Updated on 2020年7月19日. Posted on 2020年5月26日

    有名人の「自殺報道」でやってはいけないこと、やるべきこと。専門家がメディアに要請

    自殺対策の専門家は「有名人の自殺に関する報道は、子どもや若者の自殺を誘引する危険性があるため、WHOのガイドラインに従って報道するよう呼びかけている。

    Netflixの人気リアリティ番組「テラスハウス」出演者で、5月23日に亡くなった女子プロレスラーの木村花さん(22)の死をめぐり、様々な報道が続いている。

    自殺対策の専門家は「有名人の自殺に関する報道は、子どもや若者の自殺を誘引する危険性があるため、慎重に行う必要がある」と呼びかけている。

    自殺対策の専門家がメディアに要請

    本日(5/24)、厚労省記者クラブに加盟している報道機関と全国キー局の各情報番組、ソーシャルメディア各社等に対して、WHO(世界保健機関)の『自殺報道ガイドライン』を踏まえた報道をしていただくよう書面で呼びかけました。大人が「若者の背中を押す」ことのないようにしなければなりません。

    厚生労働大臣の指定を受けて自殺対策に取り組む「いのち支える自殺対策推進センター」は5月24日、厚生労働省記者クラブに加盟している報道機関などに対して、WHOの「自殺報道ガイドライン」を踏まえた報道を徹底するよう書面で要請した。

    自殺リスクの高い人はメディアの自殺報道の後に「模倣自殺」を起こしてしまう危険性があり、有名人や自らと重ね合わせやすい人の自殺はその危険性が極めて高くなる、と指摘している。

    有名人の逝去の報道に触れて、戸惑ったり不安になったりすることがあるかも知れません。自分や家族の不安や興奮に気付いたら、テレビやWebメディアに接する時間を減らしましょう。情報との適度な距離が、こころの健康を保つコツ。信頼できる人に気持ちを話してみることで、こころが少し楽になることも.

    同センター代表理事で、NPO法人ライフリンク代表の清水康之さんはBuzzFeed Newsの取材に、木村さんに関するこれまでの報道についてこう指摘する。

    「一つは自殺に関する『手段』を報じているメディアが一部あること、また、自殺という亡くなり方を強調した報道があることが、非常に大きな問題だと思っています」

    「こうした報道があると、亡くなられた故人に共感を覚えていた人、あるいは同じような状況や立場に置かれているほど、自分自身と重ねてしまいます」

    「その結末が自殺で、さらに手段についても詳細に書かれていれば、故人と同じようにそちらに引っ張られてしまいかねません」

    新型コロナウイルスでさらに危険性

    時事通信

    また、新型コロナウイルスの流行によって、健康面だけでなく、生活面や仕事面でも不安を抱えている人が多いことで、自殺報道の影響がより大きくなることを懸念しているという。

    「気持ちが安定している状況の中で、自殺に関する情報に触れるのと、気持ちがざわついている不安定な中で触れるのとでは、心の揺さぶられ方は変わってきます」

    「流行の第一波が収束しようとしているなか、健康面に関する不安は払拭されつつあるかもしれませんが、失業したり事業が立ちいかなくなったりする中で、これから自分の生活がどうなってしまうのかと不安に感じている人は、確実に増えています」

    「そうした人たちに、追い打ちをかけるような情報になりかねないと思います」

    やるべきではないこと・やるべきこと

    書面でも引用されているWHOのガイドラインは、同センターによる日本語訳が厚労省のホームページに掲載されている。そこではメディアがやるべきではないこと、やるべきこととして、それぞれ大きく6つのことが書かれている。

    やるべきではないこと

    ・自殺の報道記事を目立つように配置しないこと。また報道を過度に繰り返さないこと

    ・自殺をセンセーショナルに表現する言葉、よくある普通のこととみなす言葉を使わないこと、自殺を前向きな問題解決策の一つであるかのように紹介しないこと

    ・自殺に用いた手段について明確に表現しないこと

    ・自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと

    ・センセーショナルな見出しを使わないこと

    ・写真、ビデオ映像、デジタルメディアへのリンクなどは用いないこと

    やるべきこと

    ・どこに支援を求めるかについて正しい情報を提供すること

    ・自殺と自殺対策についての正しい情報を、自殺についての迷信を拡散しないようにしながら、人々への啓発を行うこと

    ・日常生活のストレス要因または自殺念慮への対処法や支援を受ける方法について報道すること

    ・有名人の自殺を報道する際には、特に注意すること

    ・自殺により遺された家族や友人にインタビューをする時は、慎重を期すること

    ・メディア関係者自身が、自殺による影響を受ける可能性があることを認識すること

    「人を死に追いやるのに十分な行動が横行」

    Etsuo Hara / Getty Images

    木村さんは2016年にプロレスラーとしてデビューし、2019年10月に日本で配信されたエピソードからテラスハウスに出演していた。

    テラスハウスは男女6人が共同生活する様子を記録したリアリティ番組で、海外にも多くのファンを抱える人気番組である一方、出演者に対する誹謗中傷が激化していた。

    清水さんは「今のメディアやネットの世界において、人を死に追いやるのに十分な行動が横行しているということだと思います」と話す。

    「こうした問題を隠蔽するのではなく、木村さんが亡くなったという事実を受け止め、その背景にネットの世界における誹謗中傷の問題などがあることを報道するのは適切なことだと思います」

    その上で、「亡くなった人個人に焦点を当てて、個人の問題に矮小化するのではなくて、社会の問題として受け止めた報道をしていく必要がある」と語った。

    相談先窓口はこちら

    「いのち支える自殺対策推進センター」が掲載している全国の相談先窓口リストはこちら

    厚労省のホームページにも、電話相談やSNS相談の窓口一覧が掲載されている


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    (サムネイル:Janis Engel / Getty Images)

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