• electionjp badge

原発は「できるだけ速やかに再稼働」? 温室効果ガスはどうする? 各政党の政策を比較しました

7月10日に投開票を迎える参院選。原子力発電や環境問題について、各党の政策や方針を聞きました。

7月10日に投開票日を迎える参院選。

BuzzFeed Newsは、国会に議席を持っている主要9政党を対象に「政策アンケート」を実施しました。

その中で、環境問題に関する各政党の回答全文をご紹介します。

  1. 原子力発電所の再稼働に賛成ですか?
  2. 2030年度までに、温室効果ガスを2013年度比で46%削減し、50%削減の「高みに向け、挑戦を続けていく」という政府の方針に賛成しますか?


回答期限は2022年6月22日。各設問において「◯」「X」「△」のいずれかを選択した上で、詳細な方針や選択理由を説明してもらいました。

(政党は参院の公示前議席数順。自公は連立与党のため並べた。回答は全文原文ママ。読みやすさのため誤字の修正や改行、太字化などを編集部で行った)

1. 原子力発電所の再稼働に賛成ですか?

自民党:◯

2050年カーボンニュートラルや2030年度温室効果ガス46%減という目標達成のために、脱炭素電源として活用します。

いかなる事情よりも安全性を最優先し、原子力規制委員会が世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認めた場合に、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら原子力発電所の再稼働を進めてまいります。

公明党:△

原子力発電所の再稼働については、原子力規制委員会が策定した世界で最も厳しい安全基準を満たした上で、立地自治体等の関係者の理解と協力を得て取り組むべきだと考える。

あくまでも、安全が第一で、エネルギー安全保障の観点も踏まえて、エネルギー自給率向上、徹底した省エネや再エネの主力電源化に向けた取り組み等を通じて、原発の依存度を着実に低減しつつ、将来的に原子力発電に依存しない社会をめざしていく。

立憲民主党:△

気候危機対策を強力に推進し、2030年の再生可能エネルギーによる発電割合50%および2050年100%をめざし、2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成を目指します。

日本維新の会:◯

世界的なエネルギー価格高騰や、ウクライナ危機等によるエネルギー安全保障の観点から、安全性が確認できた原子力発電所については可能な限り速やかに再稼働します。

長期的には、エネルギー安全保障確保や脱炭素社会実現とのバランスの中で、既設原発で老朽化したものについては市場原理の下でフェードアウトさせます。

共産党:X

福島第一原発事故が明らかにしたように、原発は万が一でも重大事故を起こせば地球環境に深刻な影響を与え、地域社会の破壊という深刻な事態を招きます。

有数の地震国・津波国である日本で、そのようなリスクを抱えた原発の再稼働には反対です。直ちに停止し、廃炉に踏み出すべきです。

放射性廃棄物は10万年もの間、厳格な管理が必要です。再稼働でさらに増やせば、将来世代の負担はますます重くなります。

日本の再生可能エネルギーの潜在量は、電力量の5~7倍です。2030年度の発電に占める再エネ目標を36~38%から50%に引き上げるべきです。

国民民主党:◯

安全基準を満たした原子力発電所の再稼働と安定運転を図るとともに、次世代軽水炉や小型モジュール炉(SMR)、高速炉などへのリプレース(建て替え)を行います。新増設は行いません。

れいわ新選組:X

エネルギー自給率向上という理屈で原発再稼働を進め核のゴミを増やせば、処分場が見つからないだけでなく、原発が攻撃対象となる国際情勢において日本全体の安全保障リスクを高めます。

国産エネルギーで供給する割合を増やしたいなら再生可能エネルギーのさらなる拡大と、エネルギー消費量全体を引き下げる省エネの徹底が重要です。原発を動かしてしまうと、その再エネ普及の勢いが鈍ります。

エネルギー危機だから自給率向上のために再エネか原発再稼働かという設問のたて方自体が間違っています。エネルギー自給率の向上は必要だが、全てを短期的に自国だけで賄うというのが有効なエネルギー安全保障の方策ではありません。

我々は目下の状況において即時全火力発電の停止を求めてはいません。最終的に自然エネルギーで実質100%のエネルギー需要を賄えるようにすることを目指しますが、中間段階の「つなぎ」として高効率ガス発電の利用は必要と考えます。

そのためにも中期的な天然ガスの安定調達が必要。停戦の見通しもなく、戦争に反対している市民をも苦しめる経済制裁で、必要な天然資源の輸入を止めることには反対です。

社会民主党:X

政府・電力会社は原子炉の寿命とされ法律上の上限である40年を超え、老朽化した原子炉を次々と稼働させようとしています。日本列島は世界有数の地震多発地帯でり、非常に危険です。直ちに脱原発を決断すべきです。

NHK党:◯

現在停止している原子力発電所の再稼働を進めるべきだと考えます。安定的で二酸化炭素も排出しないことを考慮しても原発が最も現実的なエネルギー確保の手段だと思います。

太陽光発電より、日本は火山国であることから地熱発電の可能性を図ることも有効だと思います。

また、ヨーロッパ各国と共同開発している核融合発電に期待したいです。温室効果ガスも発生しませんし、ウランも必要としません。核融合の停止も容易です。

2. 2030年度までに、温室効果ガスを2013年度比で46%削減し、50%削減の「高みに向け、挑戦を続けていく」という政府の方針に賛成しますか?

自民党:◯

「2050年カーボンニュートラル実現」の目標は決して容易ではなく、社会経済活動において脱炭素を主要課題の一つとして位置付け、持続可能で強靱な社会経済システムへの転換を進めることが不可欠です。

脱炭素を成長分野として、今後10年間で150兆円程度の官民投資の実現に向け、思い切った措置を行います。また、カーボンプライシングの最大限の活用に向け、投資支援策を含めたロードマップを年内に策定します。

公明党:◯

国際的な脱炭素への取り組みについて、ウクライナ情勢による原油高など国際的なエネルギー需給の逼迫等により、不確実性が増しています。

しかしながら、持続的な社会の構築のためには、政府の削減目標は堅持すべきであり、そのために、石炭火力から太陽光、風力、地熱、バイオマスなどのクリーンなエネルギーへ転換し、再エネの主力電源化をめざすとともに、エコな商品やサービスにグリーンライフ・ポイントを付与し、環境にやさしいライフスタイルへ転換を促します。

立憲民主党:X

2030年に温室効果ガス排出を55%以上削減(2013年比)、2050年までのできるだけ早い時期に温室効果ガス排出ゼロの脱炭素社会を実現、気候危機に歯止めをかけます。

日本維新の会:◯

2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減目標に向けては、過度な負担が産業流出を招かないよう十分に配慮しつつ、新たな投資を呼び込み、目標達成に不可欠な技術革新と雇用創出を実現します。

また、諸外国で議論が進むカーボンプライシングについては、炭素税だけでなく排出権取引などのあり方を積極的に検討し、政府が設立準備しているGXリーグにおいても、国際的視野や市場原理活用の観点に基づいた排出量削減のためのルール策定に向けて議論をリードします。

共産党:X

政府のいまの施策では「46%」も厳しい状況です。

昨年のCOP26では、世界全体で「2010年比45%削減」で合意しました。政府の46%目標は、環境相が答弁したように10年度比に直すと「42%」にすぎません。

私たちは昨年9月に発表した「気候危機打開のための2030戦略」で、省エネの追求と再生可能エネルギーの大量普及で、30年度までに10年度比50~60%削減するとし、その手立てを提起しています。

政府が「挑戦」というのなら、COP26の合意のとおり次回会議までに引き上げた目標を提示すべきです。

国民民主党:◯

国民生活や経済の安定と成長を犠牲にすることなく、2050年までにカーボン・ニュートラル社会の実現を果たさなければなりません。

そのためには、あらゆる分野(エネルギー・製造・運輸・民生)における政策の再構築が不可欠であり、徹底した省エネルギーと、電源の低・脱炭素化や電化の推進、運輸部門における電動車の普及促進(インフラ整備含む)、蓄電池やCO2フリーの水素・合成燃料(バイオジェット・e-fuel等)の開発・生産支援を行うなど、革新的なイノベーションとその社会実装を通じた大幅なCO2削減をめざします。

れいわ新選組:X

政府の方針は「低い」と考えています。

私たちは、「2030年の石炭火力ゼロ(温室効果ガス排出量は50%以上削減)、2050年のカーボンニュートラル達成のための大胆な「自然エネルギー」(太陽、風力、地熱、水力、地熱、温泉熱、波力等)地域分散型の普及を目指す」という目標を掲げます。

再エネ普及、蓄電池開発、送電網の強化など様々な再エネの普及に向けた政策の実現に国が積極財政で本気で取り組みます。

社会民主党:◯

地球温暖化は、海面上昇、異常気象、干ばつ、水資源や食料の不足、農業生産の減少、生態系への影響など、待ったなしの重大な課題です。温室効果ガスを積極的に削減すべきです。

NHK党:◯

パリ協定から大幅な上振れですが、エネルギー戦略がこれまでのように環境保全、温暖化対策などは経済や産業の活動を制限するものという位置付けから、産業構造や社会経済の変革をもたらす成長機会であるという位置付けに変更したということだと思います。

経済成長を促す需要であるとするならば賛成です。まずは東日本大震災以降、停止している原子力発電所のすべてを再稼働しないと進まないような計画でもあります。