• lgbtjapan badge
  • lgbtjpnews badge

「当事者や家族の生きる希望に」都議会、同性パートナーシップ制度の請願を全会一致で採択

東京都議会は6月7日に開かれた本会議で、自治体が同性カップルの関係を公的に認める「同性パートナーシップ制度」の導入を求める請願を、全会一致で趣旨採択した。

東京都議会は6月7日に開かれた本会議で、自治体が同性カップルの関係を公的に認める「同性パートナーシップ制度」の導入を求める請願を、全会一致で趣旨採択した。

趣旨採択とは、請願の実現がすぐには困難な場合などに、訴えの内容にはおおむね賛成するという意味で議決されるもの。

NHKによると、小池百合子都知事は本会議後、「都としてどのような形で進めていくのか、さまざまな調査やすでに実践している自治体も参考にしながら対応していく」とコメントした。

東京都議会で請願を採択

同性パートナーシップ制度は、2015年に日本で初めて渋谷区と世田谷区で導入され、全国100以上の自治体で同様の制度が実施されている(2021年6月1日現在、同性パートナーシップ・ネット調べ)。

日本では異性同士のカップルにのみ認められている「婚姻制度」とは異なり、法的な効力はないものの、医療機関や各種窓口でのやり取りがスムーズになったり、一部の家族向けサービスや福利厚生が利用できるようになったりする。

また、自治体が性的マイノリティの家族を公的に認めることは、性的マイノリティに対する差別や偏見を解消し、当事者が安心して暮らすことのできる環境づくりを進めていくためにも重要だ。

今回の請願は、当事者の有志でつくる「東京都にパートナーシップ制度を求める会」が3月4日に東京都議会に提出。3月22日には1万8千筆の署名と要望書を、小池都知事に直接手渡ししていた。

当事者や家族の生きる希望に

本会議後に会見を開いた「東京都にパートナーシップ制度を求める会」代表の山本そよかさんは、10年来の同性パートナーと都内で暮らしている。

会見では「パートナーシップ制度は、当事者の心や命を大きく救うもの。社会として真摯に向き合い、適切なスピード感を持って取り組むことで、当事者やその家族の生きる希望につながると思います」と語り、制度の早期実現を求めた。

トランスジェンダー男性で、女性パートナーと0歳と2歳の子どもたちと家庭を築いている「東京レインボープライド」共同代表の杉山文野さんも、同会の発起人に名前を連ねた。

杉山さんは戸籍上の性別が女性のままのため、法律上はパートナーと同性同士とみなされている。同性婚が認められておらず、パートナーシップ制度もない自治体では、自分たちが家族だと証明することが難しい場面に直面することが多いと語る。

「当事者にとっては24時間365日、日常生活に関わる話。自分も毎日、子どもたちにミルクをあげて、オムツを替えて、保育園へ連れて行って、一緒に4人で暮らしていても、家族として認めてもらうことができない」

「今回請願が採択されたことで、『都民』と言った時に、そこにはLGBTの人が含まれていることが認められたことに価値がある。すでに子どもがいて、子育てしている家族もいることを念頭に、広い視点を持って制度の内容を組み立てていってもらえたら」と話した。