自粛ムードの北海道で「天狗の火渡り」開催。「ぜひ来年は遊びにいらしてください」

    「被害の大きかった地域への支援は引き続き必要ですが、ほぼ通常の状態に戻っているのに、観光客が来なくなったり、飲食店の賑わいが減ったままになったりしている地域も少なくありません」

    最大震度7を観測した北海道の地震から3日。週末に予定されていたイベントの多くが中止されたなか、北海道古平町で9月9日、毎年恒例の「天狗の火渡り」が開催された。

    古平町は、札幌から車で約1時間半。積丹半島の東側中央部にある。

    火渡りは、朱色装束と天狗の面をかぶった「猿田彦」の先導で人々が町を練り歩き、ご神体を清める儀式だ。高さ約3メートルの火柱が立ち登る中、猿田彦が火の粉を蹴散らしながら渡る。

    Twitterでは、その恐ろしくも美しく、神々しい姿が話題に。BuzzFeed Newsは写真を撮影した克さん(@katuka2)に話を聞いた。

    天狗が火を渡る

    音楽プロジェクト「laufen」でミュージシャンとして活動しながら、写真撮影や取材活動などを通じて、北海道の魅力を伝えている克さん。

    昨年、プライベートで撮影した火渡りの写真がネットで大きな話題を呼んだことを受け、今年は実行委員会から依頼を受けて、撮影を担当した。

    「撮影位置は火渡りからある程度離れていますが、それでも少し熱が届くくらいなので、近くで見ている人はすごい熱気を感じていると思います」

    「祭りの間、司会のアナウンスなどは一切なく、生演奏の音楽に合わせて進んでいきます。猿田彦は火の燃え方が足りないと『もっと燃やせ』というパフォーマンスをし、どんどん火が強くになるにつれ、観客の熱気も高まっていきます」

    「猿田彦役は天狗のお面をかぶっていますが、動きや佇まいからはとてもそうは見えないほど一体化しているような印象でした。今年は長年、猿田彦役をつとめた方の引退の年でもあったので、いつも以上に気合が入っていたかもしれません」

    ほぼ通常通りの地域もあるのに…

    地震発生直後は、北海道全域が停電に見舞われた。札幌に住んでいる克さんの自宅も、祭りの前夜まで電気が復旧しなかったという。

    自粛ムードが広がる中で、火渡りも中止になる可能性があった。だが、神事であることや、古平町は震度3で被害が比較的小さかったことから、予定通り開催することができたという。

    克さんは火渡りの写真を通じて、不安な日々を送っている人々を少しでも元気づけ、観光客が北海道へ足を伸ばすきっかけ作りになればと願っている。

    「被害の大きかった地域への支援は引き続き必要ですが、ほぼ通常の状態に戻っているのに、観光客が来なくなったり、飲食店の賑わいが減ったままになったりしている地域も少なくありません」

    「北海道は広いです。来年の9月にもまたお祭りは開催されますので、ぜひ遊びにいらしてください」