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Updated on 2018年12月3日. Posted on 2018年12月1日

ある日、診察に来た5歳の女の子。体に残されていたのは性的暴行の傷跡だった。

「女性のからだを守る活動がしたい」と決意した医師はいま、妊娠不安を抱える人向けのLINEボットを開発している。

2017年3月、当時医学部5年生だった中村葵さん(24)は、アフリカ南部のザンビア共和国にいた。

現地のNPOや医療機関をまわる、国際医学生連盟(IFMSA)主催の3週間プログラム。

「ずっと途上国医療がやりたくて。5年間勉強して色々経験を積んでいたので、現地でも結構役に立てるんじゃないかと、自信を持って行ったんです」

中村さんはBuzzFeed Newsの取材にそう振り返る。

中村さん提供

ザンビアで産婦人科の実習を受ける中村葵さん。(編集部で画像を一部加工しています)

だが、その自信はすぐに覆される。産婦人科系の実習を受けていたクリニックへ、5歳の女の子が保護者に手を引かれてやってきた日のことだ。

「外性器に何かできちゃった」と話した彼女の体に残されていたのは、何者かにレイプされた形跡だった。

その時、中村さんはショックのあまり、彼女の手を握ることしかできなかったという。医者の卵ではなく、同じ一人の女性として。そのことが忘れられない。

「とにかく悔しくて悔しくて、今思い出すだけでも涙が出てきます。その時から、女性のからだを守る活動がしたいと考えるようになりました」

発展途上なのは日本かもしれない

中村さん提供

ザンビア実習中の中村さん

中村さんはいま、群馬中央病院で臨床研修医として勤務している。その傍ら、性教育の現場で活動する「NPO法人ピルコン」のフェローとして、講演活動などを始めた。

今年の夏からは、複数の医師と共に、妊娠不安を抱える人が気軽に相談できるLINEボット「ピルコンにんしんカモ相談」の開発にも参加。クラウドファンディングで支援を募集している。

途上国医療を志していた中村さんが、なぜ日本でこうした活動に参加することを選んだのか。

それは、女性のからだを守る取り組みが「発展途上」なのは、何もアフリカだけではないと感じたからだという。

中村さん提供

ピルコンの講演活動に参加した中村さん(左)とピルコン理事長の染矢明日香さん(中央)

「妊娠や中絶は、ひとの人生を大きく左右します。それなのに、日本の若者は性に関する知識や避妊方法について教わる機会が極端に少ないと感じました」

「自分の周りにも、生理や排卵の仕組みを知らなかったり、たまにコンドーム付けないくらい大丈夫でしょって思っている友達がいたり。『愛されるため』に相手の言うことを聞いちゃう女の子たちも多く、妊娠不安の話は日常茶飯事でした」

「学校でも家庭でも性について教わる機会がないから、何が正しいのかわからなくなる人が少なくない。実は、自分が生まれ育った日本こそ性教育の途上国なのではと思うようになりました」

妊娠不安を抱える人のために

Saori Ibuki / BuzzFeed

中村葵さん

開発中のLINEボットは、「妊娠していないか不安」「思いがけず妊娠した」「避妊ついて知りたい」などの選択肢が用意されており、自動応答で必要な情報や支援先を案内する仕組みになっている。

例えば「妊娠していないか不安」を選択すると、続けて「膣内に射精した」「コンドームが破れた」などの具体的な行為と、行為からの経過時間などの選択肢が現れる。

不安を感じた人が、いつでも、どこでも、それぞれが置かれている状況に応じて、必要としている情報を手に入れることができる。

ピルコン
ピルコン

厚労省によると、日本の中絶件数は、年間約16万5千件(2017年度)。そのうち約1万4千件が、20歳未満の女性。望まない妊娠の末に中絶を選択している10代が、1日約40件いる計算だ。

また、日本におけるピル(低用量経口避妊薬)の普及率は約4%に止まる。国連の資料によると、アメリカでの普及率は13%、イギリスは28%、フランスが36%だ。

「男性主体の避妊がメインの日本に比べて、海外では女性たちが自分の体を守り、人生をコントロールできているように感じる」と中村さんは言う。

LINEボットは来年1月にリリースを予定している。中村さんは「いま不安を抱えている人にとって、一番気軽で、心強い味方になると思うのでぜひ使って欲しいです」と話す。

「性に関する正しい知識を身に付けることは、女性が自分のからだを守り、自分主体の人生を歩んでいけることにつながる。そのために、自分にできることから少しずつ社会を変えていきたいと思っています」


📺💭「聞きたくても聞けない“セーフセックス”」 お互いのからだを守るために必要な性のこと、じっくり話し合います。 MC:ハヤカワ五味(@hayakawagomi)、大島由香里 ゲスト:麻美ゆま(@asami_yuma)、染矢明日香さん(@asukasuca) https://t.co/WHXgK0Ooin

日々のもやもやをゲストと一緒に考えるBuzzFeed Newsの番組「もくもくニュース」。

11月29日に配信した番組では、「聞きたくても聞けない『セーフセックス』」をテーマに、お互いのからだを守るために必要な性のことを考えました。


【日時】2018年11月29日(木)午後10時から公開中

【配信先】下記のBuzzFeed Japan NewsのTwitterアカウント(@BFJNews)で配信します。

【ゲスト】麻美ゆま(タレント・元AV女優)、染矢明日香(NPO法人ピルコン理事長)

【MC】ハヤカワ五味(経営者)、大島由香里(フリーアナウンサー)

番組の感想や意見は、Twitterのハッシュタグ「#だから話そう性のこと」でお待ちしております!

Contact Saori Ibuki at saori.ibuki@buzzfeed.com.

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