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杉田水脈氏「私は差別していない」 岸田政権は容認するのか?自民党本部前で当事者たちが訴えたこと

LGBTQや在日コリアン、アイヌなどに対する差別発言で、国会の追及を受けている杉田水脈・総務政務官の「更迭」を求めて、市民団体が抗議集会を開いた。性的マイノリティに対する差別禁止を明記した法制度を求めて活動してきた松岡宗嗣さんは、「杉田氏を更迭することすらできない政権が、ジェンダー平等や性的マイノリティの権利を保障する政策を進められるはずがない」と強く批判した。

性的マイノリティなどに対する差別発言をめぐって、国会で厳しい追及を受けている杉田水脈・総務政務官の「更迭」を求めて、自民党本部前で12月10日、抗議集会が開かれた。

抗議を呼びかけた市民団体は同日、岸田文雄首相などに宛てた要請文を自民党本部に提出。杉田氏の更迭のほか、過去の発言が差別行為だと認め、傷つけられた人々へ謝罪をするよう求めた。

(注:この記事には差別表現が含まれます)

杉田氏「差別は全くしておりません」

杉田氏は今年8月、総務政務官に就任。任命された当初から、過去の差別発言が問題視されてきた。

2018年には、月刊誌に寄せた寄稿で「(LGBTカップルは)子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」と主張。

2016年に国連女性差別撤廃委員会へ参加した際のブログには、アイヌや在日コリアンの参加者について、「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」などと書いていた。

これら2つの発言については、松本剛明総務大臣が撤回と謝罪を指示。杉田氏は12月2日の参院予算員会で、「内閣の一員として、それ(指示)に従い、傷つかれた方々に謝罪し、そうした表現を取り消す」と述べた

しかし、12月8日の参院法務委員会で「差別をした認識はあるか」と問われた際には「差別は全くしておりません」と否定。「私のつたない表現で差別したかのように伝わってしまったことを重く受け止め、おわびし、取り消しをさせていただいた」と弁解した。

国会で追及を受けている杉田氏の言動は、他にもある

2014年12月には、国会で「男女平等は絶対に実現し得ない反道徳の妄想です」と発言。2018年に放送されたBBCの番組では、性暴力被害を訴えたジャーナリストの伊藤詩織さんについて「彼女の場合は、明らかに女としての落ち度があった」などと述べた。

一方、岸田文雄首相は12月2日の参院予算委員会で、杉田氏の更迭を拒否し、「職責を果たすだけの能力を持った人物と判断した。政府の方針に従って職務に専念してもらう」と擁護した。

「差別発言を容認すると世界に示している」

12月10日の集会には約100人が参加し、「ジェンダー平等は実現できる」「ヘイトスピーチをやめろ」などと書かれたプラカードを手に、声を上げた。

抗議を呼びかけた市民団体「Stand For LGBTQ+ Life」共同発起人のワインさんは、杉田氏の言動は「LGBTQ+や性暴力被害者の方、アイヌの方、在日コリアンの方、女性の方など、様々な属性の人々を傷つけるもの」と強く批判した。

「その後の謝罪の経緯を見ても、『差別したかのように伝わってしまった』という言い回しで、発言の受け取り手の問題であるかのように、責任逃れしています」

「あのような発言をしても、杉田氏が総務政務官という重要な職責のあるポジションに居続けることができるということは、政権がそうした発言を容認していることを、日本国内にも、世界中にも示し続けていることに他なりません」

同じく共同発起人のアンドロメダさんは「杉田氏のような発言をしている人を優遇することで、『こういう言動をしていいんだ』という風潮を強化し、どんどん暴力や差別が社会に増えていく。だからこそ、もっと声を上げていきたい」と語った。

主催者が代読する形で、在日コリアン4世の大学生やアイヌ女性会議などもメッセージを寄せ、「このままでは日本は、人権侵害や差別をする国だとレッテルを貼られてしまう」などと強く訴えた。

「杉田氏すら更迭できない政権には…」

自身もゲイの当事者で、LGBTQに対する差別禁止を明記した法整備などを求めて活動してきた松岡宗嗣さんは、「これは杉田氏本人の問題でもあるが、やはり政権の問題だと強く訴えるべき」と言い、岸田政権の任命責任が問われていると指摘した。

「杉田氏の発言は様々なマイノリティに対する差別であり、重大な問題発言。その後の対応も、上から指示されたので謝罪・撤回しますというもので、『差別はしていない』と答弁していることからも、杉田氏自身が考え方を改めていないことは、明らかだと思います」

「岸田首相は『内閣の方針に従って、しっかり職責を果たしてほしい』『過去の発言については政治家本人が自身の責任で丁寧に説明すべき』と答弁していますが、岸田政権が『多様性の尊重』を掲げるならば、杉田氏の発言と一連の対応は明らかにこの方針に従っていません」

「同時に、上辺だけの謝罪・撤回を重ねているだけで、政治家としての説明責任も果たしておらず、岸田首相の論理においても、やはり更迭すべきと言えるはずです」

「『杉田氏ばかり追及し続けても根本の問題を解決しない』と考える人もいるかもしれませんが、これまで数々の差別や問題発言を重ねてきた杉田氏を更迭することすらできないような政権が、ジェンダー平等や性的マイノリティの権利を保障する政策を進められるはずがありません」

「だからこそ、これは政権の問題だと、強く声を上げていく必要があると思います」