アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティの路上で2月18日(日本時間)、男性が「お前ゲイでしょ?」と質問したのちに、相手に殴りかかる様子を撮影した動画が拡散している。
市警察はTwitterで情報提供を呼びかけ、事件として捜査を始めた。
「でも、お前ゲイでしょ?」
問題の動画は2月18日、会社員のサル・トレホさん(29)が自身のTwitterに投稿した。
「でもお前ゲイでしょ?」と質問した男性に対して、トレホさんが「ああ、そうだよ」と答えると、男性が「やっぱりゲイなんだな」と言い、殴りかかる様子が記録されている。
トレホさんによると、事件が起きたのは、ソルトレイクシティ中心部のバーの外。
トレホさんと友人数人がタクシーの到着を待っていた際に、近くで電話をしていた容疑者の男性が「キャメルコートを着たゲイのやつの近くに立ってる」と言ったことがきっかけで、口論になったという。
「そんな風に人のことを言うのは変だし、すぐに向こうが僕たちのことを『(同性愛者に対する差別用語の)ファゴット』、女友達のことを『太った豚』と呼び始めたんです」
男性はトレホさんの左腕を強打したのち、小型ナイフでトレホさんと友人を脅し、車で現場を離れたという。男性は飲酒していたとみられる。
トレホさんはBuzzFeed Newsの取材に対し、事件の翌日、市警察から「容疑者だと名乗り出た人物が出頭した」との連絡を受けたと話した。
「彼がやったことは間違っているし、どんな人に対しても攻撃的になってはいけないということを、彼(容疑者の男性)に知ってもらいたいと思っています」
「彼がこんな目に遭って気の毒だと思いますが、やはり彼の言動は間違っているし、教訓を得てくれたらいいなとも思っています」
LGBTに対する「ヘイトクライム」
事件が起きたユタ州は、同性同士の結婚を教義で禁じている「モルモン教」の信者が、州人口の半数を超える保守的な地域。
2004年には同性婚を禁じる州法が可決されたが、連邦裁判所が「同性との結婚を望む個人には、異性との結婚を望む個人と同じ基本的な権利が認められる」と判断したため、州法は「違憲」との判決を受けた。
州議会では現在、差別的な言動による「ヘイトクライム」を取り締まる法律の強化をめぐって議論が続いている。
だが、LGBTをはじめとする性的マイノリティに対するヘイトクライムを規制の対象にするべきかは、意見が割れている。
ユタ州で活動するLGBT支援団体の「Equality Utah」は動画を受け、「その人らしさを理由に誰かが攻撃されるようなことはあってならない」と表明。
ゲイだと公表しているユタ州議会のデレク・キッチン上院議員は、自身のFacebookに、今回の事件はLGBTコミュニティに対するヘイトクライムを取り締まる必要があることを改めて示したと投稿した。
「私たちのコミュニティも、私たちを標的とした暴力から守られるべきです」
「ゲイだというだけで攻撃されることは、私たちが最も大切にする『良識』に反しており、ヘイトクライム規制法が保護する範囲に、LGBTQ+コミュニティを含む必要性を改めて示しています」
「個人のアイデンティを理由に様々な暴力に直面している他の少数派と同じように、私たちも守られるべきです。今、その時が来ていると思います」
この記事は英語から翻訳・編集しました。