性的なからかいやデートへの執拗な誘い… 20代男性の5人に1人が「就活セクハラ」を受けたことがある。

    就職活動をしたことがある人のうち、20代女性の12.5%、20代男性の21.1%が、セクハラ被害を受けたことがあると答えた。

    OB訪問に行った就活生がわいせつ行為や性的暴行の被害を受ける事件が相次ぎ、注目が高まっている「就活セクハラ」問題。

    日本労働組合総連合会(連合)は5月28日、職場や就職活動に焦点を当てた「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査」の結果を発表した

    調査は2019年5月8〜9日、20〜50代の働く男女計1000人を対象にインターネットで実施。

    そのうち、就職活動をしたことがある人(835人)に就活中のセクシュアル・ハラスメントについて尋ねたところ、該当した20代女性の12.5%、20代男性の21.1%が、被害を受けたことがあると答えた。

    調査でわかった5つのポイントを紹介する。

    1. 20代男性の5人に1人が「就活セクハラ」を経験

    就職活動をしたことがあると答えた20代男性の21.1%が、就活中にセクシュアル・ハラスメントを受けたと答えた。この数字は全ての年代・性別のなかで、最も高かった。

    共同通信によると、連合の担当者は「女性に対するセクハラの認識は広まってきたが、『男性であればいいだろう』との意識がまだ残っている」と指摘している。

    2. 20代女性の8人に1人が「就活セクハラ」を経験

    同様に、就活を経験したことがある20代女性のうち、12.5%が就活セクハラを経験したことがあると回答。女性の中では30代が被害を経験した割合が高く、15.5%だった。

    3. 就活セクハラで最も多いのは「性的な冗談やからかい」

    就活セクハラを受けたことがあると答えた人(88人)に具体的な内容を尋ねたところ、「性的な冗談やからかい」が最も多く39.8%だった。

    次に多いのは「性的な事実関係(性体験など)の質問」(23.9%)と、「食事やデートに執拗に誘う」(20.5%)で、面接やOB訪問などにおいて、性的な話題が持ち出されることが少なくないと見られる。

    一方、男女別に見ると、女性は「食事やデートへの執拗な誘い」(29.3%)、「必要ない身体への接触」(22.0%)の割合が比較的高く、立場を利用して身体を触ったり、個人的な関係を持とうとしたりするハラスメントの存在が浮き彫りになった。

    4. 就活セクハラの被害を受けた88人のうち、6人は性的な関係を強要された

    調査で就活セクハラ被害を受けたことがあると答えた88人のうち、男性2人、女性4人の計6人が「性的な関係を強要された」と答えた。

    今年3月には、住友商事の元社員がOB訪問に来た女子学生に性的暴行を加えたとして、準強制性交などの容疑で逮捕されている。

    5. 就活セクハラの影響で、37.5%が就職活動へのやる気を失った

    就職活動中にセクハラを受けたことで、生活にどのような変化があったか尋ねたところ、「就活のやる気がなくなった」と答えた人が37.5%で最も多かった。

    次に「就活を短期間休んだ」(13.6%)、「就活を長期間休んだ」(13.6%)人が多く、将来の進路を決めるかもしれない大切な時期に、セクハラ被害が精神的な負担となっていることがわかる。

    さらに、「人と会うのが怖くなった」(13.6%)、「心身に不調をきたした」(10.2%)、「夜眠れなくなった」(8%)、「自分に価値がないと感じた」(8%)という回答者もいた。


    「就活ハラスメントは見えにくい」

    性暴力やセクハラに対して声を上げた人を支援するプラットフォーム「#WeToo Japan」では、匿名で相談できるWebサービス「QCCCA」と連携して、「『就活ハラスメント』ゼロ!プロジェクト」を始めた

    その一環で、「就活ハラスメントゼロ宣言」に賛同してくれる経営者を募っており、その第一号となったドワンゴの夏野剛・代表取締役社長は、プロジェクト立ち上げの会見でこう語った。

    「就活ハラスメントに関しては、被害を受ける方が社内の人間ではないので、通報窓口などに相談が来ることが少なく、経営側としても非常に見えにくい領域。だからこそ、トップが強いメッセージを出す必要がある」

    「ハラスメント案件はどこの会社でもありますが、それにどう経営幹部が対応するかが、社員に対して大きなメッセージになる。経営層はハラスメントゼロ宣言をするべきだと思います」


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