

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Satoru Ishidoに連絡する メールアドレス:Satoru.Ishido@buzzfeed.com.

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